教育費

奨学金の利率は上限の3%に達した ― 教育ローンとの実質金利

令和8年7月と8月に貸与が終わった第二種奨学金の利率は、**年3.000%**でした(利率固定方式・基本月額)。

日本学生支援機構は、この方式の利率について「年3.0%が上限です」と書いています。上限と同じ値が2か月続いています。

5年前は違いました。令和2年度の3月(2021年3月)に貸与が終わった人の利率は**0.268%**です。

貸与が終わった月利率固定方式利率見直し方式
令和2年度 3月0.268%0.004%
令和4年度 3月0.905%0.300%
令和6年度 3月1.641%1.100%
令和7年度 3月2.423%1.600%
令和8年度 8月3.000%2.200%

一方、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は年4.05%(固定金利・保証料別)です。令和8年7月1日現在の金利として公表されています。

表面の数字だけを並べれば、奨学金のほうが低く見えます。 ただし、この2つは並べて比べられる形をしていません。

結論

第二種奨学金の利率は、借り終わる月まで決まりません。 申し込んだ月でも、借り始めた月でもありません。したがって入学の時点では、最終的にいくら返すことになるのかを確定させることができません。

その利率には、政令が定めた上限があります。 いま、その上限に達しています。これ以上は上がらないということであると同時に、申し込む前に「最悪でもここまで」と見ていた水準が、もう現実になっているということでもあります。

在学中に利息が付くかどうかが、この2つを分けています。 奨学金は在学中が無利息で、教育ローンは借りた日から利息が発生します。据置を選んでも利息は止まりません。元金が減らないまま利息だけを払う期間になるだけです。

そしてどちらにも保証料があります。 保証料は返済に上乗せされるのではなく、手元に来る額から先に引かれます。 奨学金なら毎月の振込額から、教育ローンなら融資金から一括で。つまり「借りた額」と「受け取った額」が一致しません。実質の負担は、表面の利率が示すよりも重くなります。

この3つを織り込むと、実質の差は表面の差より開きます。 表面の順位は変わりませんが、距離が変わります。

ただし、金利で比べきれないものが1つ残ります。 奨学金は子ども本人の債務で、教育ローンは親の債務です。誰が返すのかは、利率の話ではありません。

本記事は現行制度がこのまま続くものとして計算しています。金利も制度も変われば結果は変わります。

計算の前提

項目第二種奨学金国の教育ローン
借りる額貸与月額100,000円 × 48か月4,800,000円3,500,000円(子1人あたりの融資限度額)
利率3.000%(利率固定方式・令和8年7月・8月に貸与終了)4.05%(固定・令和8年7月1日現在)
在学中無利息元金据置・利息のみを4年間支払う
返す期間240回(20年)240回(20年。据置の48回を含む)
返し始め貸与終了の翌月から数えて7か月目(3月満期なら10月)融資の翌月から
保証機関保証(保証料月額5,732円)/人的保証保証基金(保証料一括)/連帯保証人
返す人学生本人保護者
奨学金の返還月額・返還総額は日本学生支援機構の公表値をそのまま使いました。保証料月額5,732円は機構が公表している2026年度採用者向けの目安で、機構の注記どおり貸与利率2.423%を前提に算定された値です(3.000%で採用された年の保証料はこれより高くなり得ます)。教育ローンの返済額は、公庫が公表している2つの返済例(100万円・10年)を同じ計算で再現できることを確かめたうえで算出しています。

利率が決まるのは、借り終わる月

日本学生支援機構は、次のように書いています。

利率は、貸与終了月に決定します。貸与開始月の利率ではない点に注意してください(貸与終了するまで利率はわかりません)。

なぜそうなるのかも説明されています。

機構は、奨学金交付のために借入した資金を貸与終了時に財政融資資金に借り換えます。そのため、貸与終了月毎の利率は、借り換え時の財政融資資金の利率によって決定されています。

