税金(教育費)

子ども・子育て支援金はいくら引かれているか ― 給与明細と年収別の実額

全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険料額表には、令和8年度から欄がひとつ増えています。健康保険料、厚生年金保険料と並んで、「子ども・子育て支援金」という列です。東京支部の表で、率は0.23%。標準報酬月額が30万円の人なら、全額690円、本人が負担する折半額は345円と印字されています。

表の見出しには、この欄だけ別の但し書きが付いています。

令和8年4月分(5月納付分)から納付いただきます

健康保険料率と介護保険料率は令和8年3月分から、厚生年金保険料率は平成29年9月分から適用されているのに対して、この欄だけが1か月遅れて始まりました。こども家庭庁のリーフレットも「令和8年4月保険料(5月に給与天引き)より支援金を拠出いただきます」と書いています。

こども家庭庁の説明どおりなら、2026年5月に支払われる給与から、すでに引かれていることになります。

結論

子ども・子育て支援金は、税ではなく医療保険料の一部として集められています。集めるルートが医療保険なので、給与天引きの欄は健康保険料と同じ場所に現れ、勤務先の明細の作り方によっては、健康保険料に合算されて1行にしか見えません。

額を決めるのは、自分の標準報酬月額と標準賞与額だけです。こどもの人数では変わりません。市町村国民健康保険のほうも、高校生年代までのこどもについては均等割が全額軽減されるため、こどもが増えても支援金は増えない設計になっています。子育て世帯が多く払う制度ではありません。

政府は「実質的な負担は生じない」と説明していますが、これは支援金を集めないという意味ではありません。集める額を、社会保障の歳出改革によって社会保険料の負担が軽くなる範囲内に収める、という設計を指しています。給与から引かれる欄は実在し、そこに印字される額はゼロではありません。

そして、この欄は今の額のままではありません。年度ごとに上がることが、制度を始める前から見込みとして示されています。

以下、実際にいくらなのかを計算します。

計算の前提

項目条件
加入している制度全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部
支援金率0.23%(令和8年度。国が示す一律の率。労使折半)
月給400,000円(報酬月額)
標準報酬月額410,000円(報酬月額が395,000円以上425,000円未満の等級)
賞与600,000円 × 2回(標準賞与額も同額)
年収月給12か月分と賞与2回分の合計
年齢40歳未満(介護保険第2号被保険者に該当しない)
こどもの数2人(支援金の額には影響しない。後述)
★月給400,000円・賞与600,000円という金額は説明のための架空の例示で、実在する誰かの給与ではありません。率・等級・端数処理はすべて公式資料の実数です。計算は scripts/calc-kodomo-kosodate-shienkin.py で行い、出力を転記しました。

① 額を決めているのは標準報酬月額

支援金の額は、標準報酬月額に支援金率を掛け、その半分が本人の負担です。協会けんぽの保険料額表に印字されている額と、率から計算した額を突き合わせます。

標準報酬月額全額(計算値)折半額(計算値)保険料額表
200,000円460円230円一致
300,000円690円345円一致
410,000円943円471円50銭一致

前提に置いた標準報酬月額410,000円の折半額は、471円50銭です。ここで端数が出ます。保険料額表は処理の方法を次のように定めています。

事業主が、給与から被保険者負担分を控除する場合、被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円となります。

50銭ちょうどは「50銭以下」なので切り捨てです。したがって毎月の給与から引かれるのは471円になります。

賞与からも引かれます。 リーフレットは「賞与からも支援金を拠出いただきます(標準賞与×支援金率)」としています。標準賞与額600,000円なら全額1,380円、本人負担は690円です。

年間の本人負担
  471円 × 12か月 =  5,652円
  690円 ×  2回   =  1,380円
                    7,032円

年間7,032円。事業主が同額を負担するので、この人ひとりについて集まる支援金は年14,064円になります。

標準賞与額には上限があります。保険料額表は「標準賞与額の上限は、健康保険、介護保険及び子ども・子育て支援金は年間573万円」としています。厚生年金保険の上限(月間150万円)とは別の定め方です。

