投資・NISA(税金)

株で損した年に確定申告すべきケース ― 損益通算と3年の繰越控除

2026年7月17日、日経平均株価は前日比2,694円42銭安の6万4141円12銭で引けました。下落率は4.03%です。

含み損を抱えた口座を見て、「これは税金の面で何かできるのか」と考えた方は多いはずです。

できることはあります。ただし、それは口座の種類で決まります。

口座損失が出たとき
特定口座・一般口座配当と相殺でき、残りは3年繰り越せる
NISA口座ないものとみなされる

そして申告すれば必ず得をする、というものでもありません。 申告した所得は扶養の判定や保険料の計算にも入ってくるためです。

本記事は、売るべきか持ち続けるべきかといった投資判断には触れません。税制上どうなるかだけを書きます。

結論

上場株式の譲渡損失は、確定申告をすることで、その年の配当と相殺できます。相殺しきれない分は、翌年以後の利益から差し引くために繰り越すことができます。

ただし繰り越しには期限があり、しかも毎年申告を続けないと途中で切れます。 何もしなければ、損失は税務上まったく使われずに終わります。

一方で、申告することには反対側の効果もあります。 申告した株式の所得は「合計所得金額」に入るため、扶養の判定や保険料の計算に響きます。 しかも現在は、住民税だけ申告しないという選択もできません。

そしてNISA口座の損失は、この仕組みの外にあります。 利益が非課税になる代わりに、損失も税務上は存在しないものとして扱われます。同じ損失額でも、どの口座で出たかによって結果が変わります。

計算の前提

具体的な条件で計算します。

項目条件
口座特定口座(源泉徴収あり)
2026年の譲渡損失100万円
2026年の上場株式の配当20万円(源泉徴収済み)
配当を受け取った口座譲渡損失が出た口座とは別(配当を受け入れていない)
税率20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)
配当の申告方法申告分離課税を選択

4行目が重要です。 配当を譲渡損失と同じ特定口座(源泉徴収あり)で受け取っている場合は、証券会社が口座の中で自動的に通算します。 その場合、次章の還付は確定申告をしなくても実現しています(後述)。

① その年:配当と相殺する

配当20万円からは、受け取る前に4万630円が源泉徴収されています。

譲渡損失100万円を申告すると、この配当と相殺されます。配当への課税がなくなるので、源泉徴収された4万630円が還付されます。

金額
譲渡損失100万円
配当(申告分離課税)20万円
相殺後に残る損失80万円
還付される税額4万630円

国税庁の記述はこうです。

その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得の金額および配当所得の金額(上場株式等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限ります)と損益通算することができます

残った80万円が、繰越の対象になります。

同じ口座で配当を受け取っている場合は、申告しなくても通算されている

ここは誤解が多いところです。 配当を譲渡損失と同じ源泉徴収口座に受け入れている場合、通算は証券会社が行います。

特定口座(源泉徴収あり)内における上場株式等の譲渡損失の金額があるときは、その上場株式等に係る利子等の金額及び配当等の金額からその譲渡損失の金額を控除した金額に対して、源泉徴収税率を適用して徴収すべき所得税等の計算をすることになります。

つまり4万630円は、確定申告をしなくても口座内で調整されています。 この場合に確定申告をする意味は、還付を受けることではなく、残った80万円を翌年以後に繰り越すことにあります。

そしてもう一つ、順序の縛りがあります。

その特定口座(源泉徴収あり)内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額について、確定申告を行うことにより、他の上場株式等に係る譲渡所得等の金額並びに他の上場株式等に係る利子等の金額及び配当等から控除するときは、その特定口座における上場株式等に係る利子等の金額及び配当等の金額は確定申告不要制度を適用できないことから確定申告をする必要があります。

その口座の譲渡損失を申告するなら、同じ口座に受け入れた配当だけを申告不要にすることはできません。 配当も併せて申告することになり、その分だけ合計所得金額が増えます(後述の④に効いてきます)。

