税金

106万円の壁の撤廃は2026年10月1日 ― 政令はもう出ています

厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」は、パート・アルバイトが勤め先の社会保険に加入する要件を4つ挙げ、その4つ目にこう注記しています。

所定内賃金が月額8.8万円以上 ※3 最低賃金以上で週20時間以上働く方はこの要件も満たすことになるため、収入を意識する必要はありません。(2026年10月に賃金要件を撤廃予定) 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」従業員のみなさま>社会保険加入の要件(2026年9月25日に確認)

「予定」と書かれています。 けれども、その日を定める政令は、すでに公布されていました。

2026年9月11日の官報(号外第203号)に、政令第275号が載っています。

社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(以下「改正法」という。)附則第一条第一項第九号に掲げる規定(…を除く。)の施行期日は、令和八年十月一日とする。 令和8年政令第275号(官報 令和8年9月11日 号外第203号)

この「附則第一条第一項第九号に掲げる規定」の先頭に置かれているのが、厚生年金保険法第十二条第五号の改正規定、すなわち賃金要件の撤廃です。

結論

この法律は、施行日の決め方を2通り使い分けていました。法律の本文に日付を書いてしまったものと、政令に預けたものです。

いわゆる「年収の壁」のうち社会保険の賃金要件の撤廃は、後者でした。撤廃すること自体は法律で決まっていたものの、いつになるかは政令が出るまで分からない状態が、公布から1年あまり続きました。その政令が出て、日付が確定しています。

同じ日に、もうひとつ別の仕組みが動きます。こちらは法律の本文に日付が書かれていたもので、事業主が短時間労働者の保険料を一時的に肩代わりできる仕組みです。片方は入口の条件を1つ減らし、もう片方は入ったあとの負担を一時的に下げます。 決め方の違う2つが、結果として同じ日にそろいました。

ただし、撤廃で加入者が急に増えるわけではありません。撤廃の理由が「この要件がすでに働かなくなっていたから」だからです。 最低賃金が上がった結果、週の所定労働時間の要件を満たす人は賃金の要件も自動的に満たすようになっていました。条文から落ちるのは、役目を終えた要件のほうです。

そして、行政側の案内は足並みがそろいませんでした。施行の日に合わせて書き換わったページと、「予定」のまま止まったページが、同じ役所のサイトの中に並んでいます。制度がいつ動くかを役所の解説ページの表記で判断すると、遅れます。

計算の前提

項目置いた条件
保険者全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部
健康保険料率9.85%(令和8年3月分から適用)
子ども・子育て支援金率0.23%(令和8年4月分から適用)
厚生年金保険料率18.300%(平成29年9月分から適用)
年齢40歳未満(介護保険第2号被保険者に該当しない)
賞与無いものとする
端数処理給与から控除する場合の扱い(50銭以下は切り捨て、50銭を超えるときは切り上げ)
含めないもの雇用保険料・所得税・住民税
保険料率は都道府県支部ごとに違います。東京支部を使ったのは例示であって、推奨ではありません。ご自身の支部の料率は協会けんぽの一覧で確認してください。健康保険組合に加入している場合は、その組合の料率になります。

法律は、施行日を号ごとに分けて書いている

令和7年6月20日に公布された令和7年法律第74号(社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律)の附則第一条第一項は、施行日を第一号から第十五号まで、15の区分に分けています。この記事に関係する3つを並べます。

号何が動くか施行日の書かれ方実際の施行日
第五号附則第二十二条から第二十五条まで(保険料調整制度)令和八年十月一日(法律に日付)2026年10月1日
第七号この法律の第十二条の規定(平成24年機能強化法の一部改正。企業規模要件が置かれている法律)令和九年十月一日(法律に日付)2027年10月1日
第九号第三条中厚生年金保険法第十二条第五号の改正規定ほか(=賃金要件の撤廃)公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日2026年10月1日(政令第275号で確定)
表の「第十二条」はこの法律(令和7年法律第74号)の第十二条で、厚生年金保険法第十二条のことではありません。同じ番号が2つ出てくるので注意してください。厚生年金保険法第十二条第五号を改めるのは、この法律の第三条です。

第九号の条文は、こう始まります。

九 第三条中厚生年金保険法第十二条第五号の改正規定、… 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日 令和7年法律第74号 附則第一条第一項第九号(衆議院「議案本文」)

そして第九号が指している改正規定の中身は、こうです。

第十二条第五号中「からハまで」を「又はロ」に改め、同号中ロを削り、ハをロとする。 令和7年法律第74号 第三条(厚生年金保険法の一部改正)

