税金

2027年1月から毎月の源泉徴収が変わる ― 大きいほうは12月まで戻らない

国税庁は、令和9年分の源泉徴収税額表を公開しています。給与から毎月いくら引かれるかを決めている表です。令和8年分と並べると、月額表の甲欄で税額が0円でなくなる金額が次のように動いていました。

扶養親族等の数令和8年分令和9年分上がり幅
0人105,000円111,000円6,000円
1人137,000円143,000円6,000円
2人171,000円177,000円6,000円
3人217,000円221,000円4,000円
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額。この額より下なら税額は0円。国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」令和8年分・令和9年分から機械的に拾った。

表の根拠も入れ替わっています。令和8年分の月額表は「平成24年3月31日財務省告示第115号別表第一(令和7年4月30日財務省告示第122号改正)」でしたが、令和9年分は新しい別表「令和8年4月30日財務省告示第127号別表第一」です。帯の数も変わりました。表をそのまま読み取って数えると232本から229本で、3本減っています。下のほうの帯は2,000円刻みなので、下の端が6,000円上がったぶん(2,000円×3本)がそのまま消えた形です。表の上端は2年分で同じでした。

そして、同じ表の使い方を説明したページの書き出しに、令和8年分には無かった言葉が入りました。

居住者に支払う毎月(日)の給料や賞与などから源泉徴収をする所得税、防衛特別所得税及び復興特別所得税の額は、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表及び日額表)」又は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(以下これらを「税額表」といいます。)を使用して求めることができますが、(略)

国税庁「令和9年分 給与所得の源泉徴収税額の求め方」19ページ「1 税額表の使用区分」。太字は筆者。令和8年分の同じ一文は「所得税及び復興特別所得税の額は」で、防衛特別所得税は入っていない。

結論

2027年1月の給与から、源泉徴収の表そのものが変わります。基礎控除と給与所得控除の引上げが、12月の年末調整を待たずに毎月の天引きに乗るようになります。

ただし、乗るのは本則の部分だけです。いまの基礎控除は、法律本体で定めた額に、所得が一定以下の人への加算を足した形になっています。月額表に入ったのは本体のほうで、加算は入っていません。給与所得控除の最低保障額も同じ構造で、2年かぎりの上乗せは入っていません。

したがって、毎月の天引きはわずかに下がるだけで、大きいほうは12月の年末調整に残ります。 減税が「毎月に分散した」わけではなく、前のめりになったのは一部だけです。

同じ表には、新しい税も入っています。もっとも、こちらは上乗せの合計率が変わらない形で設計されているので、手取りの側には現れません。現れないまま、負担が終わる予定の年が先に延びました。

計算の前提

項目置いた条件根拠
税額表月額表の甲欄月ごとに支払う給与で、扶養控除等申告書を出している人
当てはめる金額その月の社会保険料等控除後の給与等の金額国税庁「求め方」19ページ
扶養親族等の数0人共働きで配偶者は扶養に入らない。子はまだ16歳未満(架空の設例)
給与の支払い方賞与なし・毎月同額架空の設例
社会保険料給与収入の15%当サイトのシミュレーターの既定値。実額ではない
年税額令和8・9年分(改正後)の基礎控除・給与所得控除で計算国税庁「源泉所得税の改正のあらまし」1ページ
税率国税庁 No.2260 の速算表。復興特別所得税等を含めて102.1%同

金額のうち、月額表から引いた税額はすべて公表されている表の実数です。 年収と社会保険料だけが、説明のために置いた架空の設定です。

計算は scripts/fetch-gensen-zeigakuhyo.py で表を取得し、scripts/calc-gensen-zeigakuhyo-2027.py で突き合わせました。

① 毎月の天引きは、160円から690円しか下がらない

月額表の甲欄(扶養親族等の数0人)を、同じ金額のところで並べます。

その月の社会保険料等控除後の金額令和8年分令和9年分差12回分
150,000円2,420円2,080円−340円−4,080円
200,000円4,340円4,170円−170円−2,040円
250,000円6,110円5,940円−170円−2,040円
300,000円7,930円7,760円−170円−2,040円
350,000円11,730円11,390円−340円−4,080円
400,000円15,650円15,320円−330円−3,960円
500,000円28,190円27,520円−670円−8,040円
600,000円45,390円44,720円−670円−8,040円
国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」令和8年分・令和9年分の甲欄から、同じ金額の帯を引いて並べたもの。

