税金

ふるさと納税の対象自治体は10月1日に入れ替わる ― 6市町村が対象外

2026年9月25日、総務省が告示を1本出しました。総務省告示第354号です。

令和八年十月一日から令和九年九月三十日までの期間に係る法第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項の規定により総務大臣が指定する都道府県は、次に掲げる道府県とする。

続く条文に、指定された自治体の名前が並んでいます。都道府県は46、市区町村は1,735です。 全国の市区町村は1,741なので、6市町村が入っていません。

ふるさと納税のポータルサイトを開いても、この告示のことは書かれていません。けれども寄附をする側から見ると、これは「控除が受けられるかどうか」を決めている告示です。

結論

ふるさと納税は、どの自治体に寄附しても同じ、という制度ではありません。

自己負担がごく小さく収まるのは、住民税の「特例控除」があるからです。そしてこの特例控除は、総務大臣の指定を受けた自治体への寄附にだけ適用されます。指定は1年ごとに出され、毎年10月1日に入れ替わります。

指定のない自治体に寄附しても、寄附そのものは有効で、所得税の寄附金控除と住民税の基本控除は受けられます。無くなるのは特例控除だけです。 ただし、ふるさと納税の仕組みは、この特例控除が寄附額のほとんどを引き受けることで成り立っています。そこが抜けると、残るのはふつうの寄附金控除です。

しかも判定は「寄附した時点」で行われます。 同じ自治体への同じ金額の寄附でも、日付が違えば結論が変わり得ます。

あなたの上限額をその場で計算できますふるさと納税の控除上限額シミュレーター

計算の前提

自己負担の計算は、次の前提で行いました。

項目設定
給与収入600万円(500万円・700万円も併記)
家族構成共働き(配偶者控除なし)・中学生以下の子2人(扶養控除なし)
社会保険料給与収入の15%
ほかの控除住宅ローン控除・iDeCo・医療費控除はなし
寄附額3万円(上限額の範囲内)
適用する税制所得税は令和8年分、住民税は令和9年度分
住所指定都市以外(基本控除は道府県4%+市町村6%)
令和8年分の給与所得控除の最低保障額は74万円、所得税の基礎控除は合計所得489万円以下で104万円、住民税の基礎控除は43万円で計算しています。この前提で年収600万円の住民税の所得割額は300,500円、ふるさと納税の控除上限額は77,000円です。

指定は1年ごとで、10月1日に入れ替わる

まず、制度の形を確認します。

ふるさと納税の控除は3つに分かれます。所得税の寄附金控除、住民税の基本控除、住民税の特例控除です。このうち3つ目だけが、対象になる自治体を限っています。

地方税法第37条の2第2項の定義です。

前項の特例控除対象寄附金とは、同項第一号に掲げる寄附金(以下この条において「第一号寄附金」という。)であつて、(略)に適合する都道府県等として総務大臣が指定するものに対するものをいう

引用で(略)としたのは、適合すべき基準を号で指し示している部分です。ここは令和8年度税制改正(令和8年法律第2号)で寄附金活用基準が加わったため号がずれており、e-Gov法令検索の条文にはこの改正が反映されていません(令和7年3月31日法律第7号までしか入っていない)。令和8年10月1日時点の号の対応は、同日から適用される指定基準告示(平成31年総務省告示第179号)が示していて、第3条が法第37条の2第2項第1号(募集適正)、第4条が第2号(寄附金活用)、第5条が第3号(返礼割合3割以下)、第6条が第4号(地場産品)です。総税市第108号の備考も同じ対応を挙げ、「引用する条項については、令和8年10月1日時点としています」と書いています。指定が要件であること自体は改正の前後で変わりません。

指定の期間は1年です。今回の告示は「令和八年十月一日から令和九年九月三十日までの期間に係る指定」と題されています。9月末に次の1年分が告示され、10月1日から効力を持つという形です。令和7年10月からの指定は令和7年9月29日の告示第330号、令和8年10月からの指定は令和8年9月25日の告示第354号で出ています。

総務省の通知も、この期間を「令和8年指定対象期間」と呼んでいます。

本日、令和8年指定対象期間(令和8年10月1日から令和9年9月30日までの期間をいう。以下同じ。)に係る大臣指定の通知を行ったところですが

東京都は、都道府県としては指定されていない

告示第354号の第一条は「次に掲げる道府県とする」と書いています。東京都が入っていません。

令和7年度についてですが、理由が現況調査の注記に書かれています。

東京都は、令和7年度の指定に際し申出書の提出がなかったことから、同団体に対する寄附については特例控除の対象外である

指定は自治体からの申出があって初めて審査されます(地方税法第37条の2第3項)。申し出なければ指定されません。なお、東京都内の市区町村は「全ての市区町村」として指定されています。 対象外なのは「東京都」への寄附だけです。