厚生年金保険法第十二条第五号は、短時間労働者を被保険者としない場合を「イからハまで」の3つで書いています。そのロが、これです。

ロ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第二十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。 厚生年金保険法第十二条第五号ロ(e-Gov法令検索)

この「八万八千円未満」を丸ごと削る、というのが改正の中身です。 削られた後は、イ(週20時間未満)とハ(学生)の2つだけが残り、ハがロに繰り上がります。健康保険のほうも同じで、健康保険法第三条第一項第九号が同じ書きぶりで改められます(この法律の第三十三条)。

衆議院で修正されたが、この部分は動いていない

この法律案は衆議院で修正のうえ可決されました。可決された修正案を読むと、附則第一条第一項に触れているのは1か所だけです。

附則第一条第一項第一号中「附則第三条」の下に「、第三条の二」を加える。 同法律案に対する修正案(自民、立憲、公明)

第五号と第九号は、修正されていません。 提出時の法律案のまま成立しています。

政令は2026年9月11日に出た

政令第275号は、制定の根拠をこう書いています。

内閣は、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(令和七年法律第七十四号)附則第一条第一項第九号の規定に基づき、この政令を制定する。 令和8年政令第275号(官報 令和8年9月11日 号外第203号)

第九号を名指ししています。 そして施行期日を「令和八年十月一日」と定めています。

第九号に掲げる規定のうち、政令が施行期日から除いたものは3つあります。この法律の第十五条のうち平成25年改正法の表を改める部分、第二十九条のうち確定拠出年金法を改める部分、そして附則第三十三条です。賃金要件の撤廃(第三条中の改正規定)は、除かれていません。

除かれた「附則第三十三条」は、iDeCoの加入可能年齢に関する経過措置の規定です。健康保険法を改める「第三十三条」(本則)とは別のものなので、混同しないでください。

同じ日に、この施行に合わせた政令第276号(関係政令の整備)と厚生労働省令第138号(厚生労働省関係省令の整備)も公布されています。省令のほうには、厚生年金保険法附則第四条の六(最低賃金の減額特例を受けている人の適用除外の特例)を動かすための規定が入っています。この附則第四条の六も、第九号に掲げられた規定のひとつです。

9月4日の官報にあったのは、別の政令だった

その1週間前、2026年9月4日の官報(号外第198号)にも年金の政令が載っていますが、こちらは別物です。

政令題名
第269号地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令
第270号租税特別措置法施行令及び物資の流通の効率化に関する法律施行令の一部を改正する政令
第271号医療法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令
第272号社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の一部の施行に伴う経過措置に関する政令

年金の法律について9月4日に出たのは「経過措置に関する政令」で、施行期日を定める政令ではありません。 制定根拠も、附則第二十二条から第二十五条まで、つまり保険料調整制度の条文だけです。

この政令第272号は、第六条第一号で「施行日」をこう定義しています。

一 令和七年改正法附則第一条第一項第五号に掲げる規定の施行の日(以下「施行日」という。)において現に特定適用事業所である事業所 令和8年政令第272号 第六条第一号(申出をすることができない事業所)

第五号、つまり令和八年十月一日を「施行日」と呼んでいます。 9月4日の政令は保険料調整制度を動かすためのもので、賃金要件の撤廃を動かしたのは、1週間後の第275号でした。同じ法律について、1週間のあいだに別々の政令が2本出ています。 前者だけを見て「施行期日の政令はまだ出ていない」と判断すると、誤ります。

10月1日に始まる「保険料調整制度」とは何か

法律の条文はこう書いています。

適用事業所の事業主…は、…実施機関に申出をした場合は、厚生年金保険法第八十二条第一項の規定にかかわらず、当分の間、適用事業所に使用される短時間被保険者に係る事業主の負担すべき同法第八十一条第一項に規定する保険料…の負担の割合を、附則別表第二各号に掲げる期間の区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合(…「増加負担割合」という。)に百分の五十を加えた割合に増加することができる。 令和7年法律第74号 附則第二十二条第一項