この8つの金額では170円から670円ですが、甲欄の帯を全部突き合わせると幅は160円から690円でした。 最も小さいのは230,000円から233,000円の帯(5,460円→5,300円で160円)、最も大きいのは713,000円から716,000円の帯(66,480円→65,790円で690円)です。1年分にすると1,920円から8,280円です。どこにいても、1か月分の下がり幅は700円に届きません。

010,00020,00030,000(円)28,19027,52015万円20万円25万円30万円35万円40万円45万円50万円
令和8年分令和9年分

2本の線はほとんど重なって見えます。改正で下がった幅が最大でも690円で、縦軸の目盛りより小さいからです。表が変わったことは、グラフの形には出てきません。

その月の社会保険料等控除後の給与等の金額と、月額表の甲欄(扶養親族等の数0人)の税額。令和8年分と令和9年分の2本。

グラフにしても差が見えません。 下がり幅が小さいからです。

扶養親族等の数が増えても、下がり幅はほとんど同じです。

その月の社会保険料等控除後の金額扶養親族等の数令和8年分令和9年分差
300,000円0人7,930円7,760円−170円
300,000円1人6,320円6,150円−170円
300,000円2人4,700円4,530円−170円
同じ出典。扶養親族等の数は源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計数で、16歳未満の子は(障害者に該当しない限り)数に入らない。

② 月額表に入ったのは「本則」だけ

なぜこれだけしか下がらないのか。月額表のかわりに使ってよいとされている「電算機計算の特例」を見ると分かります。給与計算を事務機械で処理しているときは、月額表の甲欄のかわりにこの計算式を使えます。表ではなく式なので、中で何を引いているかが見えます。 別表第一(給与所得控除の額)、別表第二(配偶者・扶養の控除額)、別表第三(基礎控除の額)、別表第四(税額の算式)の4本からできています。

年分で変わったのは、別表第一と別表第三の2つだけでした。

別表令和8年分令和9年分年額に換算すると
別表第三 基礎控除の額(第1段)月48,334円月51,667円580,008円 → 620,004円
別表第一 給与所得控除の額(最低額)月54,167円月57,500円650,004円 → 690,000円
別表第二 配偶者・扶養1人あたり月31,667円月31,667円380,004円(変わらず)
別表第四 税額の算式——変わらず
国税庁「電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法を定める財務省告示」令和8年分(平成24年3月31日財務省告示第116号(令和7年4月30日財務省告示第123号改正))と令和9年分(令和8年4月30日財務省告示第128号)。源泉徴収税額表18ページ。

ここで、年末調整のときに使う額と比べてください。

月額表・電算特例の側年末調整の側
基礎控除年620,004円(本則62万円)合計所得489万円以下なら1,040,000円
給与所得控除の最低額年690,000円(本則69万円)最低保障額740,000円
年末調整の側は国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」1ページ。基礎控除の104万円は本則62万円に租税特別措置法41条の16の2の加算42万円を足した額、給与所得控除の74万円は本則69万円に令和8・9年分かぎりの特例5万円を足した額。

加算42万円と、給与所得控除の上乗せ5万円は、月額表に入っていません。 月々の天引きは本則だけで計算され、加算の分は12月まで待つことになります。

③ 毎月に乗っていないものは、12月に戻ってくる

年収別に、毎月の差と、12月の年末調整で精算される額を並べます。

年収毎月の天引きの差12回分令和8年12月に戻る額令和9年12月に戻る額
300万円−180円−2,160円30,240円28,080円
400万円−170円−2,040円30,380円28,340円
500万円−340円−4,080円53,460円49,380円
600万円−340円−4,080円66,820円62,740円
700万円−670円−8,040円52,420円44,380円
800万円−670円−8,040円44,760円36,720円
賞与なし・毎月同額・社会保険料は給与収入の15%・扶養親族等の数0人として、月額表の甲欄から12回分を引き、改正後の年税額を差し引いた。年税額の計算は12月の年末調整の記事と同じスクリプト。

「12月に戻る額」の列は、令和9年になってもほとんど減りません。 毎月下がった分(12回分の列)だけが、12月の列から抜けていく形です。年収600万円なら、66,820円が62,740円になり、差は4,080円でした。