令和8年指定対象期間に指定されていない市町村は6つ

告示第354号は、多くの県について「全ての市町村」と書いています。ところが5つの県だけ、市区町村の名前が個別に並んでいます。並んでいない自治体があるからです。

現況調査の団体別データ(全1,741市区町村)と告示を突き合わせると、次の6市町村が告示に載っていません。

自治体告示から外れた日根拠となった告示令和7年度の受入額
長野県須坂市令和7年6月17日令和7年総務省告示第213号0円
岡山県吉備中央町令和7年6月17日令和7年総務省告示第213号895,285,000円
岡山県総社市令和7年9月30日令和7年総務省告示第329号419,514,000円
佐賀県みやき町令和7年9月30日令和7年総務省告示第329号2,421,888,900円
長崎県雲仙市令和7年9月30日令和7年総務省告示第329号337,721,000円
熊本県山都町令和7年9月30日令和7年総務省告示第329号204,587,000円
受入額は総務省「各自治体の令和7年度受入額等」(現況調査)から。令和7年度は令和7年4月1日から令和8年3月31日までなので、この金額には告示から外れる前の寄附と後の寄附の両方が含まれています。 現況調査は月別に分けていないため、内訳は分かりません。須坂市の0円は、現況調査の回答がそうなっているということです。

佐賀県みやき町は、令和7年度に16万件・24億円を受け入れています。 珍しい自治体の話ではありません。

2つの告示は「指定取消に伴う」ものとして掲載されている

総務省のふるさと納税ポータルの関連資料ページは、告示第213号と第329号を、指定の取消しに伴う改正として掲載しています(一覧の表記は「【指定取消に伴う指定告示の一部改正】」)。

告示自体は、いつの寄附から適用するかを丁寧に書き分けています。第329号です。

この告示による改正後の令和六年総務省告示第二百六十八号第二条の規定は、所得割の納税義務者が令和七年九月三十日に支出した第一号寄附金(略)について適用し、令和六年十月一日から令和七年九月二十九日までの間に支出した第一号寄附金については、なお従前の例による

9月29日までの寄附は従前どおり、9月30日の寄附からは対象外という書き方です。日付で切れています。

取消しを受けると、すぐには戻れません。地方税法第37条の2第6項です。

総務大臣は、前項の規定により指定を取り消すときは、指定の取消しを受ける都道府県等について、三年以内の期間を定めて指定を行わない旨の決定をしなければならない。この場合において、指定の取消しを受けた都道府県等は、指定の取消しの日から起算して当該期間を経過するまでの間は、指定を受けることができない

令和8年9月25日の通知にも、同じことが書かれています。

なお、指定取消しの対象となった場合、取り消しとなった日から最大3年を経過する日まで指定を受けることができません。

したがって、いま指定されていない自治体は、来年10月に自動で戻るわけではありません。

指定がないと、控除はこう変わる

ここからが家計の話です。「対象外」と聞くと全額が自己負担になりそうですが、そうではありません。

地方税法第37条の2第1項第1号は、控除の対象になる寄附金をこう定めています。

都道府県、市町村又は特別区(以下この条において「都道府県等」という。)に対する寄附金(当該納税義務者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益が当該納税義務者に及ぶと認められるものを除く。)

ここに「指定を受けた」という限定はありません。 指定が効いてくるのは、同じ第1項の中で特例控除額を加算する部分と、第2項の定義です。したがって指定のない自治体への寄附でも、

  • 所得税の寄附金控除(所得税法第78条。地方公共団体への寄附金は特定寄附金)
  • 住民税の基本控除(第37条の2第1項の道府県4%+第314条の7第1項の市町村6%)

の2つは残ります。無くなるのは住民税の特例控除です。

年収600万円・寄附3万円で計算すると、こうなりました。

30,000円指定あり通常30,000円指定なし特例控除なし
指定あり通常指定なし特例控除なし
自己負担2,00024,341
所得税の寄附金控除2,8592,859
住民税の基本控除2,8002,800
住民税の特例控除22,3410
合計30,00030,000

2本の棒はどちらも30,000円です。違うのは一番下の自己負担の高さで、指定がないと2,000円から24,341円に増えます。増えた分はそのまま、右の棒で消えている「住民税の特例控除」の額です。所得税の寄附金控除と住民税の基本控除は、どちらの棒にも同じだけ残っています。