② 翌年以降:3年間の繰越控除

損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、その年分の翌年以後3年間にわたり、確定申告により、上場株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます

翌年から利益が出た場合を計算します。

譲渡益繰越残(期首)控除額課税対象税額控除がなければ
2027年50万円80万円50万円0円0円10万1575円
2028年40万円30万円30万円10万円2万315円8万1260円
2029年40万円0円0円40万円8万1260円8万1260円
264,095円申告しない101,575円繰越控除を使う
申告しない繰越控除を使う
2027年101,5750
2028年81,26020,315
2029年81,26081,260
合計264,095101,575

左が申告しなかった場合、右が繰越控除を使った場合の、3年間に納める税額です。2027年の帯は消え(10万1575円→0円)、2028年の帯は縮んでいます(8万1260円→2万315円)。合計で16万2520円の差です。2029年(一番上の帯)は繰越を使い切っているので同額になります。

繰越控除を使った場合と使わなかった場合の、3年間に納める税額の比較(譲渡益は2027年50万円・2028年40万円・2029年40万円と仮定)。

還付4万630円と合わせて、減った税額は20万3150円。 これは損失100万円に税率20.315%を掛けた金額と一致します。損失を使い切れれば、税率分がそのまま戻ってくる仕組みです。

毎年申告しないと、そこで切れる

繰越には手続きの要件があります。

その後の年において連続して[付表]の添付のある確定申告書を提出すること

さらに注記があります。

上場株式等の譲渡がなかった年も、譲渡損失を翌年へ繰り越すための申告が必要です

取引をしなかった年も申告が要ります。 ここを落として繰越が消えるのが、最も多い失敗です。

3年で使い切れないと消える

利益の出方が小さいと、使い切れません。

譲渡益控除額繰越残
2027年10万円10万円70万円
2028年10万円10万円60万円
2029年10万円10万円50万円

4年目には持ち越せません。 50万円が失効し、税額に換算すると10万1575円が使えないまま終わります。

③ NISA口座だと、この話は成り立たない

国税庁の記述です。

非課税口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされます。したがって、その上場株式等を売却したことにより生じた損失について、特定口座や一般口座で保有する上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益との損益通算や、繰越控除をすることはできません

同じ100万円の損失でも、結果はこうなります。

特定口座NISA口座
配当との相殺できるできない
3年の繰越できるできない
減らせる税額(最大)20万3150円0円

売却して非課税枠が戻ることと、損失が税務上使えることは、別の話です。 金融庁の説明では、新しいNISAは「商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります」とされています。枠は戻りますが、損失は戻りません。

④ 申告することの、反対側の効果

ここが最も見落とされます。申告すれば必ず得、ではありません。

合計所得金額が増える

申告した株式の所得は、合計所得金額に入ります。合計所得金額は、扶養控除・配偶者控除などの判定に使われます。

2026年分・2027年分(令和8年分・令和9年分)の所得税では、扶養親族・同一生計配偶者の合計所得金額の要件は62万円以下です。 収入が給与だけなら136万円以下にあたります。令和8年度税制改正で、58万円(給与収入123万円)から引き上げられました。

基礎控除の引上げと、給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円→74万円)に伴う改正です。令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。

したがって、譲渡益が60万円だけであれば、申告してもこの所得要件の範囲内です。 ただし他に所得があれば合算して判定します。

そして62万円を超えても、控除が全部なくなるとは限りません。

区分合計所得金額控除額
配偶者62万円超 95万円以下配偶者特別控除 38万円
19歳以上23歳未満の親族62万円超 85万円以下特定親族特別控除 63万円
いずれも所得者本人の合計所得金額が900万円以下の場合。これらは配偶者控除38万円・特定扶養親族の控除63万円と同額です。