事業主の負担割合が「50% + 増加負担割合」に上がり、そのぶん本人の負担割合が「50% − 増加負担割合」に下がります。

論点条文・告知が言っていること
誰が決めるか事業主。「事業主は…申出をした場合は」(附則第二十二条第一項)
誰が対象か短時間被保険者のうち標準報酬月額が126,000円以下の人(日本年金機構)。厚生年金は標準報酬月額等級の第一級から第六級までで70歳未満(附則第二十二条第十二項)、健康保険は第一級から第九級まで(附則第二十四条第十一項)
どの保険料か健康保険料と厚生年金保険料。「賞与にかかる保険料、介護保険料、子ども・子育て支援金は、保険料調整制度の対象外です」(日本年金機構)
どのくらいの期間か通算36か月。「通算して三十六月間の各月の…保険料について適用する」(附則第二十二条第七項)
申出の期限基準日から「起算して二年を経過した日が属する月の前月までの間に」(同条第一項)
一部の人だけ使えるか使えない。「希望した一部の対象被保険者のみ制度を利用することはできません」(日本年金機構)
対象から外れる人事業所が使っていても、複数の事業所で健康保険・厚生年金保険に加入している人と、産前産後休業・育児休業等で保険料が免除されている人は対象外(日本年金機構)。70歳以上の高齢任意加入被保険者も厚生年金の側は対象外
事業主の最終負担「最終的に事業主が納付する保険料は増えません」(厚生労働省・特設サイト)
将来の年金「従業員が将来受け取る年金額にも影響はありません」(同)
厚生年金の側だけに「70歳未満」が付いているのは、70歳で厚生年金の被保険者資格が切れるためです。日本年金機構は「70歳以上の被保険者は、健康保険料のみ保険料調整制度の対象となります」と書いています。

勤め先が制度を使っていても、本人の事情で外れることがあります。日本年金機構は「保険料調整制度の対象とならない被保険者」として3つを挙げています。

70歳以上で、任意で厚生年金保険に加入している被保険者(高齢任意加入被保険者)/複数の事業所で健康保険・厚生年金保険に加入している被保険者/産前産後休業や育児休業等期間中により、健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されている被保険者 日本年金機構「保険料調整制度の対象となる被保険者」(2026年9月11日更新)

掛け持ちで2か所の社会保険に入っている人と、産休・育休で保険料がすでに免除されている人は、勤め先が申し出ていても軽減されません。 産休・育休のほうは、そもそも本人負担分が免除されている期間なので、軽減する保険料がありません。

10月1日から使えるのは、まず「任意特定適用事業所」

附則第二十二条第一項は、使える事業所を4つの号で書いています。そのうち令和八年十月一日が出てくるのは第一号です。

一 令和八年十月一日以後に平成二十四年機能強化法附則第十七条第五項に規定する申出をした事業主の適用事業所 当該申出が受理された日 令和7年法律第74号 附則第二十二条第一項第一号

この「申出」を、日本年金機構は任意特定適用事業所の申し出と呼んでいます。まだ対象でない事業所が、労使の合意に基づいて自分から短時間労働者を加入させる、という手続きです。厚生労働省のリーフレットは「従業員の2分の1以上の同意があれば、短時間労働者も社会保険に加入することができます」と書いています。

いっぽう、すでに対象になっている事業所は使えません。日本年金機構は、対象とならない事業所として「2026(令和8)年10月1日時点ですでに、特定適用事業所(任意特定適用事業所を含む)となっている事業所」を挙げています。さきほど引いた令和8年政令第272号 第六条第一号と同じ内容です。

したがって、従業員51人以上の企業でもう社会保険に入っているパートの人には、保険料調整制度のほうは関係がありません。 効くのは、これから任意に加入する事業所と、2027年10月以降に企業規模要件で順に対象になる事業所です。

下がる額は、標準報酬月額で決まる

日本年金機構は、保険料軽減割合の表をこう公表しています。

標準報酬月額制度利用1〜2年目の軽減割合制度利用3年目の軽減割合
〜88,000円25%12.5%
98,000円20%10%
104,000円14%7%
110,000円9%4.5%
118,000円5%2.5%
126,000円2%1%

下の等級ほど軽減が大きく、126,000円では2%しかありません。 126,000円を超えると、この制度から外れます。

この割合は、法律の附則別表第二(厚生年金)と附則別表第三(健康保険)に定められたものです。2つの表は等級の刻みが違います。 厚生年金の標準報酬月額等級は第一級が88,000円から始まりますが、健康保険は第一級が58,000円から始まるためです。

標準報酬月額厚生年金の等級(別表第二)健康保険の等級(別表第三)
88,000円第一級 = 25%第四級 = 25%
98,000円第二級 = 20%第五級 = 20%
104,000円第三級 = 14%第六級 = 14%
110,000円第四級 = 9%第七級 = 9%
118,000円第五級 = 5%第八級 = 5%
126,000円第六級 = 2%第九級 = 2%
健康保険の別表第三は第一級から第四級までを一律25%としています。標準報酬月額でそろえると、どちらの表でも同じ割合になるため、日本年金機構は上の表のように標準報酬月額だけで示しています。

25か月目から、軽減幅は半分になる

別表第二は期間を2つに分けています。

二 …通算して二年を経過した月から、当該申出があった日の属する月から通算して三年を経過した月の前月までの期間 …第一級 百分の二十五に二分の一を乗じて得た割合… 令和7年法律第74号 附則別表第二 二