つまり、利率を決めているのは在学中の金利ではなく、卒業する月の金利です。 令和8年度に入学して4年間借りる人の利率は、令和12年3月に決まります。機構自身が、令和5年度以降の入学者について「※貸与終了月に決定します。」としか書けないのはそのためです。

申し込むときに分かっているのは、上限だけです。

基本月額に係る利率:「利率固定方式」または「利率見直し方式」に従って算定します(どちらも年3.0%が上限です)。

この上限は、政令に書かれています。 独立行政法人日本学生支援機構法施行令2条1項は、第二種学資貸与金の月額を列挙したうえでこう定めています。

その利率は、年三パーセントとする。

ただし、この条文だけでは「利率は常に年3%」としか読めません。 実際の利率が0.268%や2.423%になる仕組みは、同じ政令の附則にあります。

第二種学資貸与金に係る第二条及び第三条第三項の規定の適用については、当分の間、第二条第一項中「年三パーセント」とあるのは「年三パーセント(法第十九条第一項の規定による財政融資資金からの借入金の利率及び同項の規定による日本学生支援債券の利率を加重平均する方法であって文部科学省令で定めるもののうち、貸与を受ける学生が選択した方法により算定した利率が年三パーセント未満の場合にあっては、当該利率)」と(以下略)

同附則2条1項。太字は引用者。

読み替えた後は「年3%。ただし算定した利率が3%未満ならその利率」となります。ここではじめて3%が上限として働きます。 機構が言う「利率固定方式」「利率見直し方式」は、この条文の「貸与を受ける学生が選択した方法」にあたります。算定した利率が3%以上になれば、どちらの方法を選んでいても3.000%です。

上限に達した月に、何が起きているか

まず、貸与利率がどう動いてきたかを並べます。

0123(%)上限3.0%32R2/3R3/3R4/3R5/3R6/3R7/3R8/8
利率固定方式利率見直し方式

上の線(利率固定方式)の右端に注目してください。左端の令和2年度3月は0.268%で、そこから一度も下がらずに上がり続け、右端でとうとう3.000%=機構が示す上限と同じ値になりました。ここから先は、この線は上へ伸びません(実際、令和8年は7月・8月とも3.000%で並んでいます)。下の線(利率見直し方式)はまだ上限に届いていませんが、こちらは貸与が終わった後もおおむね5年ごとに見直されます。

第二種奨学金(基本月額)の貸与利率の推移。各年度3月に貸与が終了した人の利率と、令和8年度は8月までの実績値。日本学生支援機構の公表値。

令和8年度の月ごとに見ると、7月に上限へ届いています。

令和8年度に貸与終了4月5月6月7月8月
利率固定方式(基本月額)2.722%2.922%2.922%3.000%3.000%
利率見直し方式(基本月額)1.874%2.000%1.900%2.000%2.200%
利率固定方式(増額部分)2.922%3.100%3.100%3.100%3.122%

増額部分の欄が手がかりになります。 増額部分とは、入学時特別増額貸与奨学金と、私立大学の医・歯・薬・獣医学課程および法科大学院に在学する人が基本月額に加えて借りた分の2つです。機構は、その利率の決め方をこう書いています。

増額部分に係る利率: 原則として基本月額に係る利率に0.2%上乗せした利率とします(財政融資資金の利率が2.9%~3.1%の場合は3.1%、3.1%を超える場合は、財政融資資金の利率が適用されます)。

8月の増額部分は3.122%でした。 基本月額に0.2%を足した3.200%でも、2.9〜3.1%のときの3.100%でもありません。残るのは「3.1%を超える場合は、財政融資資金の利率が適用される」という3つ目の場合だけです。

この読み方に従えば、令和8年8月の財政融資資金の利率は3.122%です。 そして基本月額の利率は3.000%で止まっています。利率の元になっている金利は、すでに上限を超えています。