この範囲なら、控除額は変わりません。 これを超えると段階的に減っていきます。

ただし、19歳未満・23歳以上の親族には特定親族特別控除がありません。 たとえば高校生のお子さんの口座で62万円を超える所得を申告すると、扶養控除38万円がまるごと外れます。

繰越控除を使う年も、判定は「控除前」で行われる

ここは特に間違えやすいところです。

合計所得金額は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除などを受けている場合、その適用前の金額をいうと定められています。

つまり繰越控除で税額がゼロになる年でも、扶養の判定上は、譲渡益がそのまま所得として数えられます。 「税金がかかっていないのだから所得はない」とはなりません。

保険料は、これとは別の基準で計算される

同じ「所得」でも、扶養の判定と保険料の計算では使う金額が違います。

使う金額繰越控除は
扶養控除・配偶者控除などの判定合計所得金額控除する前の金額
国民健康保険料・後期高齢者医療保険料など総所得金額等控除した後の金額

国税庁は、総所得金額等について「次の繰越控除を受けている場合は、その適用後の金額をいいます」とし、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除を挙げています。合計所得金額の方は「その適用前の金額」です。

たとえば譲渡益50万円を申告し、前年からの繰越損失50万円を全額控除した場合、こうなります。

  • 扶養の判定に使う合計所得金額 … 50万円(控除前)
  • 保険料の算定に使う株式の所得 … 0円(控除後)

「申告した金額がそのまま保険料に跳ね返る」わけではありません。 ただし損失で消しきれずにプラスの所得が残れば、その分は保険料に影響します。給付や減免は制度ごとに使う所得の基準が違うため、個別の確認が要ります。

住民税だけ申告不要、という選択はもうできない

かつては、所得税では申告し、住民税では申告不要を選ぶことで、保険料への影響を避ける方法がありました。現在は使えません。

個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させることとする

(注)上記の改正は、令和6年度分以後の個人住民税について適用する

所得税で申告した内容が、そのまま住民税にも反映されます。

あなたの数字で確かめる手順

① 口座の種類を確認する

NISA口座の損失は、何をしても使えません。 ここで対象から外れます。特定口座・一般口座の分だけを集計してください。

② 取り戻せる税額を計算する

その年に戻る税額 = 配当の額 × 20.315%(損失の範囲内)
繰り越せる損失 = 譲渡損失 − 配当の額

③ 3年で使い切れそうかを見積もる

使い切れる見込み = 今後3年間に見込まれる譲渡益・配当の合計

この見込みが繰越額に届かないなら、届かない部分の税額(残額×20.315%)は取り戻せません。

④ 申告で増える負担を確認する

確認すること影響
申告する人が誰かの扶養に入っているか合計所得金額62万円超(2026年分・2027年分)で扶養から外れる。配偶者は95万円まで、19歳以上23歳未満の親族は85万円まで、特別控除で同額が残る
申告する所得が繰越控除で消えるか保険料の算定は繰越控除後の金額。消えれば影響しない
国民健康保険・後期高齢者医療の加入者か繰越控除後にプラスの所得が残れば、保険料の算定に入る
所得で判定される給付・減免を受けているか制度ごとに使う所得の基準が違うため、個別に確認が要る
損失が出た口座に配当を受け入れているかその口座の損失を申告するなら、配当も併せて申告することになる