1か月目から24か月目までは表のとおり、25か月目から36か月目までは半分です。

実額で数える

協会けんぽ東京支部の令和8年度の料率で、本人負担を計算しました。

標準報酬月額通常(労使折半)1〜24か月目差25〜36か月目差
88,000円12,487円6,294円−6,193円9,390円−3,097円
98,000円13,906円8,389円−5,517円11,148円−2,758円
104,000円14,758円10,660円−4,098円12,709円−2,049円
110,000円15,608円12,821円−2,787円14,215円−1,393円
118,000円16,744円15,083円−1,661円15,914円−830円
126,000円17,879円17,170円−709円17,524円−355円
健康保険料・厚生年金保険料・子ども・子育て支援金の本人負担分の合計です。雇用保険料・所得税・住民税は含みません。

36か月を通した合計の軽減額は、こうなります。

標準報酬月額年収換算36か月の軽減額の合計
88,000円1,056,000円185,796円
98,000円1,176,000円165,504円
104,000円1,248,000円122,940円
110,000円1,320,000円83,604円
118,000円1,416,000円49,824円
126,000円1,512,000円21,276円
年収換算は標準報酬月額を12倍した参考値です。賞与は無いものとしています。「106万円の壁」という呼び名は、いちばん下の1,056,000円から来ています。

減らない部分がある

12,487円通常労使折半6,294円1〜24か月目本人25%9,390円25〜36か月目本人37.5%
通常労使折半1〜24か月目本人25%25〜36か月目本人37.5%
厚生年金保険料8,0524,0266,039
健康保険料4,3342,1673,250
子ども・子育て支援金101101101
合計12,4876,2949,390

3本とも、いちばん上の細い帯(子ども・子育て支援金)の高さが変わっていません。101円のままです。制度が動かすのは下の2つだけで、子ども・子育て支援納付金に充てられる分は条文で対象から外されているためです。

標準報酬月額88,000円の人の、毎月の本人負担の内訳(協会けんぽ東京支部・令和8年度の料率・40歳未満)。保険料調整制度は健康保険料と厚生年金保険料の負担割合を動かしますが、子ども・子育て支援金には効きません。

法律は、対象になる健康保険料からこれを除いています。

同項に規定する健康保険事業に要する費用(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による納付金及び子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)の規定による子ども・子育て支援納付金…に充てられるもの…を除く。 令和7年法律第74号 附則第二十四条第一項

日本年金機構も「賞与にかかる保険料、介護保険料、子ども・子育て支援金は、保険料調整制度の対象外です」と書いています。40歳以上の人は、介護保険料の分も軽減されません。 この記事の表は40歳未満で計算しています。

賃金要件の撤廃は、何を待っていたのか

厚生労働省の法律説明資料(詳細版)は、判断の基準をこう書いていました。

撤廃の時期については、全国の最低賃金の引上げの状況を見極めて判断します(法律の公布から3年以内)。 厚生労働省「法律説明資料(詳細版)」

最低賃金です。 理由は計算すれば分かります。週20時間働いて月額88,000円に届く時給を求めると、こうなります。

88,000円 × 12か月 ÷ 52週 ÷ 20時間 = 1,015.3846… 円

1,016円以上なら届きます。 時給1,016円で週20時間働くと月額88,053円になり、8.8万円を超えます。時給1,015円では87,966円で届きません。厚生労働省のリーフレットはこう書いています。

今般、全ての都道府県で令和7年度地域別最低賃金が時給1,016円を超えたことにより、週20時間以上働くすべての方が自動的に社会保険の加入対象になるため、令和7年年金制度改正法に基づき、令和8(2026)年10月に賃金要件を撤廃する予定です。 厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」(令和8年1月作成)

令和7年度の地域別最低賃金を見ると、最低額は1,023円(高知・宮崎・沖縄)、全国加重平均は1,121円、最高額は東京の1,226円でした。たしかに全都道府県で1,016円を超えています。

時給週20時間で働いたときの月額標準報酬月額の等級
1,023円(令和7年度の最低額)88,660円第一級(88,000円)
1,121円(令和7年度の全国加重平均)97,153円第二級(98,000円)
1,226円(東京・令和7年度)106,253円第三級(104,000円)
時給 × 20時間 × 52週 ÷ 12か月。等級は厚生年金保険法第二十条第一項の表にあてはめたものです。実際の標準報酬月額は、資格取得時の報酬の見込額などから決まります。

