住宅ローン・金利(税金)

利上げで普通預金の利息はいくら増えたか ― 借りる側との差を実績で数える

2026年9月18日、日本銀行は政策金利(無担保コールレートの誘導目標)を1.25%程度へ引き上げることを決めました。2024年3月19日のマイナス金利解除のあと、5回目の引き上げです。

利上げのニュースは、ほとんどが借りる側の話として報じられます。しかし同じ決定は、預けている側にも降りてきます。三菱UFJ銀行の公表資料をたどると、円普通預金の金利は次のように動いてきました。

日銀の決定日同行の改定日円普通預金上がり幅
2024年3月19日2024年3月21日0.001% → 0.02%+0.019
2024年7月31日2024年9月2日0.02% → 0.10%+0.08
2025年1月24日2025年3月3日0.10% → 0.20%+0.10
2025年12月19日2026年2月2日0.20% → 0.30%+0.10
2026年6月16日2026年8月3日0.30% → 0.40%+0.10
三菱UFJ銀行の各ニュースリリースより。いずれも日銀の会合当日に発表され、改定日は後に置かれています。上の表は、いま適用されている利率までを並べたものです。2026年9月18日の決定に対応する6回目の改定も同日に発表済みで、年0.50%への引き上げが2026年11月2日から適用されます(後述)。

年0.001%が年0.400%になりました。400倍です。 ところが、この数字は借りる側で起きたことと並べると、まったく違って見えます。

結論

同じ利上げでも、借りる側と預ける側に来る幅は同じではありません。短期プライムレートは政策金利の動きをそのまま受け取ってきましたが、普通預金はその一部しか受け取っていません。

さらに預ける側には、借りる側に無いものがもうひとつあります。利息は、受け取る前に税が引かれています。 銀行が源泉徴収して納税まで済ませてしまうので、通帳に載るのはすでに引かれた後の金額です。引かれていること自体に気づきにくい仕組みになっています。

そして税が引かれ切っているということは、その利息は確定申告に出てこないということでもあります。出てこないので、他の所得と足すことも、損と相殺することもできません。 有利にも不利にも働きます。

順番にも差があります。利上げが預金に届く日と、住宅ローンの返済に届く日は、同じ決定から出発していても別々に決まっています。

計算の前提

項目置いた条件根拠
金融機関三菱UFJ銀行改定のたびにニュースリリースで金利を公表している
預金の種類円普通預金(店頭表示金利)同行「円預金金利」
適用金利年0.400%(2026年8月3日から)同行の2026年6月16日のニュースリリース
比較対象短期プライムレート 年2.375%(2026年8月3日から)同行の2026年6月16日のニュースリリース、同行「短期プライムレート」
税率20.315%(国税15.315%・地方税5%)国税庁 No.1310
預金残高100万円・300万円・500万円(架空の設例)—
住宅ローン残高3,000万円(架空の設例)—
期間残高が1年間変わらないものとして1年分—

金利と改定日はすべて公表資料の実績値です。 残高だけが、説明のために置いた架空の設定です。

利息は毎日の残高に対して日割りで計算されるため、実際の受取額は残高の動きで変わります。同行の商品説明書は、普通預金の利息を次のように定めています。

毎日の最終残高1,000円以上について、付利単位を1円とし、1年を365日とする日割計算。 三菱UFJ銀行「普通預金」商品説明書(2023年5月1日現在)

入金されるのは年2回です。同じ説明書に「毎年2月と8月の第3土曜日の翌銀行窓口営業日に、口座にご入金いたします」とあります。

政策金利は+0.90、短プラも+0.900、普通預金は+0.399

三菱UFJ銀行は、2025年12月19日の回までは、円預金と短期プライムレートの改定をひとつのニュースリリースに載せていました。2026年6月16日の回からは「円普通預金金利の改定について」と「短期プライムレートの改定について」の2本に分かれています。どちらも日銀の会合当日に出ているので、並べて数えます。

日銀の決定日改定日円普通預金短期プライムレート政策金利
2024年3月19日2024年3月21日0.001% → 0.02%1.475%(不変)0〜0.1%程度
2024年7月31日2024年9月2日0.02% → 0.10%1.475% → 1.625%0.25%程度
2025年1月24日2025年3月3日0.10% → 0.20%1.625% → 1.875%0.5%程度
2025年12月19日2026年2月2日0.20% → 0.30%1.875% → 2.125%0.75%程度
2026年6月16日2026年8月3日0.30% → 0.40%2.125% → 2.375%1.0%程度
普通預金と短期プライムレートは三菱UFJ銀行の各ニュースリリース、政策金利は日本銀行の各公表文によります。政策金利の欄は決定の内容で、適用は翌営業日からです。

