住宅ローン・金利

短期プライムレートとは ― 銀行ごとに違い、上がる日もそろわない

2026年9月18日、三菱UFJ銀行は短期プライムレートを年2.375%から年2.625%へ引き上げると発表しました。改定日は2026年11月2日です。

短期プライムレートの改定(改定日:2026 年11 月2 日(月)) 変更前 2.375% 変更後 2.625% 増減 +0.25% 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」(2026年9月18日)

ところが、日本銀行の統計を見ると、その2.625%には、すでに到達している銀行があります。

2026年8月3日以降短期プライムレート
最頻値(5行のうち最も多くが採用)年2.375%
最高値年2.625%
最低値年2.375%
日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」(更新日2026年9月16日、2026年9月11日現在)。対象は、みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行・埼玉りそな銀行の5行です。

三菱UFJ銀行が2026年11月に到達する水準に、別の銀行は2026年8月の時点で届いている。短期プライムレートは、銀行ごとに違う金利です。

結論

短期プライムレートは、日本銀行が決める金利ではありません。銀行が自分で決める金利です。日銀が公表しているのは、主要行の値を集めた統計であって、命令でも基準でもありません。

だから、水準がそろっていません。上がる日もそろいません。ニュースが「短期プライムレートが上がった」と伝えるとき、それは統計上の代表値が動いたという意味であって、あなたが借りている銀行がもう上げたという意味ではありません。

そして、上がったとしても住宅ローンの金利がその日に動くわけでもありません。短期プライムレートの改定日、基準金利の見直し日、返済への反映日は、それぞれ別に定められています。

したがって、自分の返済がいつ・いくら変わるかを知る方法は、自分の借入先の告知を読むことしかありません。 他行の発表も、統計の代表値も、その答えにはなりません。

計算の前提

項目置いた条件根拠
短期プライムレートの実績日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」の最頻値・最高値・最低値2026年9月11日現在の公表データ
対象の5行みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行・埼玉りそな銀行同統計の注記
個別行の告知三菱UFJ銀行改定日・基準金利の見直し日を自行で公表している
残高3,000万円(架空の設例)—
残りの期間35年(架空の設例)—
返済方法元利均等返済、金利は全期間一定(架空の設例)比較のために置いた
適用金利年1.00%と年1.25%(架空の設例)0.25ポイントの差を見るために置いた

日付・水準・日数はすべて公表資料の実績値です。 残高・期間・適用金利だけが、説明のために置いた架空の設定です。

なお、短期プライムレートの差がそのまま適用金利の差になるのは、引下げ幅が同じ場合に限ります。 住宅ローンの適用金利は「基準金利 − 引下げ幅」で決まり、引下げ幅は契約ごとの条件だからです。この記事の設例は「引下げ幅が同じなら」という置き方をしています。

日銀が公表しているのは、5行の最頻値・最高値・最低値

まず、日本銀行の統計が何を載せているのかを確かめます。注記にこう書かれています。

都市銀行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)が自主的に決定した金利のうち、最も多くの数の銀行が採用した金利および最高、最低の金利。 日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」注1

読みどころは2つあります。

ひとつは「自主的に決定した」。日銀が決めているのではなく、各行が決めています。

もうひとつは「最も多くの数の銀行が採用した金利および最高、最低の金利」。つまり公表されているのは3つの数字であって、1つではありません。ニュースで「短期プライムレートは2.375%」と言われるとき、それは最頻値のことです。

同じ統計の注記には、最頻値が「不定」になる場合の説明もあります。

最も個数の多いデータが複数ある場合。 同上 注2

5行の値がばらけて、最も多い値が決まらない状態が、実際に記録されています。後で見ます。

最高値と最低値は、17年以上離れたまま

最高値と最低値の差を、実績で並べます。

期間最高値最低値開き
2009年1月13日〜2024年9月1日年1.725%年1.475%0.25ポイント
2024年9月2日〜2025年3月11日年1.875%年1.625%0.25ポイント
2025年3月12日〜2025年3月16日年2.125%年1.625%0.50ポイント
2025年3月17日〜2026年2月2日年2.125%年1.875%0.25ポイント
2026年2月3日〜2026年2月8日年2.375%年1.875%0.50ポイント
2026年2月9日〜2026年8月2日年2.375%年2.125%0.25ポイント
2026年8月3日〜(2026年9月11日現在)年2.625%年2.375%0.25ポイント
日本銀行の統計の実施日ベース。同統計は変更があった日だけを載せ、変更がない項目は「↓」で表されます。上の表は、その「↓」を前の値で埋めて期間に直したものです。