戻る額の正体を、年収600万円で分解します。

差が出るところ年末調整の側月額表の側差税額にすると
基礎控除1,040,000円620,004円419,996円42,881円
給与所得控除1,640,000円1,460,004円179,996円18,377円
税率10%・102.1%で計算し、1円未満を切り捨てた。2つの合計61,258円に対して、実際に精算される額は62,740円で、差は1,482円。うち1,440円は月額表が帯でできているためのずれで、控除後425,000円は「425,000円以上428,000円未満」の帯に入るため、電算機計算の特例で求めた17,400円より月120円高い17,520円になる(帯のどこにいても税額は同じ)。残る42円は、年調年税額の100円未満切捨てなど端数処理の積み上がり。

給与所得控除の差が出るのは、月額表が「社会保険料を引いた後の金額」に率を掛けるからです。年末調整は社会保険料を引く前の給与収入に掛けるので、こちらのほうが大きくなります。年収600万円・社会保険料90万円なら、差は179,996円でした。

年収500万円の行で、戻る額が跳ね上がる

上の表で、年収500万円の「令和9年12月に戻る額」は49,380円です。年収400万円の28,340円から2万円以上増えていて、年収700万円の44,380円より多くなっています。

これは税率の段が月次と年次でずれているために起きています。この人の月次の課税給与所得金額は194,998円で、別表第四では10.21%の段に入ります。ところが1年分で見た課税所得は1,770,000円なので、速算表では5%の段です。

毎月は10%の段で取られていて、1年で見ると5%の段だったということです。月額表が本則の控除しか持っていないので、月次の課税所得が膨らんで1つ上の段に届いてしまいます。段の境目の近くにいる人は、12月に戻る額がこうして大きくなります。

④ 新しい税は、手取りには現れない

令和9年分の表に入った防衛特別所得税について、国税庁の説明はこうです。

令和8年度の税制改正により、防衛特別所得税が創設され、所得税の源泉徴収義務者は、所得税を徴収する際に、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1%相当額)を併せて徴収し、その所得税の法定納期限までに、その防衛特別所得税をその所得税と併せて国に納付しなければならないこととされました。

また、復興特別所得税について、その税率が1.1%(改正前:2.1%)に引き下げられ、課税期間が令和29年12月31日まで(改正前:令和19年12月31日まで)10年間延長されました。

これらの改正は、令和9年1月1日以後に生ずる所得に対する所得税について適用されます。

なお、改正前(復興特別所得税の税率2.1%)と改正後(防衛特別所得税の税率1%及び復興特別所得税の税率1.1%)とで、合計税率(2.1%)に変更はありませんので、改正前後で、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じません。

国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」8ページ。

上乗せの合計は2.1%のままです。 1%の新しい税ができた分だけ、復興特別所得税が2.1%から1.1%へ下がっています。

表の側でも確かめられます。月額表の最初の帯の乙欄は、令和8年分も令和9年分も「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額の3.063%に相当する金額」で、1文字も動いていません。3.063%は所得税率3%に102.1%を掛けた率です。合計が変わっていれば、ここが動きます。

変わったのは、終わる予定の年です。 復興特別所得税の課税期間は令和19年12月31日までから令和29年12月31日までへ、10年延びました。防衛特別所得税の側には期限が示されていません。手取りが変わらないので、この入れ替えは給与明細を見ても気づけません。

株式の譲渡益や預金の利息でも同じことが起きます。当サイトでは特定口座と一般口座の記事と年間取引報告書の記事で扱いました。

⑤ 令和9年分の申告書 ― 「簡易な申告書」が使えない年がある

令和9年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は、すでに国税庁のサイトに出ています。様式は2つで、通常のものと、【簡易対応様式】と書かれたものです(それぞれに記載例が付いています)。勤務先から配られたら、どちらなのかを見てください。

「簡易な扶養控除等申告書」は令和9年分で始まる制度ではありません。 国税庁の手続案内(A2-1)には令和8年分の【簡易対応様式】も並んでいますし、令和7年分の様式の裏面にも次の案内が入っています。

⑵ この申告書に記載すべき事項が令和6年においてその給与の支払者を経由して提出した申告書に記載した事項から異動がない場合には、その記載すべき事項に代えて「異動がない」旨を記載した申告書(以下「簡易な申告書」といいます。)を提出することができます。

国税庁「【簡易対応様式】令和7年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」裏面「1 申告についてのご注意」。令和8年分・令和9年分の様式にも、年を1つずつずらした同じ一文がある。