2024年3月19日の回は、短期プライムレートが動きませんでした。同行はそのニュースリリースに「短期プライムレートは、1.475%で不変といたします」と書いています。一方、普通預金は0.001%から0.02%へ上がっています。この1回だけは、預ける側にだけ来ています。

累計で並べるとこうなります。

起点現在上がり幅
政策金利0.1%1.0%+0.90
短期プライムレート1.475%2.375%+0.900
円普通預金0.001%0.400%+0.399
政策金利の起点は、2024年3月19日のマイナス金利解除後の誘導目標の上限0.1%です。現在の欄は、2026年6月16日の決定までが反映された、いま適用されている値です。2026年9月18日の決定は含みません(政策金利は2026年9月24日から1.25%、普通預金と短期プライムレートは2026年11月2日から改定)。それが反映されると、政策金利+1.15、短期プライムレート+1.150、円普通預金+0.499になります。
011223(%)2102024年3月21日2024年9月2日2025年3月3日2026年2月2日2026年8月3日
短期プライムレート政策金利(誘導目標の上限)円普通預金

上の2本は間隔を保ったまま平行に上がっています。上げ幅が同じだからです。いちばん下の線が円普通預金で、目盛りの1本目にも届いていません。同じ利上げでも、預ける側に来た幅はこれだけです。

日銀の政策金利、三菱UFJ銀行の短期プライムレート、同行の円普通預金金利の推移。横軸は同行の改定日で、間隔は日数に比例していません。

普通預金の上がり幅0.399ポイントは、政策金利の0.90ポイントの44.3%です。 半分に届きません。

しかも、政策金利が0.25ポイントずつ上がった直近3回は、毎回きれいに分かれています。短期プライムレートは0.25ポイント、普通預金は0.10ポイント。**預ける側に来ているのは40%**です。2026年9月18日に発表された6回目の改定も、同じ分かれ方でした(後述)。

400倍という数字と、半分以下という数字が、同時に正しい。起点が年0.001%だったからです。倍率は起点の低さを、上がり幅は受け取る金額を表しています。 家計に効くのは後者です。

利息は、受け取る前に20.315%引かれている

もうひとつ、借りる側には無いものがあります。税です。

国税庁は、預貯金の利子の課税について次のように書いています。

利子所得は、原則として、その支払を受ける際、利子所得の金額に一律15.315パーセント(他に地方税5パーセント)の税率を乗じて算出した所得税および復興特別所得税(令和9年分以後は所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税。以下同じです。)が源泉徴収され、これにより納税が完結する源泉分離課税の対象となり、確定申告をすることはできません。 国税庁「No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)」

合計で20.315%です。残高ごとに、年0.400%で1年間置いた場合の内訳を計算するとこうなります。

預金残高利息(税引前)国税15.315%地方税5%手取り
100万円4,000円612円200円3,188円
300万円12,000円1,837円600円9,563円
500万円20,000円3,063円1,000円15,937円
残高が1年間変わらないものとして計算しました。国税と地方税はそれぞれ円未満を切り捨てています。実際の利息は年2回に分けて支払われ、そのつど端数処理が行われるため、受取額は数円ずれます。
4,000円100万円12,000円300万円20,000円500万円
100万円300万円500万円
手取り3,1889,56315,937
国税(所得税および復興特別所得税)15.315%6121,8373,063
地方税 5%2006001,000
合計4,00012,00020,000

どの棒も、上の2つ(税)が占める割合は同じです。残高が増えても税率は変わらないためです。見るべきは比率ではなく、いちばん下の段の高さ=実際に手元に残る金額のほうです。

年0.400%で1年間預けた場合の利息の内訳(残高が1年間変わらないものとした架空の設例)。

利上げ前と比べると、手取りはこう変わりました。

預金残高年0.001%のとき年0.400%のとき差
100万円9円3,188円+3,179円
300万円25円9,563円+9,538円
500万円41円15,937円+15,896円
いずれも1年分の手取り。年0.001%のときは利息そのものが少ないため、円未満切り捨ての影響で税率どおりにはなりません。