最低賃金の水準で週20時間働く人は、第一級に入ります。 軽減がいちばん大きい帯です。

ただし、全部が発効したのは2026年3月31日

令和7年度の地域別最低賃金は、発効日が都道府県ごとに違います。令和7年度の一覧を見ると、最も遅いのは秋田の令和8年3月31日でした。群馬が令和8年3月1日、福島・徳島・熊本・大分が令和8年1月1日です。

「全ての都道府県で1,016円を超えた」という状態が実際にそろったのは、2026年3月31日です。 その約5か月後に政令が出た、という順番になります。

撤廃されても残るもの

賃金要件が消えても、加入の判定に使う要件は残ります。

要件撤廃されるか
勤め先の従業員数(2027年9月までは51人以上)残る。段階的に下がる
週の所定労働時間が20時間以上残る
学生ではない残る
所定内賃金が月額8.8万円以上これが2026年10月1日に撤廃される
このほか、フルタイムの従業員と同じく2か月を超えて雇用される見込みであることが必要です(厚生労働省・特設サイト)。

従業員数の要件は、厚生労働省の施行日の一覧によると、36人以上の企業が2027年10月から、21人以上が2029年10月から、11人以上が2032年10月から、10人以下が2035年10月から対象になります。

そして、例外があります。

ただし、最低賃金法では一定の場合に最低賃金の減額を許可する特例があり、この特例の対象となる短時間労働者のうち、月額賃金8.8万円未満である方は、原則社会保険に加入しないこととなります(申出により任意で加入することは可能。)。 厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」

これが、厚生年金保険法に新しく加わる附則第四条の六です。同じ2026年10月1日に動きます。「全員が週20時間だけで判定される」わけではありません。

130万円の壁は、これとは別の制度です。加入対象にならない人が配偶者などの健康保険の被扶養者でいられるかどうかの基準で、今回の改正では動きません。

あなたの数字で確かめる手順

① 勤め先の従業員数を確認する

厚生年金保険の被保険者数で判断します。法人なら法人全体です。51人以上なら、すでに短時間労働者の適用対象です。

② 週の所定労働時間を確認する

雇用契約書か就業規則に書かれている、通常の週に勤務する時間です。残業時間は原則として含みません。2026年10月1日以降、8.8万円という金額の線は判定に使われません。

③ 標準報酬月額を見る

給与明細か「標準報酬決定通知書」で確認できます。126,000円以下なら、保険料調整制度の対象になりうる帯です。

④ 勤め先が「すでに特定適用事業所か」を確かめる

保険料調整制度は、2026年10月1日の時点ですでに特定適用事業所になっている事業所では使えません。すでに社会保険に入っているパートの人は、この制度の対象外だと考えてください。

⑤ 事業主が申し出ているかを尋ねる

申出をするのは事業主で、しかも事業所単位です。一部の人だけ使うことはできません。勤め先が任意特定適用事業所の申出をしているか、保険料調整制度を使う予定があるかを、人事・労務の担当者に確認してください。

なお、勤め先が使っていても、掛け持ちで2か所の社会保険に入っている人と、産休・育休で保険料が免除されている人は対象外です。

その後 ― 2026年10月1日が来た(2026年10月1日 追記)

政令が定めた施行日が来ました。賃金要件の撤廃と保険料調整制度は、きょうから動いています。

この記事が指摘した「予定」の表記は、まだ直っていません。 厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトを施行日当日に見ても、加入要件の4つ目の注記は執筆時と同じままでした。

所定内賃金が月額8.8万円以上 ※3 最低賃金以上で週20時間以上働く方はこの要件も満たすことになるため、収入を意識する必要はありません。(2026年10月に賃金要件を撤廃予定) 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」従業員のみなさま>社会保険加入の要件(2026年10月1日に確認)

「2026年10月に撤廃予定」と書かれている2026年10月が、もう始まっています。解説ページの表記が法令に追いつくまでには時間がかかる、ということがそのまま残った形です。 加入の要件そのものは政令で確定しているので、勤め先や年金事務所に確認するときは、この表記を根拠にしないでください。

同じページの企業規模要件の記載にも変更はありません。従業員数36〜50人の企業が2027年10月から、21〜35人が2029年10月から、11〜20人が2032年10月から、10人以下が2035年10月から対象になる、という段階は執筆時のままです。

その後 ― 運用する側は、施行日に動いていました(2026年10月21日 追記)

前回(施行日当日)の追記で「厚生労働省も日本年金機構も『予定』のまま」と書いたのは、見たページが足りませんでした。 あの日に確認したのは、年金機構の保険料調整制度のページです。適用拡大の側のページは見ていませんでした。 そちらは、施行日である2026年10月1日付で更新されていました。