② こども家庭庁の年収別試算と、実額がずれる理由

こども家庭庁は、被用者保険について年収別の試算を公表しています。

年収被保険者一人当たり(月額)
200万円192円
400万円384円
600万円575円
800万円767円
1,000万円959円

算出方法も同じ資料に書かれています。

年収(標準報酬総額。毎月の給料とボーナスの合計額)に、国が示す一律の支援金率(0.23%)を掛けて年額を算出。年額を、12で割って月額にしたものに、1/2(本人拠出分)を掛けて算出。

この式のとおりに計算すると、年収600万円は575円ちょうどで一致します。他の4つは割り切れませんが、1円未満を切り上げると5つとも公表値に一致しました(四捨五入では400万円と1,000万円の行が合いません)。

ところが、前提に置いたモデルの実額は年7,032円で、この試算の年6,900円(575円×12か月)とは132円ずれます。

ここで注意したいのは、この式が言う「年収」は手取りでも額面でもなく、括弧書きのとおり「標準報酬総額」だということです。つまり試算も、実際の徴収と同じく標準報酬に率を掛けています。掛ける対象が違うわけではありません。

ずれるのは、モデルの標準報酬総額が600万円ではないからです。標準報酬月額は報酬月額を等級の幅で区切った額なので、月給400,000円の人は410,000円の等級に入ります。

モデルの年収(実際の支給額)  400,000×12 + 600,000×2 = 6,000,000円
モデルの標準報酬総額          410,000×12 + 600,000×2 = 6,120,000円

この人は、試算表でいえば600万円の行の人ではありません。 612万円に同じ式を当てると月586円50銭・年7,038円で、600万円の行より138円多くなります。そこから毎月の50銭が切り捨てられて6円減り、差は132円に落ち着きます。

132円の内訳額
標準報酬総額が600万円→612万円に上がる分+138円
毎月50銭を切り捨てる分(0.5円 × 12か月)−6円
合計+132円

だから、自分の額を知りたいときに見るべきなのは年収ではなく標準報酬月額です。 月給と賞与の配分が同じでも、等級の幅のどこに入るかで標準報酬総額は変わります。

③ こどもの人数では増えない

支援金の額を決める要素に、扶養している人数は入っていません。被用者保険では標準報酬月額と標準賞与額だけで決まるので、こどもが0人でも3人でも、引かれる額は同じ471円です。

市町村国民健康保険には世帯の人数に応じた均等割がありますが、こちらにも手当てがされています。

支援金制度が少子化対策にかかるものであることに鑑み、こどもがいる世帯の拠出額が増えないよう、こども(18歳に達する日以後の最初の3月31日以前である者)についての均等割額は全額軽減。

年収別の試算表の注にも「子(18歳に達する日以後の最初の3月31日以前である者。高校生年代)については均等割額が全額軽減されるため、高校生年代までのこどもの数により上記試算における支援金額は変わらない」とあります。

国民健康保険と後期高齢者医療制度の支援金額は、市町村や広域連合の条例で決まります。こども家庭庁も、実際の支援金額は住んでいる市町村に確かめるよう案内しています。上の試算は一定の仮定を置いたモデルです。

④ 上がることが、先に示されている

支援金は、始まった額で固定ではありません。こども家庭庁の試算は、医療保険加入者1人当たりの平均月額を次のように見込んでいます。

年度加入者1人当たり平均(月額)集める総額
令和8年度250円概ね6,000億円
令和9年度350円概ね8,000億円
令和10年度450円概ね1兆円

被用者保険の年収別の額も、令和10年度について機械的な試算が示されています。根拠は同じ資料の注に書かれていて、「令和10年度に被用者保険において拠出いただく9,000億円について、令和4年度の総報酬である227兆円で割ると0.4%であることから、労使折半の下、本人拠出を0.2%として計算」したものです。

ただし、この数字は原文で「50円丸め」と断られています。 0.2%で割った値そのものではないので、自分で計算して突き合わせるときは注意してください。

年収0.2%で割った値公表値(50円丸め)
200万円333.33円350円
400万円666.67円650円
600万円1,000.00円1,000円
800万円1,333.33円1,350円
1,000万円1,666.67円1,650円