税引後の実効利率は、年0.400%に対して年0.31874%です。 0.400 × (1 − 0.20315)で出ます。

なお国税庁は、令和8年度税制改正で防衛特別所得税が創設され、復興特別所得税の税率引下げと課税期間の延長が行われたが、**「改正前と改正後とで、防衛特別所得税および復興特別所得税の合計税率に変更はありません」**としています。令和9年以後も、預金利息から引かれる合計は20.315%のままです。名前と内訳が変わります。

預金の利息は「合計所得金額」に入らない

源泉分離課税には、税率のほかに見落とされやすい性質があります。確定申告に出てこないことです。

国税庁の専門用語集は、扶養控除や配偶者控除の判定に使う合計所得金額を次のように定義しています。

(1) 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得および雑所得の合計額(損益通算後の金額) 国税庁「専門用語集」(合計所得金額)

加算するのは「総合課税の利子所得」です。預貯金の利子は、前掲のとおり総合課税ではなく源泉分離課税とされています。したがって、預金の利息は合計所得金額に入りません。

同じ定義は、このほかに「総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額の2分の1」、退職所得金額、山林所得金額を加え、申告分離課税の所得がある場合はその所得金額を加算するとしています。源泉分離課税は、そのどれにも出てきません。

この2つを並べて読んだ結果であって、「預金の利息は合計所得金額に入らない」と書かれた一文があるわけではありません。ただ、定義が拾う所得をひとつずつ当たっても源泉分離課税の利子が入る先が無い以上、読み方は他にありません。

実務での意味はこうです。

場面預金の利息の扱い
配偶者控除・扶養控除の判定(合計所得金額)入らない。令和8年分の判定は合計所得金額62万円以下(給与収入136万円以下)
確定申告書への記載欄そのものが無い。申告できない
株式の譲渡損失との損益通算できない。申告の対象にならないため
医療費控除・ふるさと納税のための確定申告利息は関係しない。書かなくてよいのではなく、書けない
合計所得金額の定義と62万円・136万円は国税庁「専門用語集」「No.1191 配偶者控除」によります。いずれも令和8年4月1日現在法令等。

ただしこれは所得税の話です。 社会保険の被扶養者の判定や、自治体が行う給付の所得判定は、それぞれ別の法令で決まります。この記事の範囲外です。

利息が非課税になる制度もあります。国税庁は、障害者等の少額貯蓄非課税制度(マル優)について「元本の合計額が350万円までの利子」が非課税になるとしており、対象は「身体障害者手帳の交付を受けている人や障害年金を受けている人など一定の要件を満たす『障害者』と、遺族年金や寡婦年金を受けている妻など一定の要件を満たす『その他の人(妻)』」に限られるとしています。誰でも使えるものではありません。

借りる側と預ける側に、同じ1回の利上げがいくら来たか

ここまでの数字を、ひとつの家計に重ねます。住宅ローンの残高が3,000万円、普通預金が300万円ある家庭で、政策金利が0.25ポイント上がった1回分を計算します。

残高上がり幅1年あたり
住宅ローン3,000万円+0.25利息が75,000円増える
円普通預金300万円+0.10利息が3,000円増える(手取り2,391円)
住宅ローンの適用金利は「基準金利 − 引下げ幅」で決まりますが、引下げ幅が変わらなければ基準金利の上昇はそのまま乗るため、上がり幅をそのまま使いました。普通預金の手取りは、利息から国税15.315%と地方税5%をそれぞれ円未満切り捨てで引いた金額です。

差は72,609円です。約31.4倍の開きがあります。

開きは4つの理由が掛け合わさって生まれています。借りている残高が預けている残高より大きいこと。上がり幅が0.25と0.10で違うこと。預金の利息からは税が引かれること。そして住宅ローンの利息には税の調整が無いこと。

この1回分の増加を普通預金の手取り利息だけで埋めようとすると、必要な元本はこうなります。

75,000円 ÷ (0.10% × 0.79685) = 94,120,599円

約9,412万円です。 3,000万円のローンに対して0.25ポイントの利上げが来たとき、その増加分を普通預金の利息(税引後)で相殺するには、それだけの残高が要るという計算です。

これは「どちらが得か」という話ではありません。借入と預金は目的が違いますし、住宅ローンを繰り上げ返済すべきかどうかは、住宅ローン控除の残りや手元資金の厚みで結論が変わります。ここで示したのは、同じ1回の利上げが両側に届く大きさが、そもそも桁で違うという事実だけです。