つまり令和7年分から出せるもので、令和9年分がその初年ではありません。前年に出した申告書から変わっていなければ、本人の氏名・住所又は居所・マイナンバーと、異動がない旨を余白に書くだけで足ります。

簡易な申告書は、従業員の方から提出を受ける扶養控除等申告書に記載すべき事項が、その従業員の方から前年に提出を受けた扶養控除等申告書(略)に記載された事項から異動がない場合に提出を受けることができるものです。

国税庁「簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)」2−1。

ところが、子がいる世帯には使えない年があります。 同じFAQは、年齢で区分が変わる年は「異動があった」ことになるとしています。

⑵ 「控除対象扶養親族」に該当する人の年齢が19歳に達し、「特定扶養親族」に該当することとなる場合 ⑶ 「特定扶養親族」に該当する人の年齢が23歳に達し、「特定扶養親族」に該当しない「控除対象扶養親族」に該当することとなる場合 ⑷ 「特定親族」に該当する人の年齢が23歳に達し、「源泉控除対象親族」に該当しないこととなる場合 ⑸ 「年少扶養親族」に該当する人の年齢が16歳に達し、「控除対象扶養親族」に該当することとなる場合

同FAQ 2−4。番号は原文のまま。⑴は70歳に達して老人扶養親族になる場合、⑹は国外居住親族の場合。

子が16歳になる年、19歳になる年、23歳になる年は、簡易な申告書を出せません。 通常の様式に書き直すことになります。扶養控除の額が動く節目なので、勤務先が月々の天引きを正しく計算するために必要な変更です。

一方、所得の見積額が変わっただけなら、簡易な申告書を出して構いません。ただし条件があります。同FAQは「その年及び前年の両方において」次のような場合に該当するときに限って「異動がないものとして取り扱って差し支えありません」としています。挙がっているのは、控除対象扶養親族や年少扶養親族の所得の見積額が62万円以下である場合、源泉控除対象配偶者の見積額が95万円以下である場合、控除対象扶養親族以外の源泉控除対象親族の見積額が62万円超100万円以下である場合などです。

子のアルバイト代が去年と違っても、去年と今年の両方が線の内側にとどまっているなら書き直さなくてよいということです。逆に、去年は62万円を超えていた子が今年は62万円以下になるときは、両方の年を満たさないので「異動があった」ことになり、簡易な申告書は使えません。

あなたの数字で確かめる手順

1. 給与明細で「社会保険料等の合計」を確認する。 健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などの合計です。給与の総額からこれを引いた額が、税額表に当てはめる金額になります。

2. その金額の帯を、令和9年分の月額表で引く。 国税庁「令和9年分 源泉徴収税額表」の1から7ページ(Excelでも公開されています)。甲欄の、自分の扶養親族等の数の列です。

3. 同じ金額を令和8年分の月額表でも引いて、差を見る。 いまの給与明細の源泉徴収税額と見比べれば、2027年1月に何円動くかが分かります。

4. 扶養親族等の数を数え直す。 源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の合計数です。16歳未満の子は(障害者に該当しない限り)入りません。子が16歳になる年は1人増えます。

5. 12月に戻る額は、別に見積もる。 月額表の税額を12倍した額から、1年分の所得税を引いた差が、12月に精算される額です。1年分の所得税の求め方は12月の年末調整の記事にあります。