給与収入600万円(共働き・中学生以下の子2人)が3万円を寄附した場合の内訳。棒の全体はいずれも寄附額の30,000円。

自己負担は2,000円から24,341円になります。 12.2倍です。

戻ってくる額で見ると、28,000円から5,659円に減ります。寄附額に対する割合は93.3%から18.9%へ下がります。

年収を変えても、指定がないと2万円以上が自己負担になる

寄附3万円のまま、年収だけを動かしました。

給与収入所得税の税率特例控除に使う税率指定ありの自己負担指定なしの自己負担差(受けられない特例控除)
500万円5%5%2,000円25,771円23,771円
600万円10%10%2,000円24,341円22,341円
700万円20%20%2,000円21,482円19,482円

指定がなければ、どの年収でも2万円以上が自己負担になります。 年収が高いほど自己負担が小さいのは、所得税の寄附金控除が税率で効くからです。所得税率20%の人でも2万円を超えます。

特例控除に使う「所得税の税率」は、所得税の税率と別物

【2026年10月20日 訂正】この節には当初「年収500万円では、指定があっても自己負担は2,000円で済まない」と書いていましたが、これは誤りでした。 当サイトの計算が、下に出てくる「人的控除差調整額」を5万円としていたためです。地方税法37条の2第11項1号は、この額を「5万円(+人的控除の差)」と「所得税の基礎控除の額から四十八万円を控除して得た額」の合計額と定めていて、令和8年分の基礎控除は104万円(合計所得489万円以下)なので61万円です。正しく計算すると年収500万円の判定額は238万−61万=177万円で、所得税の課税所得(177万円)と一致し、税率はともに5%、自己負担は2,000円です。上の表とまとめ、FAQも直しました。その上で、2つの税率がずれること自体は起きますので、この節はずれる条件を書き直して残します。

表の「所得税の税率」と「特例控除に使う税率」を別の列にしてあるのには理由があります。この2つは別の数字になり得るからです。

特例控除の式に入る「所得税の税率」は、所得税の課税所得で決まるのではありません。総務省の説明です。

上記(3)における所得税の税率は、個人住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額を差し引いた金額により求めた所得税の税率であり、上記(1)の所得税の税率と異なる場合があります。

引用の (3) は住民税の特例控除、(1) は所得税からの控除を指しています。同じ「所得税の税率」という言葉が、2つの式で別の数字になり得るということです。

調整額は、住民税の課税所得から所得税の課税所得を引き当てるための額です。 住民税の控除は所得税より小さいので、住民税の課税所得のほうが大きく出ます。その差を戻して「その人に適用される所得税の税率」を出す、という仕組みです。おおむね給与だけの人なら、引いた後の額は所得税の課税所得と1円単位で一致します(年収500万円:238万−61万=177万円)。

ずれるのは、所得税と住民税で限度額が違う控除があるときです。 代表的なのが生命保険料控除で、所得税は最高12万円、住民税は最高7万円です。差の5万円は人的控除の差ではないので、調整額では戻りません。その分、判定額が所得税の課税所得より大きくなり、段をまたいで上の税率に乗ることがあります。

先ほどと同じ前提に生命保険料控除(年保険料12万円)を加え、年収を540万円にした場合がそれです。

年収540万円(生命保険料控除12万円)
所得税の課税所得(→ 税率5%)1,910,000円
住民税の課税所得2,570,000円
人的控除差調整額610,000円
特例分の判定額(→ 税率10%)1,960,000円
特例控除(28,000円×(90%−10%×1.021))22,341円
所得税の寄附金控除(税率5%)1,429円
住民税の基本控除2,800円
控除の合計26,570円
自己負担(30,000円−26,570円)3,430円

判定額196万円は195万円を超えているので特例控除は10%で差し引かれますが、所得税側で実際に戻るのは5%分しかありません。差の5%分(+復興特別所得税)が自己負担に残ります。

「実質2,000円」が成り立つのは、特例控除に使う税率と実際の所得税の税率が一致する場合です。ずれるのは、上のように所得税と住民税で限度額が違う控除(生命保険料控除・地震保険料控除など)があって、かつ判定額が税率の段の境目(195万円・330万円など)をまたいでいるときです。幅は狭いですが、当たると上限内でも自己負担が2,000円で済まなくなります。指定の有無とは別の話なので、指定を受けた自治体に寄附するときにも当てはまります。