繰り上げ返済で利息をいくら減らせるかは「繰り上げ返済シミュレーター」で計算できます。住宅ローン控除の期間中は、利息の減少と控除の減少が同時に起きます。

届く順番は、預ける側のほうが早かった

もうひとつ、金額ではなく時間の差があります。

2026年6月16日の決定について、三菱UFJ銀行の日付を並べるとこうなります。

日付決定日からの日数
円普通預金の改定2026年8月3日48日
短期プライムレートの改定2026年8月3日48日
住宅ローンの基準金利の見直し2026年9月1日77日
金利見直しの基準日(変動金利・毎月型)2026年9月1日77日
返済への反映(変動金利・毎月型)2026年11月の約定返済分—
金利見直しの基準日(変動金利・年2回型)2026年10月1日107日
返済への反映(変動金利・年2回型)2027年1月の約定返済分—
三菱UFJ銀行のニュースリリースおよび「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」(2026年6月17日現在)より。基準金利の見直し日と、個々の契約に当てはめる基準日は別です。 同告知は「直近の金利見直しの基準日」を毎月型が2026年9月1日、年2回型が2026年10月1日としています。

預金の金利は改定日から新しい利率で日割り計算が始まります。 一方、住宅ローンは基準金利の見直しがあり、その後に適用開始日が来ます。段階が2つ多い分だけ遅れます。この経路は「日銀の利上げは住宅ローンにいつ効くか」で1段階ずつ数えています。

ただし、預金側の改定日が常に早いと決まっているわけではありません。どちらも各行が決めるもので、2026年6月16日の回はたまたま同じ日でした。2026年9月18日の回も、普通預金と短期プライムレートはどちらも2026年11月2日です。

2026年9月18日の決定は、2026年11月2日に降りてくる

三菱UFJ銀行は、日銀の決定と同じ2026年9月18日に、ニュースリリースを2本出しました。6回目の改定です。

資料改定の内容改定日
円普通預金金利の改定について0.40% → 0.50%(+0.10)2026年11月2日
短期プライムレートの改定について2.375% → 2.625%(+0.25)2026年11月2日
三菱UFJ銀行の2026年9月18日付ニュースリリース2本より。どちらにも「日本銀行の金融政策決定会合の結果、ならびに市場金利上昇を受けて」とあります。

分かれ方はこれまでと同じでした。 政策金利が0.25ポイント上がった回で、短期プライムレートは0.25ポイント、普通預金は0.10ポイント。預ける側に来たのは、やはり40%です。

改定日が2026年11月2日なので、この記事のほかの節で使っている年0.400%は、2026年11月1日までの利率です。 11月2日からは年0.500%になります。300万円を年0.500%で1年間置いた場合は、利息15,000円、国税2,297円と地方税750円を引いて手取り11,953円です。年0.400%のときの手取り9,563円との差は2,390円です。

決定日から改定日までの日数も、過去の範囲に収まりました。

日銀の決定日同行の改定日日数
2024年3月19日2024年3月21日2日
2024年7月31日2024年9月2日33日
2025年1月24日2025年3月3日38日
2025年12月19日2026年2月2日45日
2026年6月16日2026年8月3日48日
2026年9月18日2026年11月2日45日
6回とも、日銀の会合の当日にニュースリリースが出ています。最初の1回だけが2日後で、それ以降は1か月以上あります。

ただし、上がり幅が毎回同じになる保証はありません。 金利の改定は各行が自主的に決めるものです。実際、2024年3月19日の回は短期プライムレートが動かず、普通預金だけが動いています。

なお、この6回目に対応する住宅ローンの基準金利の見直し日は、本稿の確認時点(2026年9月20日)では告知されていません。 同行の「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」は2026年6月17日現在のままで、2026年6月16日の決定に対応する2026年9月1日の見直しまでしか載っていません。

あなたの数字で確かめる手順

① いま自分の預金に付いている利率を見る

通帳やアプリの残高ではなく、銀行の金利ページで店頭表示金利を見ます。三菱UFJ銀行なら「円預金金利」のページに普通預金の利率が載っています。ネット銀行や、給与振込などの条件を満たすと上乗せされる口座では、この記事の数字と大きく違います。

② 残高 × 利率 ÷ 100 で税引前の年間利息を出す

年間の利息(税引前) = 残高 × 利率(%) ÷ 100

300万円・年0.400%なら 3,000,000 × 0.4 ÷ 100 = 12,000円です。残高が1年間変わらない前提の概算で、実際は日割りで計算されます。

③ 国税と地方税を引いて手取りにする

手取り = 利息 − 利息×15.315%(円未満切捨) − 利息×5%(円未満切捨)