丸めの向きが行によって上下するのはこのためです。200万円の行が生値より16円67銭高く、400万円の行が16円67銭低いのは、率が変わったからではありません。

05001,0001,5002,000(円)1,650959200万円400万円600万円800万円1,000万円
令和10年度(機械的試算)令和8年度(試算)

2本の線の間隔が、これから開く幅です。年収が高いほど間隔が広がります。率が上がると、率を掛ける対象が大きい人ほど増え方が大きくなるためです。ただし上の線は令和4年度の総報酬をもとにした機械的な計算で50円単位に丸めてあり、賃金が上がれば下がる、と同庁は注記しています。

被用者保険に加入している人の、年収別の支援金額(本人負担・月額)。令和8年度はこども家庭庁の年収別試算、令和10年度は同庁が令和4年度の総報酬をもとに機械的に計算した参考値(50円丸め)。

同じ資料は、上の線について「政府が総力をあげて取り組む賃上げにより、今後、総報酬の伸びが進んだ場合には、数字が下がっていくことが想定される」とも書いています。率が動かなくても、率を掛ける総報酬が増えれば1人当たりの額は下がるという関係です。

前提に置いたモデルに、この0.2%をそのまま当てはめると、月820円・賞与1,200円で年12,240円になります。令和8年度の年7,032円との差は5,208円です。

ただしこれは、本人拠出0.2%という率を標準報酬月額と標準賞与額に当てはめた機械的な計算です。令和9年度以降に被用者保険へ適用される支援金率そのものは、2026年9月24日の時点で公表されていません。 こども家庭庁のページに書かれているのは「R8年度の一律の支援金率は0.23%です」までで、協会けんぽの保険料額表も令和8年度分までです。

⑤ 「実質的な負担は生じない」が指しているもの

年収別試算の表には、3枚とも同じ注が付いています。

令和8年度より支援金を拠出いただくことになるが、社会保障の歳出改革等を行うことで、支援金による負担は相殺されるため、支援金導入に伴う実質的な負担は生じない。

この説明が何を指しているかは、同庁の質問集に書かれています。

支援金については、歳出改革の取組などによる社会保険負担軽減の範囲内で導入することが、法律で決められています。

つまり、集める額の上限を、歳出改革で社会保険料の負担が軽くなる分の範囲内に抑えるという設計です。支援金を集めないという意味ではありません。

したがって、次の2つは両立します。

  • 給与明細の側:支援金の欄があり、額はゼロではない(モデルでは月471円)
  • 制度全体の側:その分、歳出改革によって社会保険料の負担が軽くなっている、という説明

自分の明細で確かめられるのは前者だけです。 後者は制度全体の収支の話なので、個人の給与明細には現れません。ここを混同すると「ゼロと言われたのに引かれている」という受け取り方になります。引かれること自体は、制度の説明どおりです。

⑥ 払う側と受け取る側を、同じ資料が並べている

子育て世帯は、支援金を払う側でもあり、支援金が充てられる給付を受け取る側でもあります。こども家庭庁の概要資料は、この2つを同じページに並べています。

子ども・子育て支援金制度の創設によるこども一人当たりの給付改善額(高校生年代までの合計)は約146万円。なお、現行の平均的な児童手当額約206万円とあわせると、合計約352万円となる。

同じページの下部に、拠出の側が書かれています。

支援金による医療保険加入者1人当たり拠出(平均)月約450円(※19年間の単純合計は約10万円)

450円×12か月×19年=102,600円なので、「約10万円」はこの計算です。

この2つは単純に引き算できる数字ではありません。給付改善額はこども1人当たり、拠出は医療保険加入者1人当たりで、分母が違います。こどもがいない加入者も拠出しますし、こどもが2人いる世帯の拠出が2倍になるわけでもありません。それでも、政府自身が同じページでこの2つを並べていることは、制度の説明のしかたとして押さえておく意味があります。

支援金が充てられる先は、次の6つです。

施策開始
児童手当の拡充(所得制限撤廃・高校生年代まで延長・第3子以降3万円)令和6年10月分から
妊婦のための支援給付令和7年度から
出生後休業支援給付(育児休業給付の手取り10割相当)令和7年度から
育児時短就業給付(時短勤務中の賃金の原則10%)令和7年度から
こども誰でも通園制度令和8年度から全国実施
育児期間中の国民年金保険料免除(国民年金第1号被保険者が対象)令和8年10月分から