17年以上、最高値と最低値は0.25ポイント離れたままです。 そして利上げの途中では、一時的に0.50ポイントまで開いています。

0123(%)322009年1月13日2024年9月2日2025年3月3日2025年3月17日2026年2月2日2026年2月9日2026年8月3日
最高値最頻値最低値

3本の線が重なっていないことが、この図の要点です。左端では最頻値と最低値が重なり、その上に最高値だけが離れています。右へ行くほど3本とも上がりますが、上下の間隔は開いたままです。つまり、どの時点を切っても『銀行によって違う』が成り立っています。

短期プライムレート(主要行)の最頻値・最高値・最低値の推移。横軸は統計に記録された実施日で、間隔は日数に比例していません。

どの銀行が最高値で、どの銀行が最低値かは、この統計からは分かりません。 日銀は5行をまとめた代表値しか公表していないためです。自分の借入先の水準は、その銀行が出している短期プライムレートのページで確認することになります。三菱UFJ銀行の場合、専用のページに「年2.375%(2026年8月3日より適用)」と1行で書かれています。

15年7か月、動かなかった

もうひとつ、統計から読める事実があります。

最頻値は、2009年1月13日から2024年9月1日まで、年1.475%のまま動きませんでした。15年7か月です。

同じ期間に、同じ表の右端にある長期プライムレートは71回変わっています(年0.90%から年2.30%のあいだを動きました)。長期プライムレートは、みずほ銀行が自主的に決定・公表した金利として掲載されているものです。

短期プライムレート(最頻値)長期プライムレート
2009年1月13日〜2024年9月1日の変更回数0回71回
その間の水準年1.475%で一定年0.90%〜年2.30%
2026年9月時点年2.375%(2026年8月3日〜)年3.40%(2026年9月10日〜)
日本銀行の統計より。変更回数は、短期プライムレート・長期プライムレートのいずれも、2009年1月13日の翌日から2024年9月1日までに掲載された変更の数を数えたものです(2009年1月13日は、短期プライムレートの最頻値が年1.475%になった実施日そのものなので、起点として数えていません)。

「ずっと変わらなかったもの」という印象は、2024年までは正しかったのです。 ただし2024年9月2日に動いてからは、2026年8月3日までの約2年で最頻値が年1.475%から年2.375%まで上がりました。三菱UFJ銀行は2026年11月2日に年2.625%とすることを発表しています。長く動かなかったことは、今後も動かない理由にはなりません。

同じ利上げでも、上がる日はそろわない

次に、5行が同じ日に動くのかを見ます。日銀の統計は実施日ごとの記録なので、同じ利上げの局面で何日かかって全行が動いたかを数えられます。

局面最頻値が動いた日最低値が動いた日かかった日数
2024年2024年9月2日2024年9月2日0日
2025年2025年3月3日2025年3月17日14日
2026年2月2026年2月2日2026年2月9日7日
2026年8月2026年8月3日2026年8月3日0日
最低値が動いた日を「全行が上げ終えた日」とみなして数えました。最低値は5行のうち最も低い銀行の水準なので、これが上がった時点で、5行とも新しい最低値以上になったことになります。ただし日銀の統計は個別行の実施日を載せていないので、これは統計からの読み取りであって、各行の告知で1行ずつ確かめたものではありません。

そろう回と、そろわない回があります。 2025年の局面では14日かかりました。

その途中では何が起きていたか。統計はこう記録しています。

実施日最頻値最高値最低値
2025年3月3日年1.875%年1.875%年1.625%
2025年3月12日不定年2.125%年1.625%
2025年3月17日年1.875%年2.125%年1.875%
「不定」は注2の「最も個数の多いデータが複数ある場合」です。2026年2月3日にも同じ「不定」が記録されています。