12,000円なら 12,000 − 1,837 − 600 = 9,563円です。ざっくり知りたいだけなら「利息 × 0.79685」でも構いません(この例では9,562円で、1円しか違いません)。通帳に載るのはこちらの金額です。 入金されるのは税引後の金額だけなので、引かれた税額は入金額からは読み取れません。

④ 住宅ローンがあるなら、同じ利上げの反対側も出す

1年あたりの利息の増加 = ローン残高 × 上がり幅(%) ÷ 100

上がり幅は、銀行の告知に書かれた基準金利の上げ幅をそのまま使います。引下げ幅が変わらなければ、適用金利も同じだけ上がります。自分の引下げ幅は契約書か「ご返済のお知らせ」で確認してください。 銀行の告知には書かれていません。

⑤ 次の改定日を告知で確かめる

利上げが決まっても、預金の利率が変わるのは銀行が定めた改定日からです。ニュースリリースに「改定日」として明記されています。決定日ではありません。

まとめ

  • 三菱UFJ銀行の円普通預金は、2024年3月21日から2026年8月3日までの5回の改定で年0.001%から年0.400%になった。400倍だが、上がり幅は0.399ポイント
  • 同じ期間に政策金利は0.90ポイント、短期プライムレートは0.900ポイント上がっている。普通預金に来たのは政策金利の44.3%
  • 直近3回は毎回、政策金利+0.25/短期プライムレート+0.25/普通預金**+0.10**。預ける側に来ているのは40%
  • 2024年3月19日のマイナス金利解除だけは逆で、短期プライムレートが**1.475%**のまま動かず、普通預金だけが上がった
  • 利息には20.315%(国税15.315%・地方税5%)の源泉分離課税。300万円を年0.400%で1年置くと利息12,000円、手取り9,563円
  • 源泉分離課税なので確定申告はできない。合計所得金額にも入らないため、扶養や配偶者控除の判定(令和8年分は合計所得金額62万円以下)は動かない。同じ理由で株式の譲渡損失との損益通算もできない
  • 令和9年以後は防衛特別所得税が加わるが、国税庁は合計税率に変更はないとしている
  • 残高3,000万円のローンと300万円の預金がある家計では、政策金利+0.25の1回でローンは年75,000円増、預金の手取りは年2,391円増。差は72,609円で約31.4倍
  • ローンの増加分を普通預金の手取り利息で埋めるには、元本が約9,412万円必要になる計算
  • 2026年6月16日の決定では、預金の改定が2026年8月3日、返済への反映が2026年11月(毎月型)。預ける側のほうが先に届いた
  • 2026年9月18日の決定に対応する6回目の改定も同日に発表された。円普通預金は年0.50%、短期プライムレートは2.625%で、どちらも2026年11月2日から。普通預金の上がり幅は今回も**+0.10で、預ける側に来たのは40%**
  • 6回目まで反映すると、政策金利は**+1.15**、短期プライムレートは**+1.150**、円普通預金は**+0.499**(年0.001%→年0.500%で500倍)になる。上がり幅が毎回同じになる保証はない(2024年3月19日の回は短期プライムレートが動かなかった)

よくある質問

利上げで普通預金の金利はいくら上がったのですか?

三菱UFJ銀行の円普通預金の場合、2024年3月21日から2026年8月3日までの5回の改定で、年0.001%から年0.400%になりました。率で見れば400倍ですが、上がった幅は0.399ポイントです。同じ期間に日銀の政策金利(無担保コールレートの誘導目標)は0.1%(2024年3月の誘導目標「0〜0.1%程度」の上限)から1.0%へ0.90ポイント、同行の短期プライムレートは1.475%から2.375%へ0.900ポイント上がっていますので、普通預金に来たのは政策金利の上がり幅の44.3%にあたります。政策金利が0.25ポイントずつ上がった直近3回は、短期プライムレートが毎回0.25ポイント上がった一方、普通預金は毎回0.10ポイントでした。2026年9月18日の決定に対応する6回目の改定も同日に発表されており、円普通預金は年0.50%へ、短期プライムレートは2.625%へ、どちらも2026年11月2日から改定されます。上がり幅はやはり普通預金が+0.10、短期プライムレートが+0.25でした。

300万円を普通預金に置いていると、1年でいくら利息が付きますか?