これは機構が示した算定ルールに公表値を当てはめた読み取りであって、機構が財政融資資金の利率を3.122%だと明示しているわけではありません。

在学中は無利息 ― 根拠は施行令

第二種奨学金が在学中は無利息であることは、政令に書かれています。

前二条の規定にかかわらず、第二種学資貸与金は、その貸与を受けている間並びに法第十五条第二項の規定によりその返還の期限を猶予される場合における同項及び第六条に規定する事由がある間は無利息とする。

独立行政法人日本学生支援機構法施行令4条1項。太字は引用者。

「その貸与を受けている間」だけではありません。 返還期限を猶予されている間も無利息です。施行令6条が定める猶予事由には「大学、大学院、高等専門学校又は貸与対象専修学校に在学すること」が含まれているので、大学院への進学などで在学猶予を受けた期間もここに入ります。

返し始める時期も政令が定めています。

学資貸与金の返還の期限は、貸与期間の終了した月の翌月から起算して六月を経過した日(第三項において「六月経過日」という。)以後二十年以内で機構の定める期日とし、その返還は、年賦、半年賦、月賦その他の機構の定める割賦の方法によるものとする。

同5条1項。太字は引用者。

機構の運用では、貸与終了の翌月から数えて7か月目です。

返還は、貸与終了の翌月から数えて7か月目に始まります。

3月に満期で貸与が終わった人は、その年の10月から返還が始まります。

国の教育ローンは違います。 融資を受けた日から利息が発生します。在学期間中は元金を据え置いて利息だけを払うこともできますが、公庫の説明どおり「利息のみのご返済」であって、無利息ではありません。

保証料は、手元に来る額から先に引かれる

ここが、表面の利率では見えない部分です。

奨学金 ― 毎月の振込額から引かれる

機構は次のように書いています。

機構は、毎月の奨学金の貸与額から保証料月額を差し引き、奨学生の口座に振り込みます。

2026年度に採用され、貸与月額100,000円を48か月借りる場合の保証料月額は5,732円です(機構が公表している2026年度採用者の保証料の目安。貸与総額4,800,000円・返還回数240回の行)。

貸与月額           100,000円
保証料月額        − 5,732円
────────────────────────
毎月の振込額        94,268円   (貸与月額の 94.27%)
48か月の合計     4,524,864円
保証料の合計       275,136円

「月10万円借りる」と決めても、口座に入るのは94,268円です。

教育ローン ― 融資金から一括で引かれる

公庫と保証基金は、どちらも同じ書き方をしています。

保証料は、ご融資金から一括して差し引かせていただきます。

保証料は、融資額・返済期間・元金据置期間の3つで決まります。 保証基金は「元金のご返済を24カ月以上据置する場合は、保証料が増額されます」としています。

3,500,000円を20年(240回)で借り、在学中の48か月を元金据置にした場合、公庫の返済シミュレーションが示す保証料は669,634円です。

借入額           3,500,000円
保証料           − 669,634円   (借入額の 19.13%)
────────────────────────
手元に来る額     2,830,366円

上限まで借りても、手元に来るのは283万円です。

条件(借入350万円・年4.05%)保証料借入額に対する割合
10年・据置なし236,134円6.75%
10年・在学中4年据置330,587円9.45%
20年・据置なし478,310円13.67%
20年・在学中4年据置669,634円19.13%
連帯保証人を立てる0円

期間が長いほど、据置が長いほど重くなります。 在学中の返済を軽くする据置は、保証料を1.4倍にします。

繰り上げて完済すると、保証料の一部が戻ることがある

先に引かれた保証料は、返ってこないと決まっているわけではありません。 機構は、全額繰上返還で返還期間が短縮されたときなどに「支払われた保証料の一部を保証機関(協会)からお返しする場合があります」としています。保証基金も、繰上返済で一括完済した場合について次のように書いています。

お借入残高の全額を最終返済期限前に一括してご返済(繰上返済)いただいた場合、ご返済の経過期間によって、保証料の一部をお返しできる場合があります(以下略)