②③で取り戻せる額と、④で増える負担を並べます。 ④に該当がなければ、申告して損になることは通常ありません。

⑤ 口座ごとに選べることを使う

源泉徴収口座内の上場株式等の譲渡による所得については、口座ごとに、申告するまたは申告不要とすることの選択をすることができます

すべてを申告するか、しないかの二択ではありません。

まとめ

  • 上場株式の譲渡損失は、申告すれば申告分離課税を選んだ配当と相殺でき、残りは3年間繰り越せる
  • 前提の条件では、還付4万630円と繰越控除16万2520円で、合計20万3150円の税負担が減った(損失100万円 × 20.315%)
  • 繰越には連続した申告が必要。 取引がなかった年も申告しないと、そこで切れる
  • 3年で使い切れなかった分は消える。 例では50万円が失効し、10万1575円分が使えずに終わった
  • NISA口座の損失は「ないものとみなされる」。 相殺も繰越もできず、減らせる税額はゼロ
  • 売却で非課税枠は翌年復活するが、損失は復活しない
  • 配当を損失と同じ源泉徴収口座で受け取っていれば、通算は証券会社が自動で行う。 その場合の申告は、繰り越すために行うもの
  • その口座の損失を申告するなら、同じ口座の配当だけを申告不要にはできない
  • 申告すると合計所得金額が増える。2026年分・2027年分の扶養親族・同一生計配偶者の要件は62万円以下(給与収入136万円以下)
  • 62万円を超えても、配偶者は95万円まで、19歳以上23歳未満の親族は85万円まで、特別控除で同額が残る
  • 繰越控除を使う年も、扶養の判定は繰越控除の適用前の金額で行われる。 一方で保険料の算定は繰越控除後の金額
  • 令和6年度分以後の個人住民税から、所得税と異なる課税方式は選べない

損失が出た年に何もしないと、税制上は何も起きません。 一方で申告には反対側の効果もあります。本記事の手順で、両方を並べて確かめてください。

よくある質問

株で損をしたら、確定申告はした方がいいのですか?

一律には決まりません。申告すると、その年の上場株式等の配当所得等(申告分離課税を選んだもの)と譲渡損失を相殺でき、控除しきれない損失は翌年以後3年間繰り越せます。ただし配当を譲渡損失と同じ特定口座(源泉徴収あり)で受け取っている場合、その通算は証券会社が口座内で自動的に行うため、申告しなくても税額は調整されています。この場合に申告する意味は、残った損失を翌年以後に繰り越すことにあります。一方で申告すると、その所得は合計所得金額に含まれるため、扶養控除や配偶者控除の判定に影響することがあります。しかも令和6年度分の個人住民税から、所得税と住民税で異なる課税方式を選ぶことができなくなりました。取り戻せる税額と、申告によって増える負担を並べて比べてください。

損失は何年繰り越せますか?

3年間です。国税庁は「損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、その年分の翌年以後3年間にわたり、確定申告により、上場株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます」としています。ただし繰り越すには手続きが必要で、損失が出た年に確定申告をするだけでなく、その後の年も連続して申告書と付表を提出し続けなければなりません。国税庁は「上場株式等の譲渡がなかった年も、譲渡損失を翌年へ繰り越すための申告が必要です」と明記しています。1年でも申告を飛ばすと、そこで繰越が切れます。

NISA口座で出た損失は繰り越せますか?

できません。国税庁は「非課税口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされます」としています。したがって特定口座や一般口座の譲渡益・配当と相殺することも、翌年以後に繰り越すこともできません。譲渡損失100万円が出た場合、特定口座なら最大20万3150円(20.315%)の税負担を減らせますが、NISA口座ではゼロです。利益が出れば非課税になる代わりに、損失は税務上なかったことになる、という非対称な仕組みです。

特定口座(源泉徴収あり)なら申告しなくていいのでは?

申告しないことを選べますが、申告することもできます。国税庁は「源泉徴収口座内の上場株式等の譲渡による所得については、口座ごとに、申告するまたは申告不要とすることの選択をすることができます」としています。損失を繰り越したい場合、複数の口座の損益を通算したい場合、配当と譲渡損失を相殺したい場合は、申告が必要です。逆に利益が出ていて他に相殺するものがないなら、申告しない方が合計所得金額を増やさずに済みます。口座ごとに選べるので、利益の口座は申告せず、損失の口座だけ申告するという選び方も可能です。

申告すると住民税だけ申告不要にできますか?