見た先2026年10月21日の状態
日本年金機構 年金用語集「短時間労働者」更新日2026年10月1日。「週の所定労働時間が20時間以上かつ、学生ではない方」。8.8万円の記載が無い
日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」更新日2026年10月1日。 加入対象者の説明から8.8万円が消え、チラシ1本と23問のQ&Aが新しく載った
厚生労働省 特設サイト「適用拡大Q&A」直っている。 Q1は要件を週20時間以上と学生でないことの2つだけ挙げ、注記で「令和7年年金制度改正により、2026年10月に撤廃されました」
厚生労働省 特設サイト「社会保険加入の要件」変わっていない。 要件に「所定内賃金が月額8.8万円以上」を挙げ、「(2026年10月に賃金要件を撤廃予定)」のまま

同じ特設サイトの中で、要件のページとQ&Aのページが別のことを書いています。 Q&Aのほうはこうです。

短時間労働者の社会保険加入の要件の1つであった賃金要件(所定内賃金の月額が8.8万円以上)については、令和7年年金制度改正により、2026年10月に撤廃されました。そのため、年収約106万円を気にする必要はありません。 厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」適用拡大Q&A Q4(2026年10月21日に確認)

「行政の案内が遅れる」より一段ややこしい状態になりました。 同じ役所の同じサイトでも、ページによって新旧が混ざります。

条文の側も、すでに書き換わっています

e-Gov法令検索で厚生年金保険法第十二条第五号を引くと、こうなっています。

 …に該当し、かつ、イ又はロのいずれかの要件に該当するもの  イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。  ロ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。 厚生年金保険法第十二条第五号(e-Gov法令検索・法令API。2026年10月21日に取得)

記事が「丸ごと削る」と書いた旧ロ(八万八千円未満であること)は、残っていません。 健康保険法第三条第一項第九号も同じ形です。

WRITING.md に書いたとおり、e-Gov法令検索は当年の改正が反映されていないことがあります。ここでは官報の政令・年金機構のQ&A・厚生労働省のQ&Aでも同じ結論を確認しています。

附則第四条の六は、手続きまで決まっていました

記事は、最低賃金の減額特例を受けている人の除外について「これが、厚生年金保険法に新しく加わる附則第四条の六です」と1文だけ書きました。その条文と、運用のQ&Aを読みます。

 当分の間、適用事業所に使用される、七十歳未満の短時間労働者のうち、最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第七条の規定の適用を受ける同条各号に掲げる労働者であつて、その者の報酬(…)について、…第二十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であるもの(以下この条において「特定減額特例対象者」という。)については、第九条の規定にかかわらず、被保険者としない。 厚生年金保険法附則第四条の六第一項(e-Gov法令検索・法令API。2026年10月21日に取得)

条文は「かつ」で2つを重ねています。 年金機構のチラシも、A(所定内賃金が月額8.8万円未満)とB(最低賃金減額の特例許可を受けている者)の両方に該当する人が特定減額特例対象者だと図で示しています。どちらか一方では当たりません。

除く理由は、Q&Aに書かれています。

特定減額特例対象者については保険料負担が報酬に比して過大になる場合があることから、当分の間、被保険者としないこととしました。 日本年金機構「賃金要件の撤廃及び当該撤廃に伴う適用除外等の特例に係る事務の取扱いに係るQ&Aについて(令和8年10月施行分)」A5

そして、この人たちは自分から申し出れば加入できます。

論点条文・Q&Aが言っていること
誰が決めるか本人。「申出をしたときは、その者は、…被保険者となることができる」(附則第四条の六第二項)
事業主の同意不要で、拒否権もない。 申出書を受けた事業主には届出の義務があり、しなければ「法令違反となることを説明し指導します」(A10・A21)
いつから被保険者か申出書が受理された日(同条第三項、A15)
期限定めが無い(A15)
健康保険だけ・厚生年金だけ選べない。 双方の申出ができる場合は同時に行う(同条第七項、A7)
やめられるかいつでも。 申出が受理された日の翌日に喪失する(同条第五項・第六項、A16)
保険料一般の被保険者と同じ労使折半。保険料調整制度を使っている事業所なら、その対象にもなる(A11)
令和8年9月以前にさかのぼるとき撤廃前の基準で判定する。「遡及して被保険者資格を取得する場合は、撤廃前と同じ基準で、賃金要件も満たす必要があります」(A2)

最後の行は、この記事の読者にいちばん効きます。 10月1日より前の期間について資格を取り直す場面では、撤廃された賃金要件がまだ生きています。

そして保険料調整制度との関係も、Q&Aで初めてはっきりしました。 申出で加入した特定減額特例対象者は、勤め先が保険料調整制度を使っていればその対象にもなります。本記事の後半で数えた軽減の帯が、そのまま当てはまります。