ただし戻るのは、保証期間のうち未経過の分だけです。 保証基金は「ご返済にあたって元金の据置期間を設けた場合や、未経過の保証期間が短い場合は、お返しできる保証料は少なくなります」とし、返金するのは「900円超となる場合」に限るとしています。据置を長く取ると、保証料が増えるだけでなく、後から戻る分も減ります。

この後の実質年率は、どちらも繰り上げずに最後まで返す前提で計算しています。

実質の年率で並べ直す

実際に手にした額と、実際に支払う額から年率を逆算しました。

手にした額支払総額表面の利率実質年率
奨学金・人的保証4,800,000円6,459,510円3.000%2.455%
奨学金・機関保証4,524,864円6,459,510円3.000%2.963%
教育ローン・連帯保証人3,500,000円5,328,200円4.05%4.050%
教育ローン・保証基金2,830,366円5,328,200円4.05%6.297%
奨学金は貸与月額100,000円×48か月、返還240回。返還月額26,914円・返還総額6,459,510円は機構の公表値です。教育ローンは350万円・20年・在学中4年据置で、公庫の返済シミュレーションが示す返済総額5,328,200円。同シミュレーションは各回の返済額を在学中11,812円・卒業後24,798円として総額を積み上げ、表示のときだけ100円単位に切り上げて11,900円・24,800円と出します。実質年率は切り上げ前の各回の額で計算しました。実質年率は、受け取りと支払いのすべてを月単位で並べて内部収益率を求め、12倍したものです。

奨学金は、表面3.000%に対して実質2.963%でした。 毎月の振込額から5.73%が引かれているのに、実質は表面をわずかに下回っています。在学中の4年間が無利息だからです。 その効果が保証料の負担をほぼ打ち消しました。保証を人に頼めば2.455%まで下がり、表面より0.545ポイント低くなります。

教育ローンは、表面4.05%に対して実質6.297%でした。 保証料が2.247ポイント分の重さになっています。連帯保証人を立てれば4.050%で、表面の利率と一致します。保証料がゼロなら実質年率は表面の利率そのものになるので、この一致は計算が正しく組めていることの確認でもあります。

表面の差は1.05ポイントですが、実質の差は3.334ポイントです。

1,427,559円奨学金・機関保証1,882,513円教育ローン・保証基金
奨学金・機関保証教育ローン・保証基金
手にした額1,000,0001,000,000
利息と保証料の上乗せ427,559882,513
合計1,427,5591,882,513

下の段(手にした額)は2本とも同じ高さです。違うのは上に積まれた部分だけで、教育ローンの厚みは奨学金の2.1倍あります。表面の利率の比は1.35倍しかありません。なお、どちらも保証を人に頼めば上乗せは下がります。教育ローンで連帯保証人を立てられれば522,343円で、差は360,170円縮まります。

100万円を手にするために、最終的にいくら支払うことになるか。奨学金は貸与月額10万円×48か月・利率固定方式3.000%、教育ローンは350万円・年4.05%・20年・在学中4年据置で計算した。

利率見直し方式は、実際に見直された

利率見直し方式は、貸与終了時の利率が低く出ます。 令和8年8月なら、固定方式の3.000%に対して2.200%です。

ただし、おおむね5年ごとに見直されます。

貸与終了時に決定した利率を、おおむね5年ごとに見直します。将来、市場金利が変動した場合は、それに伴い利率も変わります。

実際に見直された例が、機構の公表資料に載っています。 令和2年度の3月に貸与が終了した人の利率見直し方式の利率は、**年0.004%**でした。その表の下に、こう書かれています。

※1第1回目利率見直し後の利率 1.300%(適用期間 令和8年3月28日~令和13年3月27日)

0.004%が1.300%になりました。 1.296ポイントの上昇です。増額部分も0.204%から1.500%になっています。

この0.004%という利率は、返済の期間を通じて続くものではありませんでした。 貸与が終わった時点の利率は、次の5年間の利率でしかありません。

参考までに、貸与総額4,800,000円を240回の元利均等で返す場合、年0.004%なら月20,008円、年1.300%なら月22,723円です(当サイトの試算。機構の公表値ではありません)。