上限額いっぱいに寄附していた場合は、指定がないときの自己負担がもっと大きくなります。年収600万円の上限額77,000円を指定のない自治体に寄附すると、自己負担は61,842円という計算になりました(戻るのは15,158円)。

ワンストップ特例も使えない

見落としやすいのはこちらです。地方税法附則第7条第1項は、申告特例(ワンストップ特例)を求められる人をこう限定しています。

第三十七条の二第二項に規定する特例控除対象寄附金(略)を支出する者(略)は、当分の間、寄附金税額控除額の控除を受けようとする場合には(略)申告特例通知書を送付することを求めることができる

特例控除対象寄附金でなければ、ワンストップ特例の対象になりません。 指定のない自治体への寄附で所得税の寄附金控除と住民税の基本控除を受けるには、確定申告(または住民税の申告)が必要です。 受領証は必ず保存してください。

そして、この確定申告には期限があります。総務省の説明です。

寄附金控除を受けるためには、原則として、寄附をした翌年の3月15日までに、住所地等の所轄の税務署へ確定申告を行っていただく必要があります。確定申告を行う際には、寄附をした自治体が発行する寄附の証明書・受領書や、専用振込用紙の払込控(受領書)が必要となります。

令和8年(2026年)中の寄附なら、令和9年(2027年)3月15日までです。 ここを逃すと、指定があれば自動で処理されたはずの控除が、ひとつも受けられません。 指定のない自治体への寄附では、自己負担は24,341円ではなく寄附額そのもの(30,000円)になります。申告書を出すまでが「寄附」だと考えてください。

ワンストップ特例には、寄附先の自治体数が5以下と見込まれることという条件もあります(同条第2項「申告特例の求めを行う都道府県知事等の数が五以下であると見込まれる場合に限り、行うことができる」)。指定の有無とは別の条件です。

判定は「寄附した時点」で行われる

年末の駆け込みに関係するのが、この規定です。

第一項の場合において、第二項に規定する特例控除対象寄附金(略)であるかどうかの判定は、所得割の納税義務者が第一号寄附金を支出した時に当該第一号寄附金を受領した都道府県等が指定をされているかどうかにより行うものとする

地方税法第37条の2第9項です。基準日は「寄附した日」です。 申し込んだ日や返礼品が届いた日ではありません。

指定は10月1日に入れ替わるので、9月30日と10月1日で結論が変わる自治体があり得ます。 令和8年10月1日からの指定については、令和7年の期間に指定されていた1,735市区町村と46道府県がそのまま指定されており、この日をまたいで新たに外れた自治体はありませんでした(告示第330号と第354号を突き合わせて確認)。

ただし、期間の途中でも取消しは起こります。 実際に令和6年指定対象期間(令和6年10月1日〜令和7年9月30日)では、令和7年6月17日と同年9月30日の2回、指定告示が改正されました。上の6市町村は、いずれもこの2回で外れたものです。一方、令和7年指定対象期間の告示第330号は、1年を通じて改正されていません。 年末に寄附するときは、そのときの告示で確かめるのが安全です。

10月1日から、集め方のルールも変わる

今回の入れ替わりでは、指定の基準そのものも変わっています。寄附する側から見ると「返礼品が変わる理由」になる部分なので、家計の側から押さえておきます。

募集に使える費用の上限が、5割から47.5%に下がる

令和8年度税制改正で、寄附金活用基準が地方税法に規定されました。令和8年6月26日の通知(総税市第71号)の説明です。

この観点から、令和8年度税制改正において、新たに、寄附金活用基準を規定し、寄附金活用可能額の割合を段階的に引き上げることとしており、令和8年指定対象期間については、当該期間における寄附金活用可能額が、当該期間において受領する第1号寄附金(略)の額の合計額の100分の52.5に相当する金額以上であることとされていること(地方税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第2号)附則第3条第5項、第11条第4項)

寄附金活用可能額は「受け入れた寄附金 − 募集に要した費用」です。52.5%以上を残せということは、募集に要する費用を47.5%以下にせよということです。

令和7年の期間までは「5割以内」でした(同じ通知です)。

また、令和8年指定対象期間に係る指定に当たっては、令和7年指定対象期間(略)において、募集費用が寄附金受領額の合計額の5割以内となっていることが要件となっていること

到達点は6割で、そこまで4年かけて上げていきます。 現況調査結果の資料に、各年の水準が書かれています。

寄附金活用可能額(寄附金のうち地方団体が活用できる財源)の割合を60%以上と設定するとともに、使途を公表。※令和8年指定から段階的に適用する。(R8:52.5%、R9:55%、R10:57.5%、R11:60%)

