税金

公金受取口座を登録していないと、2027年秋の給付は申請が必要になる

デジタル庁は、公金受取口座の登録状況をダッシュボードで公表しています。2026年9月25日に更新された最新のデータテーブルによると、2026年8月末の累計登録数は63,856,088件、登録率は61.1%(小数第1位まで公表されています)。

その登録率は、この13か月でずっと下がり続けています。

年月累計登録数登録率
2025年7月63,526,373件64.5%
2025年12月63,372,586件63.0%
2026年3月63,711,056件62.3%
2026年8月63,856,088件61.1%
デジタル庁「公金受取口座の登録状況に関するダッシュボード」のデータテーブル(CSV・2026年9月25日更新)から抜き出したものです。14か月分すべての数字は後ろの表に載せています。

登録数は減っていません。13か月で329,715件増えています。それなのに率が3.4ポイント下がっているのは、分母が別のものだからです。

結論

登録率という1つの数字が、2つ流通しています。 分母が違うからです。デジタル庁のダッシュボードはマイナンバーカードの保有枚数を分母にし、内閣官房の資料は人口に近い見方をしています。どちらが正しいかではなく、どちらの分母で見るかの問題です。

そして、どちらの率も読者には関係がありません。関係があるのは「自分が登録しているか」だけです。 2027年4月に始まる就業者負担軽減支援金は、公金受取口座を登録している人には市町村が職権で認定でき、登録していない人は請求することになります。同じ給付が、申請の要る人と要らない人に分かれます。

しかも、登録してあるつもりで使えなくなっていることがあります。 口座を解約した、口座が凍結された、結婚して口座名義が変わった。いずれも国の側で登録が止められる事由です。止められたことは通知で知らされますが、通知はマイナポータルのお知らせやはがきで届くので、見落としても誰も教えてくれません。

いま確かめられることです。 以下、公表データで登録の実態を見てから、確認の手順を書きます。

計算の前提

項目内容
登録数・登録率デジタル庁「公金受取口座の登録状況に関するダッシュボード」データテーブル(CSV・2026年9月25日更新)。2025年7月から2026年8月までの14か月
マイナンバーカードの保有枚数デジタル庁「マイナンバーカードの普及・利活用に関するダッシュボード」データテーブル(CSV・2026年10月2日更新)
人口総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和8年1月1日現在)」資料2。総計123,767,642人・日本人住民119,736,483人
給付金等の数デジタル庁「公金受取口座を利用して受け取ることができる給付金等」の給付金等一覧(Excel・2025年11月28日時点)を数えた
支援金の根拠令和8年10月9日に第222回国会へ提出された法律案(閣法第1号)の条文
計算scripts/calc-koukin-uketori-kouza.py の出力を転記

登録率の分母は、人口ではありません

デジタル庁は、ダッシュボードの数値の定義を別のページで公表しています。

登録率:「公金受取口座の累計登録数 ÷マイナンバーカードの保有枚数」によって算出 デジタル庁「データの定義:公金受取口座の登録状況に関するダッシュボード」

この定義のとおりに割り算をすると、公表されている登録率が14か月すべて再現できます。

年月累計登録数カードの保有枚数計算した率公表されている率
2025年7月63,526,373件98,524,335枚64.48%64.5%
2025年8月63,513,119件98,814,560枚64.28%64.3%
2025年9月63,472,983件99,080,040枚64.06%64.1%
2025年10月63,460,254件99,477,291枚63.79%63.8%
2025年11月63,391,987件99,932,388枚63.43%63.4%
2025年12月63,372,586件100,646,892枚62.97%63.0%
2026年1月63,371,229件101,148,007枚62.65%62.7%
2026年2月63,420,885件101,737,980枚62.34%62.3%
2026年3月63,711,056件102,205,295枚62.34%62.3%
2026年4月63,814,790件103,044,618枚61.93%61.9%
2026年5月63,797,460件103,443,194枚61.67%61.7%
2026年6月63,800,402件103,856,694枚61.43%61.4%
2026年7月63,847,630件104,184,326枚61.28%61.3%
2026年8月63,856,088件104,525,120枚61.09%61.1%
小数第1位に丸めると、14か月すべて公表値と一致します。つまりこの率は「カードを持っている人のうち、口座を登録している人の割合」です。
05,00010,00015,000(万件・万枚)10,4536,3862025年8月2025年10月2025年12月2026年2月2026年4月2026年6月2026年8月
マイナンバーカードの保有枚数公金受取口座の累計登録数