条文は、特定減額特例対象者でなくなったときも資格を喪失すると書いています(附則第四条の六第六項第三号)。ただし厚生年金保険法施行令第六条の二の五が、同一の事業所に引き続き使用され第十二条各号のいずれにも該当しない場合は「被保険者の資格を取得し、又は喪失しなかつたものとみなす」としています。実務では資格は切れず、被保険者区分変更届を出す形になります(A19・A20)。

まとめ

  • 賃金要件(106万円の壁)を撤廃する日は、2026年10月1日で確定している。 根拠は令和8年9月11日に公布された令和8年政令第275号で、令和7年法律第74号 附則第一条第一項第九号に掲げる規定の施行期日を「令和八年十月一日」と定めている
  • ただし厚生労働省の社会保険適用拡大特設サイトは、2026年9月25日の時点でも「2026年10月に賃金要件を撤廃予定」と「予定」の表記のまま。日本年金機構の案内も同じ。行政の解説ページの表記は、法令より遅れることがある
  • 9月4日の官報(号外第198号)に載った年金の政令(第272号)は「経過措置に関する政令」で、施行期日を定める政令ではない。同じ法律について、1週間のあいだに別々の政令が2本出ている
  • 同じ2026年10月1日に、保険料調整制度も始まる。こちらは法律の本文に「令和八年十月一日」と日付が書かれていた(附則第一条第一項第五号)
  • 保険料調整制度は事業主が申し出るもので、事業所単位。本人からは申し出られず、一部の人だけ使うこともできない
  • 対象は標準報酬月額126,000円以下の短時間被保険者。厚生年金の側だけ70歳未満の条件が付く
  • 勤め先が使っていても、複数の事業所で社会保険に入っている人と、産前産後休業・育児休業等で保険料が免除されている人は対象から外れる(日本年金機構)
  • 軽減の幅は標準報酬月額で決まる(25%・20%・14%・9%・5%・2%)。下の等級ほど大きい
  • 期間は通算36か月。25か月目からは半分になる
  • 協会けんぽ東京支部・40歳未満・賞与なしで計算すると、標準報酬月額88,000円の人の本人負担は月12,487円から月6,294円へ。36か月の合計で185,796円減る
  • 子ども・子育て支援金は減らない。条文が対象から外している(附則第二十四条第一項)。40歳以上の介護保険料の分も同じ
  • 10月1日から保険料調整制度を使えるのは、まず任意特定適用事業所の申出をした事業所。すでに特定適用事業所である事業所は使えない(令和8年政令第272号 第六条第一号)
  • 撤廃で加入者が急に増えるわけではない。令和7年度の地域別最低賃金の最低額は1,023円で、この時給で週20時間働くと月額88,660円。賃金要件はすでに働かなくなっていた

よくある質問

106万円の壁は2026年10月になくなるのですか?

なくなります。日付は政令で確定しています。根拠となる令和7年法律第74号は、賃金要件(所定内賃金が月額8.8万円以上)を撤廃する改正を附則第一条第一項第九号に置き、その施行日を「公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」としていました。その政令が令和8年9月11日に公布された令和8年政令第275号で、同号に掲げる規定の施行期日を「令和八年十月一日」と定めています。すでに施行されており、e-Gov法令検索で厚生年金保険法第十二条第五号を引くと、短時間労働者を被保険者としない場合はイ(週の所定労働時間が20時間未満)とロ(学生)の2つだけで、「八万八千円未満であること」という定めは残っていません。健康保険法第三条第一項第九号も同じ形です。ただし行政側の案内は足並みがそろっていません。日本年金機構は施行日である2026年10月1日付で年金用語集と適用拡大のご案内を更新し、8.8万円の要件を記述から落としたうえ、23問のQ&Aとチラシを公開しました。厚生労働省も特設サイトの「適用拡大Q&A」は「撤廃されました」に直しています。けれども同じ特設サイトの「社会保険加入の要件」のページは、2026年10月21日の時点でも要件に「所定内賃金が月額8.8万円以上」を挙げ、「(2026年10月に賃金要件を撤廃予定)」と書いたままです。判断の根拠にするのは、政令と条文のほうです。

撤廃されると、いきなり加入する人が増えるのですか?

急には増えません。撤廃の理由が「賃金要件がすでに働かなくなっていたから」だからです。厚生労働省は、週20時間働いて月額8.8万円に届く時給を1,016円とし、令和7年度の地域別最低賃金が全都道府県でこれを超えたため、週20時間以上働く人は賃金要件を自動的に満たすようになった、と説明しています。令和7年度の最低額は1,023円(高知・宮崎・沖縄)で、この時給で週20時間働くと月額88,660円になり、すでに8.8万円を超えています。つまり撤廃は、実質的な効力を失った要件を条文から落とす改正です。加入対象が広がるのは、むしろ企業規模要件が段階的に下がっていく2027年10月からのほうです。

同じ2026年10月1日に、ほかに何が始まりますか?