児童手当がいくらになるかは「児童手当は結局いくらもらえるか」で計算しています。 支援金は、そこで計算した拡充分の財源でもあります。

育児休業中は支援金も免除されます。 こども家庭庁は「企業の従業員については、医療保険料や厚生年金保険料と同様に支援金も免除されます」としています。育休中に何が止まり、何が止まらないかは「育休中の社会保険料免除と手取り」で整理しています。

⑦ 「子ども・子育て拠出金」とは別のもの

保険料額表には、よく似た名前がもうひとつあります。

事業主の方は、児童手当の支給に要する費用等の一部として、子ども・子育て拠出金を負担いただくことになります。(被保険者の負担はありません。)この子ども・子育て拠出金の額は、被保険者個々の厚生年金保険の標準報酬月額および標準賞与額に、拠出金率(0.36%)を乗じて得た額の総額となります。

子ども・子育て支援金子ども・子育て拠出金
負担する人加入者本人と事業主(労使折半)事業主だけ
率0.23%(令和8年度)0.36%
掛ける対象健康保険の標準報酬月額・標準賞与額厚生年金保険の標準報酬月額・標準賞与額
上限標準賞与額は年間573万円標準賞与額は月間150万円

どちらも児童手当の財源になりますが、負担する人が違います。 拠出金は以前からあり、本人の負担はありません。令和8年度に加わったのは支援金のほうです。

名前が似ている制度がもうひとつあります。2027年4月に始まる予定の「就業者負担軽減支援金」です。こちらは払うものではなく受け取る給付で、制度も財源もまったく別です。内容は「就業者負担軽減支援金とは」で扱っています。

あなたの数字で確かめる手順

① 標準報酬月額を調べる

「標準報酬決定通知書」に書かれています。健康保険法41条は、毎年7月1日現在の被保険者について、その前3か月(4月・5月・6月)に受けた報酬の平均から標準報酬月額を決めると定めており、そこで決まった額は「その年の九月から翌年の八月までの各月の標準報酬月額」になります。決定は保険者等から事業主に通知され、事業主から本人に通知されます(同49条)。手続きは夏、反映されるのは9月分からです。

手元にない場合は、給与明細の健康保険料の額を、加入している保険者の保険料額表と突き合わせれば等級が分かります。月給そのものではなく、等級の幅で区切った額である点に注意してください。

② 率を掛けて、半分にする

毎月の本人負担 = 標準報酬月額 × 0.23% ÷ 2

円未満の端数は、50銭以下なら切り捨て、50銭を超えるなら切り上げます。

ただし保険料額表は、この端数処理に注を付けています。「①、②にかかわらず、事業主と被保険者間で特約がある場合には、特約に基づき端数処理をすることができます」。特約がある勤務先では、471円50銭が472円として引かれていることもあります。明細の額が1円違っても、それだけでは誤りとは言えません。 ÷2 にならない人が2通りあります。 ひとつは任意継続被保険者で、健康保険法161条1項はただし書で「任意継続被保険者は、その全額を負担する」と定めています。退職後に協会けんぽの任意継続を選んだ人は、支援金も全額が自己負担です。令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は320,000円なので、上限に当たる人で月736円になります。もうひとつは健康保険組合に加入している人で、同法162条は「健康保険組合は、前条第一項の規定にかかわらず、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料等額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができる」と定めています。支援金率は同法156条で一般保険料等額に含まれているので、事業主負担を増やしている健保組合では、本人の負担は半分より少なくなります。こども家庭庁が「基本的に支援金額の半分は企業が負担いたします」と書いているのは、このためです。自分の組合の規約を確かめてください。