下の線(口座)はほとんど水平です。2025年7月からの13か月で0.52%しか増えていません。上の線(カード)だけが上がっていて、2本の開きが広がっています。登録率が下がったのは、この開きのことです。

公金受取口座の累計登録数と、マイナンバーカードの保有枚数の推移(2か月おき)。登録率はこの2本の割り算です。

13か月の動きを並べると、こうなります。

2025年7月2026年8月増減
累計登録数63,526,373件63,856,088件+329,715件(+0.52%)
カードの保有枚数98,524,335枚104,525,120枚+6,000,785枚(+6.09%)
登録率64.5%61.1%−3.4ポイント

カードは600万枚増えましたが、口座は33万件しか増えていません。 増えた分だけを比べると、カードの増加分に対する口座の増加分は5.5%。新しくカードを持った100人のうち、口座も登録した人は5人という勘定になります。

この比は、増加分どうしの割合であって「新しくカードを作った人の登録率」そのものではありません。既存のカード保有者の登録・抹消もこの33万件に混ざっています。それでも、カードが増えるほど率が下がるという関係は、この2つの表のとおりです。

口座が増える月は、3月です

累計登録数の差分を月ごとに出すと、増えた月と減った月がはっきり分かれます。

年月前月からの増減
2025年8月−13,254件
2025年9月−40,136件
2025年10月−12,729件
2025年11月−68,267件
2025年12月−19,401件
2026年1月−1,357件
2026年2月+49,656件
2026年3月+290,171件
2026年4月+103,734件
2026年5月−17,330件
2026年6月+2,942件
2026年7月+47,228件
2026年8月+8,458件

13か月の純増329,715件のうち、88%が2026年3月の1か月分です。 増えた月は6回で合計502,189件、減った月は7回で合計−172,474件です。2025年8月から2026年1月までは、6か月続けて減っています。

増え方が大きいのは2月・3月・4月です。 これは、登録の方法のひとつが所得税の確定申告だからだと考えると、時期が合います。ただし、増えた月はこの3つだけではありません。 増えた6か月のうち3か月は2026年6月・7月・8月で、7月の+47,228件は2月の+49,656件と2,428件しか違いません。確定申告期だけで増減が説明できる形にはなっていません。 デジタル庁は、登録の方法を4つ挙げています。

登録の方法できること
マイナポータル登録・変更・抹消・確認
金融機関登録・変更・抹消
所得税の確定申告(還付申告)・更正の請求登録・変更
年金請求登録・変更
ただし、デジタル庁は登録の経路別の内訳を公表していません。 3月に増えたのが確定申告によるものだと原文から確認はできません。時期が一致するという以上のことは言えません。 医療費控除やふるさと納税で還付申告をする人が多い時期と重なっている、という読み方までです。

減る月があるのは、登録が取り消されることがあるからです。 デジタル庁は、累計の定義に「抹消申請があった預貯金口座や給付金等の振込に使用できない状態であると把握した預貯金口座等については含まれていません」と書いています。この表の数字は、新しい登録から抹消・利用停止を引いた後の数です。

「61.1%」と「5割程度」は、どちらも政府の数字です

支援金の制度を設計している側は、別の率を使っています。 内閣官房が令和8年9月15日の事務連絡「「就業者負担軽減支援金」の導入について」の別紙3として地方公共団体に示した資料は、こう書いています。

公金受取口座登録済の方(登録率5割程度)/公金受取口座未登録の方(未登録率5割程度) 内閣官房「「給付付き税額控除」について」(令和8年9月15日事務連絡 別紙3)