あなたの数字で確かめる手順

① 借りる額ではなく、受け取る額を出す

奨学金(機関保証)  … 貸与月額 − 保証料月額 = 毎月の振込額
教育ローン(保証基金)… 借入額 − 保証料 = 手元に来る額

保証料は機構の「保証料の目安」の表と、公庫の返済シミュレーションで、自分の条件に当てはめて確認できます。 借りる額を決める前に、受け取る額のほうを先に出してください。

② 上限が3.0%だとして、返還額を出す

入学時点では利率が分からないので、上限で置くのがいちばん安全です。 機構が公表している返還月額の表を使えば計算は要りません。

適用利率返還月額返還総額うち利子
0.5%21,069円5,056,654円256,654円
1.0%22,172円5,321,420円521,420円
1.5%23,309円5,594,115円794,115円
2.0%24,478円5,874,754円1,074,754円
2.5%25,680円6,163,224円1,363,224円
3.0%26,914円6,459,510円1,659,510円
貸与総額4,800,000円・返還年数20年・返還回数240回の場合。日本学生支援機構の公表値。

貸与総額が違う場合は、返還の回数から先に出します。

返還年数 = 貸与総額 ÷ 割賦金の基礎額(小数点以下切り捨て)
返還回数 = 返還年数 × 12

貸与総額が3,400,001円以上なら、割賦金の基礎額は「総額の20分の1」です。 つまり必ず20年・240回になります。3,400,000円以下なら金額の帯ごとに基礎額が決まっていて、たとえば毎月3万円を4年間(総額1,440,000円)なら基礎額110,000円で13.09年、切り捨てて13年・156回です。

③ 連帯保証人を立てられるかを先に確かめる

保証料は、実質の年率をいちばん大きく動かします。

奨学金の人的保証   … 連帯保証人(原則として父母またはこれに代わる人)と
                     保証人(原則として4親等以内の親族で
                     本人及び連帯保証人と別生計の人)の2人
教育ローンの連帯保証人 … 進学者・在学者の4親等以内の親族
                     (進学者・在学者の配偶者を除く)1人
                     (申込人と別居・別生計の方を検討するよう求められる)

立てられるかどうかで結論が変わるので、金利を比べる前に確認してください。 なお機関保証から人的保証への変更はできません。

④ 誰の債務になるかを分けて考える

奨学金        … 学生本人が、卒業の年の10月から返す
国の教育ローン … 保護者が、融資の翌月から返す

保証料を払っていても、返す義務は本人にあります。 機構は「保証料を支払っているから返還しなくてもよいということではありません。奨学金の貸与を受けた本人に返還の義務があります」と明記しています。

⑤ 併用できることを前提に組み合わせる

公庫は「独立行政法人日本学生支援機構の奨学金と併せてご利用いただけます」としています。 奨学金は毎月定額で振り込まれるので、入学前にまとまって必要な支払いには間に合いません。そこだけを教育ローンで手当てして、在学中の費用を奨学金でまかなうという分け方が、制度上は成り立ちます。