指定対象期間寄附金活用可能額の下限募集に使える費用の上限
令和7年(〜令和8年9月30日)―(募集費用5割以内が要件)50%
令和8年(令和8年10月1日〜)52.5%47.5%
令和9年55%45%
令和10年57.5%42.5%
令和11年60%40%
総務省のQ&A(令和8年4月1日付け総税市第33号)も、この基準の見出しを「寄附金活用基準(寄附金活用可能額6割以上)」としています。右の列は100%から引いた数字で、告示や通知が「上限」として書いているものではありません。

つまり、10月の引き下げは1回きりではありません。 令和11年まで毎年下がります。

寄附1万円の行き先を、実績で見る

では、いまの実績はどのあたりにあるのでしょうか。総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」(令和8年7月31日公表)に、令和7年度の実績が載っています。

令和7年度の実績は、約1兆3,314億円、約5,963万件。

募集に要した費用の内訳(全団体の合計)はこうです。この割合で寄附1万円を按分すると、右の列になります。

区分令和7年度の実績受入額に占める割合寄附1万円あたり
返礼品等の調達3,528億円26.50%2,650円
返礼品等の送付756億円5.68%568円
広報93億円0.70%70円
決済等196億円1.47%147円
事務1,804億円13.55%1,355円
その他4億円0.03%3円
費用の合計6,382億円47.93%4,793円
自治体に残る額6,932億円52.07%5,207円
割合と1万円あたりの額は、現況調査の団体別データ(1,788団体ぶん)を合算して計算しました。概要資料は「事務に係る費用等 1,809億円(13.6%)」として事務とその他を合わせて示しています。1万円あたりの内訳は円未満を四捨五入しており、6項目の和は費用の合計(4,793円)と一致します。億円の列は各項目を四捨五入しているので、6項目の和(6,381億円)は合計の6,382億円と1億円ずれます。 合計と割合は概要資料の表(合計6,382億円・47.9%)と一致しています。

返礼品そのものは2,650円です。 3割以下という基準があるので、ここは3,000円を超えません。目を引くのは事務の1,355円で、返礼品の送付・広報・決済を合わせた額より大きくなっています。

新しい基準は、全国平均のすぐ上にある

ここで気づくことがあります。

割合
令和7年度の実績(全国計で自治体に残った額)52.07%
令和8年指定対象期間の寄附金活用基準52.5%
差−0.43ポイント

全国を合計した実績は、新しい基準をわずかに下回っています。 令和7年度の受入額で基準を満たすには、費用を58億円削る必要がありました。

厳密には同じものを比べていません。現況調査は年度(4月1日〜3月31日)の決算見込で、基準が見るのは指定対象期間(10月1日〜9月30日)です。さらに費用の計上方法も、令和8年10月1日以後に始まる指定対象期間からは寄附金受領日ベースに統一され、従来認められていた支払日ベースは使えなくなります(Q&A(令和8年4月1日付け総税市第33号)の別紙2・問16。「従前、募集費用総額5割以下基準において認めていた計上方法〔支払日ベース〕は、令和8年10月1日以降に開始する指定対象期間において採用することは認められない」)。したがって上の比較は水準の目安です。ただし基準は自治体ごとに判定されるので、平均が基準の近くにあるということは、下回る自治体が相当数あるということです。

総務省は、費用の中でもポータルサイト手数料を名指ししています。

特に、ふるさと納税のポータルサイト手数料に関しては、令和6年度における実質的な手数料が1,379億円、手数料率にして11.5%に達していることから、令和8年5月22日に、総務省として、大手ポータルサイト運営事業者が参加する一般社団法人ふるさと納税協会の会員企業に対し、速やかにポータルサイト手数料の引下げに取り組んでいただくよう要請したところ

1,379億円は令和6年度の数字です。令和7年度の同じ算定による額は1,490億円(+111億円)で、手数料率は11.5%のままと現況調査結果に示されています(「受入額に対する調達・送付に要する費用を除いた支払額の割合(C/A)=11.5%」)。調達費と送料を含めたポータルサイト運営事業者への支払総額は2,433億円で、こちらの割合は18.8%です。分母が総受入額ではなく「ポータルサイトを経由した受入額」(1兆2,947億円。全体の97.2%)であることに注意してください。率が横ばいなのは、受入額そのものが増えているからです。 引下げ要請の効果は、令和8年度以降の調査で見ることになります。