5行の値がばらけて、最も多い値が決まらなかったということです。この状態が5日間続いています。2026年2月にも同じことが起きました(2月3日から8日まで)。

つまり、ニュースが「短期プライムレートが上がった」と伝えた時点で、自分の銀行がまだ上げていないという状態は、実際に起きています。

上がったあと、住宅ローンに届くまで

短期プライムレートが上がったとして、住宅ローンの金利はいつ動くのか。三菱UFJ銀行は、2026年9月18日付の告知でこう書いています。

2026年9月18日発表の「短期プライムレートの引き上げ」に伴い、2026年12月1日より住宅ローンの変動金利の基準金利を見直しします。 三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」

ただし、この「2026年12月1日」が自分の契約の基準日になるとは限りません。 同じ告知は読者を借入時期で2つに分けています。すでに借りている人(告知の見出しでは「2026年11月30日以前に当行住宅ローンをお借り入れの方」)については、金利の種類ごとに「直近の金利見直しの基準日」を別々に定めた表が置かれています。

変動金利(毎月型)|直近の金利見直しの基準日 2026年12月1日|新利率の適用開始日 2027年1月の返済日の翌日(2027年2月の約定返済分より反映) 変動金利(年2回型)|直近の金利見直しの基準日 2027年4月1日|新利率の適用開始日 2027年6月の返済日の翌日(2027年7月約定返済分より反映) 三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」

年2回型の基準日は2027年4月1日で、基準金利が見直される2026年12月1日ではありません。 日付を並べるとこうなります。

段階日付
日銀が政策金利の引き上げを決定2026年9月18日
同行が短期プライムレートの改定を発表2026年9月18日
短期プライムレートの改定日2026年11月2日
住宅ローンの基準金利の見直し2026年12月1日
金利見直しの基準日(毎月型)2026年12月1日
新利率の適用開始(毎月型)2027年1月の返済日の翌日
返済に反映(毎月型)2027年2月の約定返済分
金利見直しの基準日(年2回型)2027年4月1日
新利率の適用開始(年2回型)2027年6月の返済日の翌日
返済に反映(年2回型)2027年7月の約定返済分
三菱UFJ銀行の2本の告知より。上の表は「2026年11月30日以前に当行住宅ローンをお借り入れの方」についての記載です。同行は、当初借入日が2008年12月以前のローン等はこのルールに基づかない場合があると注記しています。他の金融機関では日付も仕組みも異なります。

これから借りる人は、この表ではありません。 同じ告知は、2026年12月1日以降に借り入れる場合を別に書いています。

2026年12月1日以降に当行住宅ローンをお借り入れの方 2026年12月の基準金利は、2026年11月30日に発表します。以降、毎月1日を基準日とし変動金利の基準金利を見直します。 三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」

同じ告知の中で、借入時期によって基準日の決まり方が違います。 表だけを読むと取り違えます。

改定日と、返済に届く日は別です。 この4段階が何日かかるかは「日銀の利上げは住宅ローンにいつ効くか」で実績を数えています。

なお、届いたあとも毎月の返済額がすぐに変わるとは限りません。同じ告知にこうあります。

変動金利かつ元利均等返済で借入中の場合、10月1日を基準とした5年間は返済額に変更はありません(返済額の元金分と利息分の割合は変わります)。 三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」

いわゆる5年ルールです。ただし、この一文には条件が2つ付いています。「変動金利」で、かつ「元利均等返済」であることです。 同行は金利タイプの説明ページで、当てはまらない場合をはっきり除いています。

元金均等返済で借入の場合は、5年ルール・125%ルールはありません。 三菱UFJ銀行「住宅ローンの金利タイプ」

元金均等返済で借りているなら、据え置きはありません。 新しい利率が適用された時点から、返済額そのものが増えます。

引用にある「10月1日」は、5年を数える起点です。同じページにこう書かれています。

10月1日を1回経過する毎に1年経過したものとみなします。 三菱UFJ銀行「住宅ローンの金利タイプ」

以下は、5年ルールが効く場合(変動金利かつ元利均等返済)の話です。この場合に増えるのは返済額ではなく、返済額のうち利息に回る分になります。残高別に見るとこうです。