教育費の全体像は教育費は結局いくらかで、それを支える給付の側は児童手当は結局いくらもらえるかで出しています。 借りる額を決めるのは、その2つを引き算した後です。

まとめ

  • 第二種奨学金の利率は貸与が終わる月に決まる。申込時にも借り始めた時にも分からない
  • 令和8年7月・8月に貸与が終わった人の利率固定方式(基本月額)は年3.000%。機構が示す上限(年3.0%)と同じ値
  • 令和2年度3月(2021年3月)に終わった人は**0.268%**だった。5年5か月で2.732ポイント上がっている
  • 上限の根拠は政令。施行令2条1項が「その利率は、年三パーセントとする」と定め、同附則2条1項が「算定した利率が年三パーセント未満の場合にあっては、当該利率」と読み替えている。本則だけを読むと「常に3%」としか読めない
  • 令和8年8月の増額部分は3.122%で、機構の算定ルールに当てはめると財政融資資金の利率はすでに3%を超えていると読める
  • 第二種奨学金は在学中は無利息(施行令4条1項)。返還開始は貸与終了の翌月から数えて7か月目(3月満期なら10月)
  • 国の教育ローンは年4.05%(令和8年7月1日現在)。借りた日から利息が付き、在学中の据置は「利息のみ」であって無利息ではない
  • 保証料は手元に来る額から先に引かれる。 奨学金は毎月の振込額から月5,732円(月10万円・48か月の場合。振込は94,268円)、教育ローンは融資金から一括で669,634円(350万円・20年・在学中4年据置。手取りは2,830,366円
  • 繰り上げて完済すると、保証料の一部が戻ることがある。 ただし戻るのは未経過の保証期間の分だけで、据置を長く取るほど少なくなる
  • 実質年率は、奨学金が2.963%(人的保証なら2.455%)、教育ローンが6.297%(連帯保証人なら4.050%=表面の利率そのもの)。表面の差1.05ポイントが、実質では3.334ポイントに開く
  • 利率見直し方式は実際に見直された。令和2年度3月に終わった人は**0.004%1.300%**になった(令和8年3月28日〜令和13年3月27日)
  • 奨学金は学生本人の債務、教育ローンは保護者の債務。 ここだけは利率で比べられない

「奨学金は低金利だから」という前提は、いま作り直す必要があります。 上限に届いた月が、実際に出てしまいました。

よくある質問

第二種奨学金の利率は、いつ決まるのですか?

貸与が終わる月に決まります。申し込んだ月でも、貸与が始まった月でもありません。日本学生支援機構は「利率は、貸与終了月に決定します。貸与開始月の利率ではない点に注意してください(貸与終了するまで利率はわかりません)」と明記しています。大学に4年間通って1年次から借りた場合、利率が確定するのは4年後の3月です。機構は奨学金の原資を貸与終了時に財政融資資金へ借り換えており、その借換え時の利率で貸与利率が決まる仕組みだと説明しています。したがって入学時点では、総額でいくら返すことになるのかを確定させることはできません。

奨学金の利率に上限はありますか?

あります。基本月額に係る利率は、利率固定方式・利率見直し方式のどちらも年3.0%が上限だと日本学生支援機構が明記しています。根拠は政令です。独立行政法人日本学生支援機構法施行令2条1項は第二種学資貸与金について「その利率は、年三パーセントとする」と定めており、この本則だけを読むと利率は常に3%になってしまいますが、同附則2条1項が「年三パーセント」を「年三パーセント(……貸与を受ける学生が選択した方法により算定した利率が年三パーセント未満の場合にあっては、当該利率)」と読み替えています。算定した利率が3%未満ならその低いほうが、3%以上なら3%が適用されるので、3%が上限として働くわけです。実際に、令和8年7月と8月に貸与が終了した人の利率固定方式(基本月額)は年3.000%で、上限と同じ値になりました。令和2年度の3月(2021年3月)に貸与が終了した人は0.268%でしたから、5年5か月で2.732ポイント上がったことになります。

在学中も利息はかかりますか?

第二種奨学金は在学中は無利息です。独立行政法人日本学生支援機構法施行令4条1項が「第二種学資貸与金は、その貸与を受けている間……は無利息とする」と定めています。一方、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は融資を受けた日から利息がかかります。在学期間中は元金を据え置いて利息だけを支払うこともできますが、それは利息が発生していないという意味ではなく、元金が減らないまま利息を払い続けるという意味です。この違いが、表面の利率の差よりも大きく効きます。

保証料はどれくらいかかりますか?