返礼品の側では、証明と公表が要件になった

もう1つ、返礼品の「地場産品」の判定が変わりました。区域内での加工によって認められる類型(告示第6条第3号)について、総務省の通知はこう説明しています。

改正後の告示第6条第3号については、返礼品等の製造等を行う者により、返礼品等の価値の過半が区域内の工程で生じている旨の証明がなされ、当該証明の内容が総務大臣通知に定める様式により、地方団体が同号に該当する返礼品等を提供する旨を表示して寄附金の募集を開始する日までに、当該地方団体が管理するウェブサイトで公表される場合に限り適合するものとされています。

「価値の過半が区域内で生じている」ことを、製造者が証明し、自治体が公表する。 この2つが揃わないと基準に適合しません。

あわせて、返礼割合3割以下の基準についても、逃げ道が塞がれています。

返礼品等を提供する地方団体は、その理由如何にかかわらず当該基準を満たすことが必要であり、物価上昇に伴う調達費用の変動が理由であってもこの例外とはならず、指定の取消し事由となります。

物価が上がっても3割は3割です。通知は、そのために「返礼品等の数量の調整や必要寄附金額の変更等の措置を講ずる必要がある」と書いています。10月以降に返礼品の量が減る、あるいは必要な寄附金額が上がるとしたら、その背景はここです。

ポイントを配る事業者を通じた募集は、すでに禁止されている

指定基準告示の第3条第1号ロ⑵は、寄附に伴って金銭その他の経済的利益を提供する者を通じた募集を禁じています。令和8年9月25日の通知は、この禁止がいつからかを明示した上で、範囲を念押ししています。

令和7年10月1日以降、寄附金の寄附に伴って寄附者に対し金銭その他の経済的利益(通常の商取引に係る決済に伴って提供されるものに相当するものを除く。以下単に「経済的利益」という。)を提供する者(この者が、第三者を通じて経済的利益を付与する場合を含む。以下同じ。)を通じた募集については禁止されています。

なお、経済的利益は、ポータルサイト運営事業者が付与するポイントに限られず、返礼品提供事業者が通常提供する返礼品とは別に、追加的に物品等を提供することを表示して募集を行った場合には、本指定基準に違反するおそれがあることに十分ご留意ください。

違反したときに指定を取り消されるのは、事業者ではなく自治体です。 通知はこの点も明記しています。

事業者がポータルサイト上で、適切な寄附先の選択を阻害するような表現を行った場合であっても、指定取消の対象となるのは当該地方団体です。

寄附する側から見ると、「ポイントが付くから」という理由で寄附先を選ぶ余地は、制度の側から先に閉じられているということになります。

あなたの数字で確かめる手順

① 寄附しようとしている自治体が、いま指定されているかを見る

総務省告示第354号(令和8年10月1日から令和9年9月30日まで)が正本です。県ごとに「全ての市町村」と書かれていれば、その県の市町村はすべて対象です。個別に名前が並んでいる県(今回は長野県・岡山県・佐賀県・長崎県・熊本県)は、自分の寄附先が並んでいるかを確かめてください。

② 指定がない場合に戻る額を計算する

指定がない場合に戻るのは、次の2つだけです。

  1. 所得税の寄附金控除 =(寄附額 − 2,000円)に所得税の税率を掛けた額の分だけ所得税が減る(復興特別所得税を含めると×1.021)
  2. 住民税の基本控除 =(寄附額 − 2,000円)× 10%

年収600万円(課税所得242万円・税率10%)で3万円なら、①が2,859円、②が2,800円で合計5,659円です。自己負担は30,000円 − 5,659円 = 24,341円になります。

①は所得控除なので、正確には「寄附金控除を引く前と後で所得税額がいくら変わるか」で計算します。上の2,859円は、課税所得242万円から28,000円を引いた239万2,000円で所得税を計算し直した差額(2,800円)に1.021を掛けた額です。また、寄附金控除の対象額には総所得金額等の40%、住民税の基本控除には30%という上限があります(この例では効きません)。

③ 指定がある場合の上限額は、シミュレーターで出す

指定がある場合の自己負担は、上限額の範囲内で寄附し、かつ特例控除に使う税率が所得税の税率と一致していれば2,000円です。上限を超えた分は控除されません。上限額は住民税の所得割額で決まるので、住宅ローン控除やiDeCoがあると大きく下がります。税率がずれる帯では、上限内でも2,000円で済みません(上の年収540万円・生命保険料控除12万円の例)。