できません。令和4年度税制改正で「個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させる」こととされ、令和6年度分以後の個人住民税から適用されています。かつては所得税では申告して配当控除を受け、住民税では申告不要を選んで国民健康保険料への影響を避ける、という組み合わせが使えましたが、現在はできません。所得税で申告した内容が、そのまま住民税の課税所得にも反映されます。

繰越控除を使った年は、扶養の判定はどうなりますか?

繰越控除を使う前の金額で判定されます。合計所得金額は、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除などを受けている場合、その適用前の金額をいうと定められているためです。つまり繰越控除で所得税額がゼロになる年でも、扶養控除や配偶者控除の判定上は、譲渡益がそのまま所得としてカウントされます。2026年分・2027年分(令和8年分・令和9年分)の扶養親族・同一生計配偶者の所得要件は合計所得金額62万円以下(収入が給与だけなら136万円以下)ですので、譲渡益が60万円だけなら、申告してもこの範囲内です。62万円を超えた場合でも、配偶者は合計所得金額95万円まで配偶者特別控除38万円、19歳以上23歳未満の親族は85万円まで特定親族特別控除63万円を受けられ、控除額は配偶者控除・特定扶養親族の控除と同額です(いずれも所得者本人の合計所得金額が900万円以下の場合)。ただし19歳未満・23歳以上の親族にはこの特別控除がないため、62万円を超えると扶養控除がなくなります。

特定口座の中で配当も受け取っています。申告しないと損益通算されませんか?

されます。上場株式等の配当等をその特定口座(源泉徴収あり)に受け入れている場合、同じ口座内の譲渡損失との通算は証券会社が行います。国税庁も「特定口座(源泉徴収あり)内における上場株式等の譲渡損失の金額があるときは、その上場株式等に係る利子等の金額及び配当等の金額からその譲渡損失の金額を控除した金額に対して、源泉徴収税率を適用して徴収すべき所得税等の計算をすることになります」としています。したがってこの場合、確定申告をする意味は還付を受けることではなく、控除しきれなかった損失を翌年以後3年間に繰り越すことにあります。なお、その口座の譲渡損失を申告するときは、同じ口座に受け入れた配当等について申告不要制度を使うことができず、配当も併せて申告することになります。

申告すると国民健康保険料は上がりますか?

繰越控除で消える範囲であれば、原則として上がりません。扶養控除や配偶者控除の判定に使う「合計所得金額」は譲渡損失の繰越控除を適用する前の金額ですが、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料などの算定に使う「総所得金額等」は、繰越控除を適用した後の金額です。たとえば譲渡益50万円を申告し、前年からの繰越損失50万円を全額控除した場合、扶養の判定上は50万円が所得として数えられる一方、保険料の算定に入る株式の所得は原則として0円になります。ただし損失で消しきれずプラスの所得が残る場合は保険料に影響します。また給付や減免は制度ごとに使う所得の基準が異なるため、個別の確認が必要です。

損失を3年で使い切れなかったらどうなりますか?

4年目以降に持ち越すことはできず、その分は消えます。たとえば80万円を繰り越し、その後3年間の譲渡益が毎年10万円ずつだった場合、使えるのは30万円だけで、残る50万円は失効します。税額に換算すると10万1575円分です。また、繰り越した上場株式等の譲渡損失を一般株式等(非上場株式など)の譲渡益から控除することもできません。国税庁は「繰り越された上場株式等に係る譲渡損失の金額は、一般株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することはできません」としています。

配当を損益通算するには何か条件がありますか?

あります。上場株式等の配当所得について申告分離課税を選択したものに限られます。配当を総合課税で申告して配当控除を受ける方法もありますが、その場合は譲渡損失との損益通算ができません。どちらか一方しか選べないので、配当控除で減る税額と、損益通算で減る税額を比べて決めることになります。なお、上場株式等の譲渡損失は、給与所得や事業所得など他の所得と相殺することはできません。相殺できるのは上場株式等の譲渡益と、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等に限られます。

出典