残高ひと月の利息の増加1年あたり
2,000万円4,167円50,000円
2,500万円5,208円62,500円
3,000万円6,250円75,000円
3,500万円7,292円87,500円
4,000万円8,333円100,000円
残高 × 0.25% ÷ 12。適用直後のひと月の金額で、残高が減れば小さくなります。仕組みは「住宅ローンの5年ルール」で詳しく書いています。

0.25ポイントの差は、35年でいくらか

短期プライムレートが銀行によって0.25ポイント違う、という話に戻ります。引下げ幅が同じなら、その差はそのまま適用金利の差になります。

残高3,000万円・残り35年・元利均等返済・金利は全期間一定(すべて架空の設例)で計算すると、こうなります。

適用金利毎月の返済額総返済額うち利息
年1.00%84,686円35,568,120円5,568,120円
年1.25%88,226円37,054,920円7,054,920円
差3,540円1,486,800円1,486,800円
scripts/calc-tanpura-kaitei.py の出力。毎月の返済額は元利均等返済の式で求め、円未満を四捨五入しています。総返済額は毎月の返済額 × 420回です。実際の契約では最終回で端数を調整するため、この計算とはわずかにずれます(この設例では、四捨五入した返済額で420回払うと年1.00%で146円、年1.25%で61円だけ払い過ぎになります)。

毎月では3,540円ですが、35年では約149万円になります。ただしこれは「引下げ幅が同じなら」という置き方の数字です。

実際には、短期プライムレートが高い銀行が引下げ幅を大きく取っていれば、適用金利は同じになります。したがって、短期プライムレートの水準だけを銀行間で比べても、借入条件の比較にはなりません。 比べるべきは適用金利であり、自分の引下げ幅は契約書に書かれています。

この記事で押さえるべきは、水準の高低ではなく、**「短期プライムレートは銀行ごとの金利であって、共通の基準ではない」**という一点です。

あなたの数字で確かめる手順

① 自分の借入先の短期プライムレートを見る

日銀の統計ではなく、その銀行が出しているページを見てください。三菱UFJ銀行の場合は「短期プライムレート」という専用ページがあり、「年2.375%(2026年8月3日より適用)」のように、水準と適用開始日が1行で書かれています。

ニュースや他行の発表を自分の銀行の話として読まないこと。最高値と最低値が0.25ポイント離れている以上、代表値は自分の銀行の値ではありません。

② 改定日と、基準金利の見直し日を分けて読む

告知には複数の日付が出てきます。混ぜないでください。

  • 短期プライムレートの改定日(三菱UFJ銀行の今回の告知では2026年11月2日)
  • 住宅ローンの基準金利の見直し日(同2026年12月1日)
  • 自分の契約の金利見直しの基準日(同、2026年11月30日以前に借りた人は、毎月型が2026年12月1日、年2回型が2027年4月1日。2026年12月1日以降に借りる人は毎月1日)
  • 新利率の適用開始日(同、毎月型は2027年1月の返済日の翌日、年2回型は2027年6月の返済日の翌日)
  • 返済に反映される月(同、毎月型は2027年2月、年2回型は2027年7月の約定返済分)

金利の種類は告知の表の行が違うだけで、見落としやすいところです。 自分がどちらなのかは「ご返済のお知らせ」で確認できると同行は書いています。

③ 自分の引下げ幅を契約書で確認する

適用金利は「基準金利 − 引下げ幅」です。引下げ幅が変わらなければ、基準金利の上昇はそのまま適用金利に乗ります。引下げ幅は契約ごとの条件で、銀行の告知には書かれていません。 契約書で確かめてください。

④ 残高に上げ幅を掛けて、12で割る

ひと月の利息の増加は「残高 × 上げ幅 ÷ 12」です。残高3,000万円で0.25ポイントなら、30,000,000 × 0.0025 ÷ 12 = 6,250円。変動金利かつ元利均等返済なら、この分だけ元金の減りが遅くなります。返済額そのものは5年ルールで据え置かれます。