③ 賞与の分を足す

賞与1回の本人負担 = 標準賞与額 × 0.23% ÷ 2

標準賞与額は、賞与額から1,000円未満を切り捨てた額です。

④ 年額にする

毎月の額を12倍し、賞与の回数分を足します。モデルの年収600万円では年7,032円でした。この額と同じだけを、勤務先も負担しています。

国民健康保険と後期高齢者医療制度に加入している場合は、市町村または広域連合の条例で額が決まるので、この式では出せません。お住まいの市町村にご確認ください。

まとめ

  • 子ども・子育て支援金の徴収は令和8年4月分の保険料から始まった。協会けんぽの保険料額表は、この欄だけ「令和8年4月分(5月納付分)から納付いただきます」と注記している
  • 被用者保険の率は0.23%。額は標準報酬月額と標準賞与額だけで決まる
  • 労使折半には例外が2つある。任意継続被保険者は全額が自己負担(健康保険法161条1項ただし書)。健康保険組合は規約で事業主の負担割合を増やせるので(同162条)、その組合では本人の負担は半分より少ない。こども家庭庁が「基本的に半分は企業が負担」と書いているのはこのため
  • 標準報酬月額410,000円なら折半額は471円50銭。端数は50銭以下なので切り捨てて、給与から引かれるのは471円(ただし事業主と被保険者の特約があれば端数処理は特約による、と保険料額表が注記している)
  • 標準賞与額600,000円の賞与からは690円。モデル(年収600万円)の年間本人負担は7,032円で、事業主が同額を負担する
  • こども家庭庁の年収別試算(年収600万円で月575円)が言う「年収」は、括弧書きのとおり標準報酬総額のこと。モデルの標準報酬総額は600万円ではなく612万円なので、600万円の行とは年132円ずれる(等級で上がる分+138円、毎月の50銭切り捨て−6円)
  • 試算表の額は、式の計算値を1円未満切り上げた額と5つとも一致した
  • 令和10年度の年収別の参考値(200万円で350円など)は原文で50円丸めと断られている。0.2%で割った生値そのものではない
  • こどもの人数では増えない。 被用者保険は標準報酬だけで決まり、国民健康保険でも高校生年代までのこどもの均等割は全額軽減される
  • 加入者1人当たりの平均月額は令和8年度250円 → 令和9年度350円 → 令和10年度450円と見込まれている。総額は概ね6,000億円 → 8,000億円 → 1兆円
  • 令和9年度以降の支援金率そのものは、2026年9月24日の時点で公表されていない
  • 「実質的な負担は生じない」は、集める額を歳出改革による社会保険負担軽減の範囲内に収めるという設計を指す。給与から引かれる欄がゼロになるという意味ではない
  • 「子ども・子育て拠出金」(率0.36%・事業主だけが負担)とは別の制度。名前は似ているが、負担する人も掛ける対象も違う
  • 育児休業中は、医療保険料や厚生年金保険料と同様に支援金も免除される。ただし条件も同じで、健康保険法159条1項により1か月以下の育児休業では賞与の分は免除されず、同項2号により同じ月のうちに終わる13日以下の育児休業では月々の分も免除されない

自分の額を知りたいときは、年収ではなく標準報酬月額を見てください。 明細に独立した行が無くても、保険料額表と突き合わせれば、いくら引かれているかは必ず分かります。

よくある質問

子ども・子育て支援金は、いつから引かれていますか?

令和8年(2026年)4月分の保険料からです。こども家庭庁の被用者保険加入者向けリーフレットは「令和8年4月保険料(5月に給与天引き)より支援金を拠出いただきます」と書いています。協会けんぽの令和8年3月分からの保険料額表も、子ども・子育て支援金の欄だけは「令和8年4月分(5月納付分)から納付いただきます」と別に注記しています。健康保険料や厚生年金保険料と同じ経路で、医療保険の保険料とあわせて徴収されるため、給与明細に独立した行として出るかどうかは勤務先の明細の作り方によります。額そのものは保険料額表から自分で確かめられます。

自分がいくら払っているか、どうすれば分かりますか?