保険料調整制度です。令和7年法律第74号の附則第一条第一項第五号は、附則第二十二条から第二十五条までの規定を「令和八年十月一日」から施行すると、法律の本文に日付で書いています。この附則第二十二条から第二十五条までが、事業主が申し出ることで短時間労働者の健康保険料と厚生年金保険料の負担割合を引き上げ、そのぶん本人の負担割合を下げられる仕組みです。厚生労働省は社会保険適用拡大特設サイトで「事業主が従業員の保険料を一時的に負担することにより、従業員の保険料負担を通算3年間軽減(※)することができます」と説明しています。賃金要件の撤廃は政令で、保険料調整制度は法律本文で、それぞれ同じ日に施行されることになりました。

保険料調整制度は、自分で申し込めますか?

申し込めません。制度を使うかどうかを決めるのは事業主です。令和7年法律第74号の附則第二十二条第一項は「適用事業所の事業主は…実施機関に申出をした場合は」と書いており、申出をする主体は事業主に限られています。しかも日本年金機構は「保険料調整制度は事業所単位で適用が決まる制度であり、制度を利用する事業所に勤務するすべての対象被保険者に制度が適用されます」「希望した一部の対象被保険者のみ制度を利用することはできません」と説明しています。本人ができるのは、勤め先が申し出ているかを尋ねることだけです。なお申出には期限があり、同項は基準日から「起算して二年を経過した日が属する月の前月までの間に」申し出ることを求めています。手続きの窓口は日本年金機構です。

保険料はどのくらい下がるのですか?

標準報酬月額で決まります。日本年金機構は、標準報酬月額88,000円以下が25%、98,000円が20%、104,000円が14%、110,000円が9%、118,000円が5%、126,000円が2%という保険料軽減割合の表を公表しています。この割合のぶんだけ事業主の負担が増え、本人の負担が減ります。協会けんぽ東京支部の令和8年度の料率(健康保険9.85%・厚生年金18.300%)で、40歳未満・賞与なしとして計算すると、標準報酬月額88,000円の人の本人負担は月12,487円から6,294円へ、月6,193円下がります。標準報酬月額126,000円なら月17,879円から17,170円で、下がるのは月709円です。月収が低い人ほど効くように設計されています。

軽減はいつまで続きますか?

通算36か月です。令和7年法律第74号の附則第二十二条第七項は「同項の申出があった日の属する月から通算して三十六月間の各月の短時間被保険者に係る厚生年金保険料について適用する」としています。ただし一律ではなく、附則別表第二と附則別表第三は期間を2つに分けています。申出の月から通算して2年を経過した月の前月までは表に定める割合、そこから3年を経過した月の前月までは「二分の一を乗じて得た割合」です。つまり25か月目からは軽減幅が半分になります。日本年金機構も「制度利用開始月から通算して3年目は保険料軽減割合が1~2年目の半分となります」と書いています。標準報酬月額88,000円なら、1か月目から24か月目までは月6,193円、25か月目から36か月目までは月3,097円下がる計算で、36か月の合計は185,796円です。

保険料が減ると、将来の年金も減りますか?

減りません。保険料調整制度で変わるのは、労使のあいだの負担割合だけだからです。厚生年金保険料の額そのものは標準報酬月額に保険料率を乗じた額のままで、被保険者期間も標準報酬月額も変わりません。厚生労働省も社会保険適用拡大特設サイトで「従業員が将来受け取る年金額にも影響はありません」と書いています。あわせて同サイトは「事業主には軽減分を一時的に負担いただきますが、一定期間経過後に追加負担分を調整するため、最終的に事業主が納付する保険料は増えません」とも書いており、事業主が負担しきりになる仕組みでもありません。

賃金要件が撤廃されたら、130万円の壁もなくなりますか?

なくなりません。この2つは別の制度です。撤廃されるのは、勤め先の社会保険に加入するかどうかを決める4つの要件のうち「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件です。130万円の壁は、加入対象にならない人が配偶者などの健康保険の被扶養者でいられるかどうかの認定基準で、今回の改正で動きません。また、賃金要件が撤廃されても、週の所定労働時間が20時間以上であること、学生でないこと、勤め先の従業員数の要件は残ります。厚生労働省は、従業員数の要件について、36人以上の企業が2027年10月から、21人以上が2029年10月から、11人以上が2032年10月から、10人以下が2035年10月から対象になると示しています。

出典

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