デジタル庁は61.1%、内閣官房は5割程度。 分母を人口に置き換えると、この差は説明できます。

分母分母の数登録率未登録
マイナンバーカードの保有枚数104,525,120枚61.1%40,669,032人
住民基本台帳人口(総計)123,767,642人51.6%59,911,554人
同(日本人住民)119,736,483人53.3%—
人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和8年1月1日現在)」の数字です。登録数は2026年8月末なので、分母と分子の時点は8か月ずれています。総計は1年で563,048人減っているので(日本人住民が916,744人減り、外国人住民が353,696人増えた結果)、同じ時点に揃えれば率はわずかに上がる側に動きます。 8か月分さらに減ったと置いて計算すると51.75%で、0.16ポイント上がる程度です。

しかも、同じ別紙3は別のページで「約51%」という数字そのものを書いています。 年齢階層別の公金受取口座の登録率を載せたグラフに、こう添えられています。

登録率:約51%(全年齢) 内閣官房「「給付付き税額控除」について」(令和8年9月15日事務連絡 別紙3)

その同じページが根拠として挙げている登録数は「約6,400万件(6月末時点)」です。 2026年6月末の登録数63,800,402件を住民基本台帳人口の総計で割ると51.55%、カードの保有枚数(103,856,694枚)で割ると61.43%。約51%と一致するのは人口を分母にした側です。 内閣官房の「5割程度」が人口ベースの見方であることは、推測ではなく、この突き合わせで確かめられます。

支援金の対象は、基準日に国内に住所がある人です。 法律案の第九条第四項は「基準日現在において日本国内に住所を有しないときは、支給しない」と定めています。カードを持っているかどうかは要件に入っていません。 したがって、この制度で「どれだけの人が申請なしで受け取れるか」を考えるなら、人口を分母にした見方のほうが近いことになります。

支援金では、登録の有無が「申請の有無」を決めます

2026年10月9日に国会へ提出された法律案は、職権で認定できる相手を条文で限定しました。

市町村長は、当該者が受給資格者であること及び当該者に対して当該年度に支給されるべき就業者負担軽減支援金の額が明らかであると認める場合において、当該者が公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律(令和三年法律第三十八号。……)第三条第四項に規定する公的給付支給等口座登録者であるときは、前条第二項の規定にかかわらず、当該年度の政令で定める日までに限り、職権で、当該者について認定をすることができる。 法律案 第十二条第一項

「公的給付支給等口座」は、公金受取口座の正式な名称です。 登録していれば請求しなくてよく、していなければ第十一条第二項の原則どおり、政令で定める日までに認定の請求をすることになります。

公金受取口座を登録している登録していない
認定市町村長が職権でできる(第十二条第一項)請求が必要(第十一条第二項)
2年目以降同一市町村に住んでいれば認定も不要(第十一条第一項ただし書)同じ
期限政令で定める日(まだ決まっていません)同じ
請求の期限も職権認定の期限も、法律案は「当該年度の政令で定める日」としているだけで、日付は入っていません。第十一条第三項は、期限までに請求できなかった場合を2つ定めています。 原文は「受給資格者が次条第一項の当該年度の政令で定める日までに同条第二項の通知を受けなかった場合又は災害その他やむを得ない理由により前項の当該年度の政令で定める日までに同項の規定による認定の請求をすることができなかった場合においては、同項の規定にかかわらず、同条第一項の当該年度の政令で定める日の後又はその理由がやんだ後十五日以内に限り、前項の認定の請求をすることができる」です。登録してあるのに職権認定の通知が来なかった場合も、ここに入っています。 なお「十五日以内」が災害等の場合だけに係るのか両方に係るのかは、条文の書き方からは一読では定まりません。 未登録のまま申請した場合について、内閣官房の資料は方針を書いています。 「公金受取口座を登録していない方の場合には、申請があった給付の受取口座を、本人の同意(登録に同意しない場合のみ、申請書にその旨を記入)を得て、公金受取口座として登録する」。つまり、申請書で断らない限り、申請に書いた口座がそのまま公金受取口座として登録される形が想定されています。 ただしこれは地方公共団体に示された資料の方針で、法律案の条文にこの定めは置かれていません。 どういう様式になるかは、政令・内閣府令を待つことになります。