あなたの上限額をその場で計算できますふるさと納税の控除上限額シミュレーター

④ 指定がなかったときは、翌年3月15日までに確定申告する

ワンストップ特例が使えないので、申告しなければ控除はゼロです。 寄附した翌年の3月15日までに、受領証を添えて住所地の税務署へ確定申告してください(原則。令和8年中の寄附なら令和9年3月15日)。確定申告を要しない人でも、住民税の基本控除だけを受けるなら市区町村への住民税の申告で足ります。

⑤ 年末に寄附するときは、告示の日付を見る

指定は令和9年9月30日までです。12月に寄附するときも、そのときに有効な告示が「令和8年指定対象期間」のものであることを確認してください。 期間の途中でも改正はあります。

まとめ

  • ふるさと納税の対象自治体は、1年ごとに総務大臣が指定する。 令和8年9月25日の総務省告示第354号で、令和8年10月1日から令和9年9月30日までの指定が出た
  • 指定されたのは46道府県と1,735市区町村。全国1,741市区町村のうち6市町村(長野県須坂市・岡山県総社市・岡山県吉備中央町・佐賀県みやき町・長崎県雲仙市・熊本県山都町)は指定されていない。東京都も都道府県としては指定されていない
  • 指定がない自治体に寄附しても、所得税の寄附金控除と住民税の基本控除は残る。 無くなるのは住民税の特例控除
  • 年収600万円で3万円を寄附した場合、自己負担は2,000円から24,341円になる。上限額いっぱい(77,000円)なら61,842円
  • ただし「指定があれば自己負担2,000円」は、特例控除に使う税率と所得税の税率が一致する場合の話。所得税と住民税で限度額が違う控除(生命保険料控除など)がある帯ではずれ、年収540万円・生命保険料控除12万円の例では前者が10%・後者が5%で、上限内でも自己負担は3,430円になる
  • 指定がないとワンストップ特例も使えない。 控除を受けるには確定申告が必要で、期限は寄附をした翌年の3月15日(原則)。出さなければ所得税の寄附金控除も住民税の基本控除も受けられず、寄附額の全額が自己負担になる
  • 判定は「寄附した時点」(地方税法第37条の2第9項)。9月30日と10月1日で結論が変わり得る
  • 10月1日から、募集に使える費用の上限が5割から47.5%へ下がる(寄附金活用基準52.5%)。令和7年度の全国実績は52.07%で、新しい基準をわずかに下回っている
  • 引下げは1回で終わらない。令和9年55%、令和10年57.5%、令和11年60%と段階的に上がる(現況調査結果の資料)
  • 寄附1万円の行き先は、返礼品2,650円・送付568円・広報70円・決済等147円・事務1,355円・その他3円で、自治体に残るのは5,207円(令和7年度の全国計)
  • 返礼割合3割以下は物価上昇を理由に超えることが認められない。 10月以降に返礼品の量や必要寄附金額が変わるとしたら、その背景はここにある

よくある質問

ふるさと納税は、どの自治体に寄附しても同じように控除されますか。

同じではありません。自己負担2,000円で済む仕組みの中心にある「特例控除」は、総務大臣の指定を受けた自治体への寄附だけが対象です。地方税法第37条の2第2項は、特例控除対象寄附金を「第一号寄附金…であつて、…基準に適合する都道府県等として総務大臣が指定するものに対するもの」と定めています。指定は1年ごとで、令和8年9月25日の総務省告示第354号により、令和8年10月1日から令和9年9月30日までの期間について、46道府県と1,735市区町村が指定されました。全国1,741市区町村のうち6市町村は指定されていません。東京都も、都道府県としては指定されていません(都内の市区町村はすべて指定されています)。指定のない自治体への寄附でも、所得税の寄附金控除と住民税の基本控除は受けられますが、特例控除は受けられません。

令和8年10月1日から1年間、指定されていない自治体はどこですか。

総務省告示第354号を全国の団体名簿と突き合わせると、長野県須坂市、岡山県総社市、岡山県吉備中央町、佐賀県みやき町、長崎県雲仙市、熊本県山都町の6市町村が告示に載っていません。このうち須坂市と吉備中央町は令和7年総務省告示第213号により令和7年6月17日から、総社市・みやき町・雲仙市・山都町は令和7年総務省告示第329号により令和7年9月30日から、それぞれ指定の対象から外れています。総務省はこの2つの告示を「指定取消に伴う指定告示の一部改正」として掲載しています。地方税法第37条の2第6項は、指定を取り消すときは3年以内の期間を定めて指定を行わない旨の決定をしなければならないと定めており、取消しを受けた自治体はその期間中は指定を受けられません。