まとめ

  • 短期プライムレートは日銀が決める金利ではない。日銀が公表しているのは、主要5行(みずほ・三菱UFJ・三井住友・りそな・埼玉りそな)の最頻値・最高値・最低値という統計
  • 銀行によって水準が違う。 最高値と最低値の差は、2009年1月13日から2026年9月11日現在まで0.25ポイントあり、利上げの途中では0.50ポイントまで開いた時期が2回ある(2025年3月12日〜16日、2026年2月3日〜8日)
  • どの銀行が高いかは日銀の統計からは分からない。 自分の借入先が出しているページで確認する
  • 最頻値は2009年1月13日から2024年9月1日まで年1.475%で動かなかった。15年7か月。同じ期間に長期プライムレートは71回変わっている
  • 動き始めたのは2024年9月2日。2026年8月3日に最頻値は年2.375%、最高値は年2.625%
  • 同じ利上げでも実施日はそろわない。 2025年の局面は14日、2026年2月の局面は7日かかった。その間、最頻値は「不定」と記録されている
  • 三菱UFJ銀行は2026年9月18日付で、短期プライムレートを年2.375%→年2.625%(改定日2026年11月2日)、住宅ローンの基準金利の見直しを2026年12月1日からと発表した
  • 返済に届くのは、同行の告知では毎月型が2027年2月、年2回型が2027年7月の約定返済分。金利見直しの基準日も別で、毎月型が2026年12月1日、年2回型は2027年4月1日
  • 返済に届く日は借入時期でも違う。上の日付は2026年11月30日以前に借りた人の話で、2026年12月1日以降に借りる人は毎月1日が基準日(2026年12月分の基準金利は2026年11月30日に発表)
  • 届いても、変動金利かつ元利均等返済なら返済額は5年ルールで据え置かれる。増えるのは利息に回る分で、残高3,000万円・0.25ポイントならひと月6,250円
  • 5年ルールが付くのは「変動金利」かつ「元利均等返済」のときだけ。 同行は「元金均等返済で借入の場合は、5年ルール・125%ルールはありません。」と明記している。元金均等返済なら据え置きは無く、返済額そのものが増える
  • 適用金利が0.25ポイント違うと、残高3,000万円・35年・元利均等の設例では毎月3,540円、総額1,486,800円の差(架空の設例)
  • ただし短期プライムレートの差がそのまま適用金利の差になるのは、引下げ幅が同じ場合に限る。比べるべきは適用金利で、引下げ幅は契約書に書かれている

よくある質問

短期プライムレートは日本銀行が決めるのですか?

いいえ。日本銀行が公表しているのは統計であって、水準を決めているのは各銀行です。日銀の「長・短期プライムレート(主要行)の推移」は、その注記で「都市銀行(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行)が自主的に決定した金利のうち、最も多くの数の銀行が採用した金利および最高、最低の金利」を載せていると説明しています。つまり統計に出てくる数字は5行の代表値で、どの銀行も必ずその値だというものではありません。実際に2024年3月19日のマイナス金利解除では、日銀が政策金利を動かしたのに短期プライムレートは年1.475%のまま動きませんでした。

銀行によって短期プライムレートは違うのですか?

違います。日銀の統計は最頻値のほかに最高値と最低値も載せていて、この2つはずっと離れたままです。2009年1月13日から2026年9月11日現在まで、最高値と最低値の差は基本的に0.25ポイントで、一時的に0.50ポイントまで開いた時期が2回ありました(2025年3月12日から16日までと、2026年2月3日から8日まで)。2026年8月3日以降は最高値が年2.625%、最低値が年2.375%です。ただしどの銀行が最高値でどの銀行が最低値かは、この統計からは分かりません。自分の借入先の水準は、その銀行が公表している短期プライムレートのページで確認してください。

短期プライムレートが上がると、住宅ローンの金利はすぐ上がりますか?