支援金の制度そのものは、別の記事で扱っています。 支給要件が四つあること、最初の2年は三つしか使わないこと、額が政令に委ねられていることは「就業者負担軽減支援金とは ― 2027年4月に始まる給付は誰に届くか」に書きました。食料品の消費税1%との関係は「食料品の消費税1%は2027年4月から ― 我が家の食費はいくら変わるか」です。

年金を受けている親には、返事をしないと登録される通知が届いています

年金受給者には、返事をしなければ登録される通知が、2026年8月から順次届いています。 根拠は公金受取口座登録法(令和3年法律第38号)第五条の二の「行政機関の長等からの利用口座情報の提供による登録の特例」で、条文そのものはこれより前からあります。2026年8月に始まったのは、年金受給者への意向確認書の送付です。 デジタル庁はこう書いています。

公金受取口座(給付金の受取口座)をまだ登録していない年金受給者の方は、不同意の申出がない場合に限り、年金振込口座が公金受取口座として登録されます。 デジタル庁「年金口座(年金振込口座)で給付金等が、手続き不要で、より簡単により早く受け取れます」

希望する場合は手続きが不要で、希望しない場合だけ返送する形です。

項目内容
対象年金を受給していて、公金受取口座を登録しておらず、2026年4月15日時点で65歳以上(生年月日が1961年4月16日以前)の人
届くもの日本年金機構からの簡易書留(茶色の封筒。「公金受取口座に関する大切なお知らせです」と記載)
送付時期2026年8月頃から2027年2月頃までに順次
登録してよい場合手続きは不要
登録したくない場合同封の「不同意申出書」を到着から45日以内に返送
期限を過ぎたら年金振込口座が公金受取口座として登録される
登録完了まで約3か月から4か月
登録後でも、マイナポータルや金融機関の窓口でいつでも解除できます。すでに公金受取口座を登録している年金受給者には、意向確認書は届きません。 また、デジタル庁は「電話・ショートメッセージ(SMS)・メール等で情報提供を求めることはありません」としています。この通知に便乗して口座番号を聞き出す電話があれば、それは国からの連絡ではありません。

子育て世帯から見ると、これは親の話です。 2027年の給付の対象は現役の就業者が中心ですが、この通知は、親の口座がいま国に登録されようとしているという話です。実家に茶色い簡易書留が届いていたら、中身は意向確認書です。

登録しても、給付が自動で振り込まれるわけではありません

公金受取口座で受け取れる給付金等は、デジタル庁が一覧を公表しています。 Excelの一覧を数えると174件です(2025年11月28日時点。デジタル庁は制度の案内のページでは「160種類以上」と書いています)。

分類件数
介護保険関係32件
労災保険・公務災害補償関係22件
その他22件
税関係21件
健康保険関係21件
年金関係17件
障害福祉関係15件
子育て給付関係10件
就学支援関係3件
生活保護関係3件
職業訓練給付関係3件
災害被災者支援関係3件
雇用保険関係2件
子育て給付関係に入っているのは、児童手当又は特例給付、児童扶養手当、妊婦のための支援給付、子どものための教育・保育給付、子育てのため施設等利用給付などです。就学支援関係は、特別支援教育就学奨励費と、日本学生支援機構の給付奨学金・貸与奨学金の3件です。

ただし、一覧には「支給行政機関等により利用可否が異なる給付金等」という列があります。 児童手当又は特例給付は、この列が「〇」です。

「支給行政機関等により利用可否が異なる給付金等」列が「〇」のものについては、行政機関等(各市町村等)により、実際の利用開始日や公金受取口座の利用準備状況が異なります。 デジタル庁「公金受取口座を利用して受け取ることができる給付金等」