指定されていない自治体に3万円を寄附すると、自己負担はいくらになりますか。

給与収入600万円・共働き(配偶者控除なし)・中学生以下の子2人という前提で計算すると、自己負担は24,341円になります。指定を受けた自治体であれば2,000円です(同じ前提で年収500万円だと、指定があれば2,000円、指定がなければ25,771円です)。差の22,341円が、受けられない特例控除の額です。内訳を見ると、指定がなくても所得税の寄附金控除で2,859円、住民税の基本控除で2,800円は戻るので、まったく控除されないわけではありません。ただし戻るのは合計5,659円だけで、寄附額の19%です。ふるさと納税の「実質2,000円」は、住民税の特例控除が寄附額の残りをほぼ全部引き受けているから成り立っています。その部分が無くなると、ふつうの寄附金控除に戻ります。

指定のない自治体でも、ワンストップ特例は使えますか。

使えません。地方税法附則第7条第1項は、申告特例(ワンストップ特例)を求められるのは「第三十七条の二第二項に規定する特例控除対象寄附金…を支出する者」だとしています。指定を受けていない自治体への寄附は特例控除対象寄附金ではないので、申請書を送る対象になりません。この場合、所得税の寄附金控除と住民税の基本控除を受けるには確定申告(または住民税の申告)が必要です。総務省は「寄附金控除を受けるためには、原則として、寄附をした翌年の3月15日までに、住所地等の所轄の税務署へ確定申告を行っていただく必要があります」としており、令和8年(2026年)中の寄附なら令和9年(2027年)3月15日が期限です。この期限を過ぎると、指定があれば受けられたはずの所得税の寄附金控除と住民税の基本控除も受けられなくなり、寄附額の全額が自己負担になります。申告には寄附先の自治体が発行する受領証が要るので、必ず保存しておいてください。なお、ワンストップ特例そのものにも、寄附先が5自治体以下であることという条件があります(同条第2項)。指定の有無とは別の条件なので、両方を満たす必要があります。

9月30日に寄附するか10月1日に寄附するかで、控除は変わりますか。

変わる場合があります。地方税法第37条の2第9項は、特例控除対象寄附金かどうかの判定を「所得割の納税義務者が第一号寄附金を支出した時に当該第一号寄附金を受領した都道府県等が指定をされているかどうかにより行う」と定めています。判定するのは寄附した時点です。指定は令和8年10月1日から令和9年9月30日までの1年単位なので、今回の入れ替わりで対象から外れる自治体があれば、9月30日までの寄附は特例控除の対象、10月1日以後の寄附は対象外になります。令和8年10月1日からの指定については、令和7年の期間に指定されていた自治体がそのまま指定されており、この日をまたいで新たに外れた自治体はありません。ただし期間の途中でも取消しは起こり得るので、年末に寄附する自治体は、そのときの告示で確認するのが安全です。

10月1日から、寄附を集める側のルールも変わるのですか。

変わります。令和8年度税制改正で「寄附金活用基準」が地方税法に規定され、令和8年10月1日から始まる指定対象期間については、寄附金活用可能額(受け入れた寄附金から募集に要した費用を引いた額)が第1号寄附金の合計額の100分の52.5以上であることが要件になりました。裏返すと、募集に要する費用は47.5%以下に収まっていなければなりません。令和7年の期間までは「5割以内」でした。この引上げは1回で終わらず、令和9年指定対象期間は55%、令和10年は57.5%、令和11年は60%と段階的に上がります(総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」に「※令和8年指定から段階的に適用する。(R8:52.5%、R9:55%、R10:57.5%、R11:60%)」と示されています)。国税庁ではなく総務省の所管ですが、返礼品の調達費用が寄附額の3割以下という基準も、物価上昇を理由に超えることは認められず、指定の取消し事由になると通知されています。そのため、10月以降に返礼品の量や必要寄附金額が変わることは起こり得ます。

ふるさと納税の寄附1万円のうち、自治体に残るのはいくらですか。

総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」によると、令和7年度の受入額は約1兆3,314億円、募集に要した費用は6,382億円で、受入額に占める割合は47.9%でした。差の6,932億円(52.1%)が自治体に残った額です。この割合で寄附1万円を按分すると、返礼品の調達に2,650円、送付に568円、広報に70円、決済等に147円、事務に1,355円、その他に3円が使われ、自治体に残るのは5,207円という計算になります。これは全国の合計で見た平均で、自治体ごとの割合は大きく違います。新しい寄附金活用基準(52.5%)は、この全国平均をわずかに上回る水準に置かれています。

出典

制度の内容は改正されることがあります。判断の際は必ず出典元の最新情報をご確認ください。