年0.400%で残高が1年間変わらなければ、利息は12,000円です。ただし受け取れるのは全額ではありません。預貯金の利子には20.315%の源泉分離課税がかかり、内訳は国税(所得税および復興特別所得税)15.315%と地方税5%です。12,000円から国税1,837円と地方税600円が差し引かれ、手取りは9,563円になります。利上げ前の年0.001%なら利息は30円、手取りは25円でしたので、差は9,538円です。なお三菱UFJ銀行の普通預金は、毎日の最終残高1,000円以上について付利単位1円・1年365日の日割りで計算し、毎年2月と8月の第3土曜日の翌銀行窓口営業日に入金されます。残高が動けば金額も変わります。

預金の利息は確定申告が必要ですか?

必要ありません。というより、できません。国税庁は、預貯金の利子は「その支払を受ける際、利子所得の金額に一律15.315パーセント(他に地方税5パーセント)の税率を乗じて算出した所得税および復興特別所得税…が源泉徴収され、これにより納税が完結する源泉分離課税の対象となり、確定申告をすることはできません」としています。銀行が差し引いた時点で課税関係が終わっているためです。したがって医療費控除やふるさと納税のために確定申告をする場合でも、預金の利息を申告書に書く欄はありません。同じ理由で、株式の譲渡損失と預金の利息を相殺することもできません。

預金の利息が増えると、扶養の判定に影響しますか?

所得税法上の扶養控除・配偶者控除の判定に使う「合計所得金額」には入りません。国税庁の専門用語集は合計所得金額を「事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得および雑所得の合計額」などと定義しており、加算するのは総合課税の利子所得です。預貯金の利子は総合課税ではなく源泉分離課税ですので、この定義には当てはまりません。したがって、配偶者や子の口座に利息が付いても、令和8年分の合計所得金額62万円以下(給与収入では136万円以下)という判定の数字は動きません。ただしこれは所得税の話です。社会保険の被扶養者の判定や自治体の給付の所得判定は別の法令によりますので、それぞれの窓口で確かめてください。

利上げで住宅ローンの利息が増えた分は、預金の利息で埋まりますか?

桁が違います。住宅ローンの残高3,000万円で適用金利が0.25ポイント上がると、1年あたりの利息は75,000円増えます。一方、普通預金は同じ回の改定で0.10ポイントしか上がっておらず、しかも利息からは20.315%が引かれます。300万円を預けていても、増える手取りは年2,391円です。差は72,609円で、約31.4倍の開きがあります。ローンの増加分と同じだけを普通預金の手取り利息で埋めようとすると、元本が約9,412万円必要になる計算です。これは有利不利を論じたものではなく、借りている残高と預けている残高、上がり幅、税の有無という4つの違いを掛け合わせた結果です。

利上げは、借りる側と預ける側でどちらが先に届きますか?

三菱UFJ銀行の2026年6月16日の決定に対応する改定では、預ける側のほうが先でした。円普通預金と短期プライムレートはどちらも2026年8月3日に改定されましたが、住宅ローンの基準金利の見直しは2026年9月1日で、返済に反映されるのは変動金利(毎月型)で2026年11月の約定返済分です。年2回型は金利見直しの基準日が2026年10月1日で、反映は2027年1月の約定返済分になります。預金の金利は改定日から新しい利率で日割り計算が始まるのに対し、住宅ローンには基準金利の見直しと適用開始日という段階が後に控えているためです。ただし預金側の改定日が常に早いと決まっているわけではなく、回ごとに各行が決めています。

利息が非課税になる制度はありますか?

障害者等の少額貯蓄非課税制度(いわゆるマル優)があります。国税庁は、預貯金や合同運用信託、特定公募公社債等運用投資信託および一定の有価証券について「上記4種類の貯蓄の元本の合計額が350万円までの利子」が非課税になるとしています。国債および地方債を対象とする特別マル優が別枠でさらに350万円分あります。ただし利用できるのは、国内に住所のある個人のうち、身体障害者手帳の交付を受けている人や障害年金を受けている人、遺族年金や寡婦年金を受けている妻など、一定の要件を満たす人に限られます。利用するには最初の預入等をする日までに「非課税貯蓄申告書」を金融機関の営業所等を経由して税務署長に提出し、原則として預入等の都度「非課税貯蓄申込書」を金融機関の営業所等に提出する必要があります。このほか、勤労者財産形成住宅貯蓄・年金貯蓄(元本合計550万円まで)や、いわゆる子供銀行の預貯金等の利子も非課税とされています。

出典

制度の内容は改正されることがあります。判断の際は必ず出典元の最新情報をご確認ください。