被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)に加入している人は、標準報酬月額に支援金率0.23%を掛けた額が支援金の全額で、こども家庭庁の説明では「基本的に」その半分を勤務先が負担します。協会けんぽはこの折半どおりです。ただし健康保険組合は、健康保険法162条により「規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料等額…の負担の割合を増加することができる」とされており、支援金率は同法156条で一般保険料等額に含まれているため、事業主が半分より多く負担する健保組合では本人の負担はその分だけ少なくなります。以下は折半の場合です。たとえば標準報酬月額が41万円なら、全額943円、折半額471円50銭で、給与から引かれるのは471円です。円未満の端数は50銭以下なら切り捨てるという決まりがあるためです。賞与からも同じ率で引かれます。標準賞与額が60万円なら、全額1,380円、本人負担690円です。標準報酬月額は「標準報酬決定通知書」で分かります。健康保険法41条により、毎年7月1日現在の被保険者について4月から6月に受けた報酬の平均で決まり、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額になります。通知書が手元になければ、健康保険料の額を保険料額表と突き合わせても分かります。

こどもが多い世帯ほど、たくさん払うのですか?

逆です。被用者保険の支援金額は標準報酬月額と標準賞与額だけで決まるので、こどもが何人いても額は変わりません。市町村国民健康保険では世帯の人数に応じた均等割がありますが、こども家庭庁の資料は「支援金制度が少子化対策にかかるものであることに鑑み、こどもがいる世帯の拠出額が増えないよう、こども(18歳に達する日以後の最初の3月31日以前である者)についての均等割額は全額軽減」としています。つまり高校生年代までのこどもは、何人いても支援金の均等割が加算されません。国民健康保険の実際の額は市町村の条例で決まるので、お住まいの市町村にご確認ください。

「実質的な負担は生じない」と説明されているのに、なぜ引かれるのですか?

政府の説明は、支援金を集めないという意味ではなく、集める額を、社会保障の歳出改革などによって社会保険料の負担が軽くなる範囲内に収めるという設計を指しています。こども家庭庁は「支援金については、歳出改革の取組などによる社会保険負担軽減の範囲内で導入することが、法律で決められています」と説明しています。したがって給与から引かれる欄は実在し、額はゼロではありません。ゼロになるのは、支援金の額と、歳出改革によって軽くなった分とを差し引きした後の数字だという説明です。自分の給与明細で確かめられるのは前者だけで、後者は制度全体の話なので、個人の明細には現れません。

「子ども・子育て拠出金」と同じものですか?

別のものです。子ども・子育て拠出金は事業主だけが負担するもので、協会けんぽの保険料額表は「事業主の方は、児童手当の支給に要する費用等の一部として、子ども・子育て拠出金を負担いただくことになります。(被保険者の負担はありません。)」と書いています。率は0.36%で、厚生年金保険の標準報酬月額と標準賞与額に掛けます。一方の子ども・子育て支援金は、令和8年度から加入者本人も負担するもので、率は0.23%、労使折半です。名前が似ていて、どちらも児童手当の財源になりますが、負担する人も率も別に定められています。

育児休業中も引かれますか?

免除されます。こども家庭庁は「企業の従業員については、医療保険料や厚生年金保険料と同様に支援金も免除されます」としています。育児休業中は健康保険料と厚生年金保険料が免除されますが、支援金もその扱いにそろえられているということです。ただし「同様に」というのは、免除の条件も同じだという意味です。支援金は健康保険法156条によって健康保険の保険料額に含まれているため、免除は同法159条の条件に従います。同条1項の括弧書きは「その育児休業等の期間が一月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る」と定めているので、1か月以下の育児休業では月々の分しか免除されず、賞与から引かれる支援金は免除されません。さらに、育児休業を始めた月と終わった月が同じ場合は、同項2号が「当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が十四日以上である場合」と定めているので、同じ月のうちに終わる13日以下の育児休業では月々の分も免除されません。免除には事業主から保険者等への申出も要ります。また、免除されるのは社会保険料の側だけで、前年の所得に対してかかる住民税は育休中も納める必要があります。育休中の手取りの内訳は「育休中の社会保険料免除と手取り」の記事で計算しています。

支援金の額は、この先も同じですか?

上がることが予定されています。こども家庭庁の試算では、医療保険加入者1人当たりの平均月額が、令和8年度250円、令和9年度350円、令和10年度450円と見込まれています。集める総額も、令和8年度が概ね6,000億円、令和9年度が概ね8,000億円、令和10年度が概ね1兆円と示されています。ただし令和9年度に被用者保険へ適用される支援金率そのものは、2026年9月24日の時点でまだ公表されていません。令和8年度の0.23%は、国が一律の率として示したものです。

出典