登録してあっても、住んでいる市町村が使う準備をしていなければ使われません。 児童手当の額や支給月は「児童手当はいくらもらえるか」で扱っています。

もうひとつ、振込先が決まる時点に注意が要ります。

原則として受取申請時点で公金受取口座として登録されている預貯金口座に対し給付が行われるため、申請開始後にマイナポータル等から公金受取口座の登録変更を行ったとしても、給付先口座は自動的に変更されません。 同

申請した後に口座を変えても、その給付の振込先は変わりません。 口座を変えるなら、申請の前です。

そして、登録はその日から使えるわけではありません。 同じページに、こう添えられています。

※初めて登録される場合など、行政機関での利用が可能になるまでに時間を要することがあります。公金受取口座を利用した給付金等の受取申請を予定されている場合には、あらかじめ登録しておくことをおすすめします。 同

どれくらいかかるかは書かれていません。 分かっているのは年金振込口座の特例の目安(約3か月から4か月)だけです。登録は、申請の期限から逆算して早めに済ませておく話になります。

あなたの数字で確かめる手順

この記事の率は、自分の状況とは関係がありません。 確かめるのは次の4つです。

  1. マイナポータルで「公金受取口座」を開く。 登録があるか、どの金融機関のどの口座かを見る
  2. マイナポータルのお知らせを見て、「公金受取口座情報の利用停止のご案内」(通知種別記号20から22)が届いていないか確認する。 届いていたら、その登録は使えない状態になっている。「更新のご案内」(17から19・23から25)は国の側が登録情報を書き換えたという通知で、手続きは要らない。口座情報履歴の過去の登録に付いている「利用停止」は、いまの登録が使えないという印ではない
  3. 結婚や離婚で口座名義が変わった人、口座を解約した人は、登録し直す。 デジタル庁は「公金受取口座の登録後、結婚等による氏名(口座名義を含む)の変更や住所の変更などがあった場合は、忘れずに公金受取口座(マイナポータル)から登録情報の変更手続きをしてください」としている
  4. 登録がなく、医療費控除やふるさと納税などで還付申告をする予定がある人は、その申告で登録する。 還付金の受取口座を入力したうえで「公金受取口座登録の同意」で「登録する」を選ぶ。デジタル庁は「行政機関での利用が可能になるまでに時間を要することがあります」としているので、申請の予定があるなら早いほうがよい

日付で見ると、こうなります。

できごと2026年10月22日からの日数
支援金の施行日(令和9年4月1日)あと161日
次の確定申告の期限(2027年3月15日)あと144日
意向確認書の送付が終わる頃(2027年2月末)あと129日
令和9年の秋(2027年9月1日)あと314日
支援金が振り込まれるのは令和9年度の秋とされています(内閣官房の資料の図に「秋支給」と書かれています。何月かは書かれていません)。確定申告で登録するなら、その前に1回、2027年3月15日の期限が来ます。 医療費控除の要件は「医療費控除とセルフメディケーション税制」で扱っています。