すぐには上がりません。銀行が別に「基準金利の見直し日」を定めているためです。三菱UFJ銀行の場合、2026年9月18日付の告知で、短期プライムレートの改定日は2026年11月2日、住宅ローンの変動金利の基準金利の見直しは2026年12月1日からとされています。さらに同じ告知は、2026年11月30日以前に借り入れた人について、金利見直しの基準日を変動金利(毎月型)は2026年12月1日、変動金利(年2回型)は2027年4月1日と別に定めており、新しい利率が返済に反映されるのは毎月型で2027年2月の約定返済分、年2回型で2027年7月の約定返済分です。自分の契約がどちらの型かで、基準日も反映月も変わります。なお2026年12月1日以降に借り入れる場合は扱いが別で、同告知は2026年12月の基準金利を2026年11月30日に発表し、以降は毎月1日を基準日として見直すと書いています。金融機関ごとに仕組みが違うので、他行で借りている場合はその銀行の告知を見てください。

短期プライムレートは長いあいだ動いていなかったと聞きました。

そのとおりです。日銀の統計では、最頻値は2009年1月13日から2024年9月1日まで年1.475%のままでした。15年7か月です。同じ期間に長期プライムレートは71回変わっています(年0.90%から年2.30%のあいだを動きました)。短期プライムレートが動き始めたのは2024年9月2日で、そこから2026年8月3日までに年2.375%まで上がり、三菱UFJ銀行は2026年11月2日に年2.625%とすることを発表しています。長く動かなかったものが動き出した局面なので、「これまで変わらなかったから」という理由で今後も変わらないとは考えないでください。

同じ利上げなら、5行とも同じ日に短期プライムレートを上げるのですか?

そろう回とそろわない回があります。日銀の統計を実施日で追うと、2024年9月2日の回と2026年8月3日の回は、最頻値・最高値・最低値が同じ日に動いています。一方、2025年の回は最頻値が動いた3月3日から最低値が動いた3月17日まで14日かかり、2026年2月の回は2月2日から2月9日まで7日かかりました。この途中の時期は最頻値が定まらず、統計にも「不定」と記録されています。ニュースが「短期プライムレートが上がった」と伝えた時点で、自分の銀行がまだ上げていないことは実際に起きています。

適用金利が0.25ポイント違うと、返済額はどのくらい変わりますか?

残高3,000万円・残り35年・元利均等返済・金利は全期間一定という架空の設例で計算すると、年1.00%なら毎月84,686円、年1.25%なら毎月88,226円で、差は毎月3,540円です。35年分では1,486,800円の差になります。なお変動金利かつ元利均等返済で借入中の場合、上がってもすぐには返済額が変わりません。三菱UFJ銀行は告知で「変動金利かつ元利均等返済で借入中の場合、10月1日を基準とした5年間は返済額に変更はありません(返済額の元金分と利息分の割合は変わります)」と書いています。いわゆる5年ルールです。この場合に増えるのは、返済額のうち利息に回る分で、残高3,000万円で0.25ポイントならひと月6,250円です。元金均等返済にはこのルールがないため、この据え置きも働きません。

元金均等返済で借りています。5年ルールで返済額は据え置かれますか?

据え置かれません。5年ルールは「変動金利かつ元利均等返済」に付くルールだからです。三菱UFJ銀行は金利タイプの説明ページで「元金均等返済で借入の場合は、5年ルール・125%ルールはありません。」と書いています。元金均等返済は毎月返す元金の額が一定で、そこに残高に応じた利息を足して返す方式なので、適用金利が上がれば、その分だけ毎月の返済額そのものが増えます。元利均等返済のように内訳だけが変わって総額が据え置かれる、ということは起きません。したがって上げ幅がそのまま家計に出る時期は、元利均等返済より早くなります。なお同行の告知は「変動金利かつ元利均等返済で借入中の場合、10月1日を基準とした5年間は返済額に変更はありません」と書いており、この「10月1日」は5年を数える起点です(同行は「10月1日を1回経過する毎に1年経過したものとみなします。」と説明しています)。自分の返済方式は契約書か「ご返済のお知らせ」で確認してください。

短期プライムレートの差は、そのまま適用金利の差になりますか?

なりません。住宅ローンの適用金利は「基準金利 − 引下げ幅」で決まり、引下げ幅は契約ごとの条件だからです。銀行Aの短期プライムレートが銀行Bより0.25ポイント高くても、引下げ幅が0.25ポイント大きければ適用金利は同じになります。したがって短期プライムレートの水準だけを銀行間で比べても、借入条件の比較にはなりません。比べるべきは適用金利であり、自分の引下げ幅は契約書で確認するものです。この記事の計算は、引下げ幅が同じ場合に短期プライムレートの差がそのまま適用金利の差になったらどうなるか、という置き方をしています。

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