第二種奨学金で機関保証を選ぶと、毎月の貸与額から保証料月額が差し引かれます。2026年度に採用され、貸与月額10万円を48か月(貸与総額480万円・返還240回)借りる場合の保証料月額は5,732円で、口座に振り込まれるのは94,268円です。48か月分の合計は275,136円になります。国の教育ローンで(公財)教育資金融資保証基金の保証を使う場合は、保証料が融資金から一括して差し引かれます。350万円を20年で借り、在学中の4年間を元金据置にすると保証料は669,634円で、手元に来るのは2,830,366円です。連帯保証人を立てれば、どちらの制度でも保証料はかかりません。なお、先に引かれた保証料は返ってこないと決まっているわけではなく、繰り上げて完済し保証期間が短縮された場合には、どちらの制度でも一部が返戻されることがあります。ただし戻るのは未経過の保証期間に対応する分だけで、元金据置期間を設けた場合や未経過期間が短い場合は少なくなります。

実質の負担で比べると、どちらが重いのですか?

実際に手にした額と実際に支払う額から年率を逆算すると、第二種奨学金(利率固定方式3.000%・貸与月額10万円×48か月・機関保証)は年2.963%、国の教育ローン(年4.05%・350万円・20年・在学中4年据置・保証基金)は年6.297%でした。表面の利率の差は1.05ポイントですが、実質では3.334ポイントに開きます。奨学金は在学中が無利息なので保証料の負担がほぼ相殺されるのに対し、教育ローンは保証料が融資金から先に引かれるうえ、在学中も利息が発生するためです。ただし奨学金は子ども本人が卒業後20年かけて返す債務であり、教育ローンは親が借りて親が返します。誰の債務になるかは金利では比べられません。

利率見直し方式を選べば安く済みますか?

貸与終了時の利率は利率固定方式より低くなりますが、その利率はおおむね5年ごとに見直されます。実際に見直しが起きた例があります。令和2年度の3月に貸与が終了した人の利率見直し方式の利率は年0.004%でしたが、第1回目の見直し後の利率は年1.300%で、令和8年3月28日から令和13年3月27日まで適用されます。1.296ポイント上がりました。日本学生支援機構も「将来、市場金利が上昇(下降)した場合は、貸与終了時の利率より高い(低い)利率が適用されます」としています。安いほうを選ぶという話ではなく、金利が動いたときの影響を誰が引き受けるかという選択です。なお算定方法の選択は、貸与期間が終了する年度の一定時期までは変更できますが、貸与終了後は変更できません。

国の教育ローンは誰でも借りられますか?

世帯年収に上限があります。日本政策金融公庫が示す上限額は、世帯で扶養している子どもの人数によって変わり、1人なら790万円(事業所得者は600万円)、2人なら890万円(690万円)、3人なら990万円(790万円)、4人なら1,090万円(890万円)、5人なら1,190万円(990万円)です。子どもが2人以内でも、勤続年数が3年未満、居住年数が1年未満、自宅外通学、単身赴任、海外留学資金、借入金返済の負担率が30%超、要介護認定を受けた親族の介護費負担、災害特例措置のいずれか1つに当てはまれば、990万円(790万円)まで緩和されます。融資限度額は子ども1人につき350万円で、自宅外通学・修業年限5年以上の大学(昼間部)・大学院・海外留学の資金であれば450万円です。

奨学金と教育ローンは併用できますか?

できます。日本政策金融公庫は「独立行政法人日本学生支援機構の奨学金と併せてご利用いただけます」と明記しています。用途も異なり、国の教育ローンは入学金・授業料・施設設備費のほか、受験料や受験時の交通費・宿泊費、アパートの敷金や家賃、教科書代、通学費用、塾・予備校代、パソコン購入費用、学生の国民年金保険料などにも使えます。ただし融資の対象になるのは今後1年間に必要となる費用に限られ、義務教育期間中の費用は対象外です。奨学金は毎月定額が振り込まれる仕組みなので、入学前にまとまった支払いが必要な部分を教育ローンで、在学中の生活費を奨学金で、という分け方が制度上は成り立ちます。

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