まとめ

  • デジタル庁の公表データで、公金受取口座の累計登録数は2026年8月末で63,856,088件、登録率は61.1%
  • その登録率の分母は、人口ではなくマイナンバーカードの保有枚数(デジタル庁がデータの定義ページで明示している)。14か月すべて、この定義で公表値を再現できた
  • 率は13か月で3.4ポイント下がったが、登録数は329,715件増えている。 下がったのは分母のカードが6,000,785枚増えたから。増加分どうしで比べると、カードの増加分に対する口座の増加分は5.5%
  • 純増の88%は2026年3月の1か月で起きている。 2025年8月から2026年1月までは6か月続けて減った。登録の方法に所得税の確定申告(還付申告)があり、時期が一致する(経路別の内訳は公表されていないので、因果は原文からは言えない)
  • 内閣官房の資料の「登録率5割程度」は、人口を分母にした見方と整合する。 累計登録数を住民基本台帳人口の総計で割ると51.6%、日本人住民で割ると53.3%
  • 2026年10月9日に国会へ提出された法律案は、職権で認定できる相手を「公的給付支給等口座登録者」に限定した(第十二条第一項)。登録していれば請求が不要、していなければ請求が必要
  • 2026年8月から、年金受給者には「不同意の申出がない場合に限り」年金振込口座が登録される特例が始まっている。 対象は2026年4月15日時点で65歳以上の未登録の年金受給者。簡易書留が2026年8月頃から2027年2月頃までに順次届き、断るなら到着から45日以内
  • 登録しても自動で使われるとは限らない。 給付金等の一覧は174件あるが、児童手当又は特例給付は「支給行政機関等により利用可否が異なる」に該当する。申請後に口座を変更しても、その給付の振込先は変わらない。登録が行政機関で使えるようになるまでに時間を要することもある
  • 登録できるのは1人1口座・本人名義の個人用口座だけ。子の給付を親の口座で受け取ることはできず、屋号付きの口座も登録できない
  • 登録したつもりで使えない状態になっていることがある。 デジタル庁が職権で登録情報を修正または抹消する事由は、口座解約・口座凍結・口座名義変更などで振込に利用できない場合、金融機関や店舗の統廃合があった場合、本人情報が住民基本台帳上の情報と異なる場合、本人が死亡している場合の4つ。通知はマイナポータルのお知らせかはがきで届く(死亡の場合だけ通知は行われない)。使えなくなったかどうかは「利用停止のご案内」(通知種別記号20から22)が届いたかで分かる。口座情報履歴の過去の登録に付く「利用停止」は、それとは別のもの

よくある質問

公金受取口座とは何ですか。登録は義務ですか。

給付金等を受け取るために、自分の預貯金口座を国(デジタル庁)に登録しておく制度です。デジタル庁は、この制度を「迅速かつ確実な給付金等の支給を目的とし、金融機関にお持ちの預貯金口座を国(デジタル庁)に任意で登録できる制度です」と説明しており、任意なので義務ではありません。登録しておくと、給付金等の申請のときに申請書への口座情報の記載や通帳の写しの添付が不要になります。正式な名称は「公的給付支給等口座」で、根拠法は公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律(令和3年法律第38号)です。登録できるのは1人につき1口座で、本人名義の個人用口座に限られます。1口座である根拠は条文にあり、同法第三条第一項は「預貯金者は、公的給付の支給等に係る金銭の授受に利用することができる一の預貯金口座について、登録を受けることができる」と定めています。預貯金の種別は普通預金・当座預金・総合口座(普通預金を取り扱うもの)で、定期預金だけの口座は登録できません。登録しても国が残高を把握したり引き出したりする仕組みではなく、デジタル庁は「登録されるのは、金融機関名や口座番号など給付金等の振込に必要な情報のみです」「残高などの財産に関する情報は一切登録されません」「国が預貯金を引き出すことはありません」と明記しています。

自分が登録しているかどうか、どうすれば分かりますか。

マイナポータルで確認できます。デジタル庁は「登録した情報は公金受取口座(マイナポータル)で確認でき、いつでも変更や抹消の手続きが可能です」としています。注意が必要なのは、一度登録していても、その後に使えない状態になっていることがある点です。デジタル庁は、登録口座が給付等の振込に利用できない場合(口座解約・口座凍結・口座名義変更など)、金融機関や店舗の統廃合があった場合、登録されている本人情報(個人番号・氏名・住所)が住民基本台帳上の情報と異なる場合、登録者本人が死亡している場合の4つを挙げ、これらを把握したときに職権で登録情報を修正(更新・利用停止)または抹消すると説明しています。結婚などで口座名義が変わった場合は、この「口座名義変更」にあたります。職権で修正・抹消されたときはマイナポータルのお知らせやはがきで通知が届き、件名には「公金受取口座情報の更新のご案内」または「公金受取口座情報の利用停止のご案内」と通知種別記号(17から25)が入ります。死亡の場合に限り、通知は行われません。見るべきはこの通知の種類です。利用停止の通知(20から22)が届いていた場合は、登録し直さないと使えません。更新の通知(17から19・23から25)は、デジタル庁が登録情報を書き換えたという通知なので、手続きは要りません。なお、マイナポータルの口座情報履歴で過去の登録に「利用停止」と表示されているのは、使えなくなった印ではありません。デジタル庁は、住民基本台帳上の情報が更新されたときの通知(通知種別記号23から25)について、口座情報履歴の過去の情報は「本人情報と口座情報の組み合わせ」として利用できないためそう表示していると説明し、「最新の本人情報とともに登録されている口座情報は、公金受取口座として利用できます」としています。

2027年に始まる給付は、登録していないとどうなりますか。

申請が必要になります。2026年10月9日に国会へ提出された「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」の第十二条第一項は、市町村長が職権で認定できる相手を「公的給付支給等口座登録者であるとき」に限っています。公金受取口座を登録していれば、請求しなくても市町村が職権で認定して支給できます。登録していない場合は、第十一条第二項の原則どおり、政令で定める日までに市町村長へ認定の請求をすることになります。内閣官房が地方公共団体に示した資料「「給付付き税額控除」について」(令和8年9月15日事務連絡の別紙3)も、登録済みの人を「申請なしで職権により給付」、未登録の人を「要申請」と分けた図を載せています。支援金が実際に振り込まれるのは令和9年度の秋とされているので、登録を確かめる時間はまだあります。制度の中身は「就業者負担軽減支援金とは ― 2027年4月に始まる給付は誰に届くか」で扱っています。

親に日本年金機構から簡易書留が届きました。放っておいていいのですか。

放っておくと、年金の振込口座が公金受取口座として登録されます。「行政機関等経由登録の特例制度」(公金受取口座登録法第五条の二)によるもので、2026年8月から意向確認書の送付が始まっています。デジタル庁は「公金受取口座(給付金の受取口座)をまだ登録していない年金受給者の方は、不同意の申出がない場合に限り、年金振込口座が公金受取口座として登録されます」と説明しています。つまり登録を希望する場合は手続きが不要で、希望しない場合だけ「不同意申出書」を返送します。期限は意向確認書の到着から45日以内で、デジタル庁は「期限に間に合わない場合、年金振込口座として登録されている口座が公金受取口座として登録されます」としています。対象は、年金を受給していて、公金受取口座を登録しておらず、2026年4月15日時点で65歳以上(生年月日が1961年4月16日以前)の人です。届くのは日本年金機構からの簡易書留(茶色の封筒)で、送付時期は2026年8月頃から2027年2月頃までに順次とされています。登録を希望する場合でも完了までは約3か月から4か月かかり、完了後はデジタル庁から通知が届きます。登録後にやめたい場合は、マイナポータルや金融機関の窓口でいつでも解除できます。なお、デジタル庁は「電話・SMS・メールで口座情報の提供を求めることはありません」としています。この通知に便乗した電話には応じないでください。

確定申告で登録できると聞きました。どういう仕組みですか。

所得税の確定申告のうち還付申告と、更正の請求のときに、還付金の受取口座として指定した口座を公金受取口座として登録(登録済みなら変更)できます。デジタル庁は「2022年1月(令和3年分の所得税の確定申告)から、所得税の確定申告(還付申告)及び更正の請求の手続きにおいて還付金等の受取口座として申請した預貯金口座を公金受取口座として登録(すでに登録済みの場合には変更)することができます」としています。e-Taxでも税務署の窓口での書面申告でもできます。確定申告書等作成コーナーでは、還付金の受取方法で口座を入力したうえで「公金受取口座登録の同意」で「登録する」を選びます。書面の申告書では、ゆうちょ銀行以外なら金融機関名・店舗名・預金種類・口座番号を書き、ゆうちょ銀行なら記号番号を書きます。ただし却下されることがあります。デジタル庁は、受取口座の金融機関が登録可能な金融機関でない場合、申請された口座の実在性が確認できない場合、すでに公金受取口座として登録されている口座と同じ口座が申請された場合を挙げています。さらに申告内容に不備があった場合、マイナンバーが正しくない場合、本人確認ができなかった場合、カナ氏名の記載がない場合、存在しない金融機関・店舗の口座が指定されている場合、口座種別が普通・当座でない場合の6つは、国税庁からデジタル庁へ情報が連携されず、申請自体が行われません。納める側の申告(納税になる申告)では還付金の受取口座を書かないので、この方法は使えません。

子どもの分も登録できますか。親の口座を代わりに登録してもよいのですか。

できません。デジタル庁は「子は口座を持っていません。代わりに親の口座を登録できますか」という質問に対し、「登録者本人(子)と異なる名義の口座(親名義の口座)を公金受取口座として登録することはできません。また、親と子の関係が逆であっても登録はできません」と答えています。登録できるのは口座名義が登録者本人の口座に限られ、1人につき1口座です。したがって、子ども本人に届く給付金等(たとえば日本学生支援機構の給付奨学金・貸与奨学金)を公金受取口座で受け取るには、子ども本人の名義の口座が必要になります。なお、口座名義に屋号や事務所名が含まれる口座も登録できません。個人事業主が屋号付きの口座を事業用に使っている場合、その口座は公金受取口座にできないということです。旧姓(旧氏)の口座は、マイナンバーカードの券面に旧氏が併記されていればマイナポータルで登録できます。

登録しておけば、児童手当も自動で振り込まれるようになりますか。

自動ではありません。公金受取口座を使えるかどうかは、給付金等ごとに、そして支給する行政機関ごとに違います。デジタル庁の給付金等一覧には「支給行政機関等により利用可否が異なる給付金等」という列があり、児童手当又は特例給付はこの列が「〇」です。つまり同じ児童手当でも、市町村によって公金受取口座を使える時期や準備状況が違います。デジタル庁も「詳細については給付金等の申請先となる行政機関等にご確認ください」としています。もうひとつ注意が要るのは、振込先が決まるタイミングです。デジタル庁は「原則として受取申請時点で公金受取口座として登録されている預貯金口座に対し給付が行われるため、申請開始後にマイナポータル等から公金受取口座の登録変更を行ったとしても、給付先口座は自動的に変更されません」としています。申請した後に口座を変えても、その給付の振込先は変わりません。変えたい場合は、その給付を行っている行政機関に手続きを確認することになります。

登録率61.1%と「5割程度」という数字を見かけました。どちらが正しいのですか。

どちらも正しく、分母が違います。デジタル庁のダッシュボードが公表している登録率は「公金受取口座の累計登録数 ÷ マイナンバーカードの保有枚数」と定義されており、2026年8月末で61.1%です。一方、内閣官房が地方公共団体に示した資料「「給付付き税額控除」について」(令和8年9月15日事務連絡の別紙3)は「登録率5割程度」「未登録率5割程度」としています。累計登録数63,856,088件を住民基本台帳人口の総計123,767,642人で割ると51.6%、日本人住民119,736,483人で割ると53.3%なので、「5割程度」は人口を分母にした見方と整合します。同じ別紙3は年齢階層別の登録率のグラフに「登録率:約51%(全年齢)」とも書いていて、その根拠として挙げている6月末の登録数(約6,400万件)を人口の総計で割ると51.55%、カードの保有枚数で割ると61.43%なので、この約51%は人口を分母にした率です。自分に関係するのはどちらかというと、支援金のように国内に住所がある人を対象にする給付では、人口を分母にした見方のほうが近いことになります。カードを持っている人のうち未登録は40,669,032人、人口に対して未登録は59,911,554人という計算です。なお、どちらの率も「自分が登録しているか」とは関係がありません。率ではなくマイナポータルで自分の登録を確認してください。

出典

制度の内容は改正されることがあります。判断の際は必ず出典元の最新情報をご確認ください。