6. 住民税はこの表と関係ありません。 給与から引かれる住民税は前年の所得で決まり、6月に切り替わります。仕組みは6月に手取りが変わる理由にまとめました。

まとめ

  • 令和9年分の月額表は、新しい別表(令和8年4月30日財務省告示第127号別表第一)になった。 甲欄で税額が0円でなくなる金額は、扶養親族等の数0人で105,000円から111,000円へ6,000円上がった。つまり税額が0円でいられるのは、111,000円未満までになった
  • 毎月の天引きが下がる幅は160円から690円。 1年分でも1,920円から8,280円で、グラフにすると令和8年分との線が重なって見える
  • 月額表に入ったのは本則の部分だけ。 電算機計算の特例の別表第三は基礎控除を年620,004円(本則62万円)で計算しており、合計所得489万円以下の人への加算42万円は入っていない。給与所得控除の最低額も年690,000円(本則69万円)で、令和8・9年分かぎりの上乗せ5万円は入っていない
  • したがって令和9年12月も、年末調整でまとめて戻る。 年収600万円の設例で、12月に精算される額は66,820円から62,740円になるだけだった
  • 月額表は「社会保険料を引いた後の金額」に給与所得控除の率を掛ける。 年収600万円・社会保険料90万円なら、年末調整の1,640,000円に対して1,460,004円で、179,996円少なく見る。これも12月に戻る理由のひとつ
  • 税率の段が月次と年次でずれることがある。 年収500万円の設例では、月次は別表第四の10.21%の段、年次は速算表の5%の段で、12月に戻る額が49,380円になった
  • 防衛特別所得税が同じ表に入ったが、上乗せの合計率は2.1%のまま。 復興特別所得税が2.1%から1.1%に下がったためで、手取りには現れない。現れないまま課税期間が令和19年から令和29年まで10年延びた
  • 「簡易な扶養控除等申告書」は令和7年分から使える制度で、令和9年分が初年ではない。 ただし子が16歳・19歳・23歳になる年は「異動があった」ことになるので使えない。所得の見積額が線の内側で動いただけなら使える

よくある質問

2027年1月から手取りは増えるのですか。

増えますが、思っているより小さい額です。令和9年分の源泉徴収税額表(月額表)の甲欄で比べると、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が20万円・25万円・30万円のいずれでも、扶養親族等の数が0人なら毎月170円しか下がりません。35万円で340円、50万円で670円です。甲欄の帯を全部突き合わせると、下がり幅は最小160円(23万円台)・最大690円(71万円台)で、1年分でも1,920円から8,280円にとどまります。基礎控除の引上げによる減税額(年収600万円で36,700円など)とは桁が違います。理由は、月額表が使っている基礎控除が本則の62万円どまりで、合計所得489万円以下の人に適用される加算42万円が入っていないからです。加算の分は、これまでと同じように12月の年末調整で精算されます。

令和9年分の月額表で、税額が0円になるのはいくらまでですか。

甲欄・扶養親族等の数が0人なら、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が111,000円未満までです。令和8年分は105,000円未満でしたので、6,000円上がりました。扶養親族等の数が1人なら137,000円未満から143,000円未満へ、2人なら171,000円未満から177,000円未満へ、やはり6,000円上がっています。3人は217,000円未満から221,000円未満で、上がり幅は4,000円です。なお「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」とは、国税庁「給与所得の源泉徴収税額の求め方」のとおり、その月の給与等の金額から厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料などを差し引いた後の金額です。給与の額面そのものではありません。

令和8年12月の年末調整で戻ったのに、令和9年12月も戻るのですか。

戻ります。令和8年12月に戻るのは、月々の源泉徴収が改正前の税額表で進んだ一方、年末調整は改正後の基礎控除104万円で計算されるからです。令和9年分は月額表そのものが改正されますが、その表に入ったのは基礎控除の本則62万円までで、加算42万円は入っていません。したがって令和9年12月も、加算の分はまとめて精算されます。給与収入600万円・社会保険料が収入の15%・扶養親族等の数0人という条件で計算すると、12月に精算される額は令和8年の66,820円に対して令和9年は62,740円でした。差は4,080円で、これが毎月340円ずつ前倒しで返ってきた分です。

防衛特別所得税は毎月の給与から引かれるのですか。

引かれますが、合計の税率は変わりません。国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」は、防衛特別所得税が創設され「所得税を徴収する際に、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1%相当額)を併せて徴収し」納付することとされた一方、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%へ引き下げられ、課税期間が令和19年12月31日までから令和29年12月31日までへ10年間延長されたとしています。そして「改正前(復興特別所得税の税率2.1%)と改正後(防衛特別所得税の税率1%及び復興特別所得税の税率1.1%)とで、合計税率(2.1%)に変更はありませんので、改正前後で、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じません」と明記しています。令和9年分の月額表の乙欄の下限が「3.063%に相当する金額」のまま動いていないことでも確かめられます。

令和9年分の扶養控除等申告書で「簡易な申告書」は使えますか。

「簡易な扶養控除等申告書」そのものは令和9年分で始まった制度ではなく、令和7年分から出せます(令和7年分・令和8年分の様式にも【簡易対応様式】があります)。前年に出した扶養控除等申告書に書いた事項から異動がない場合に限り、本人の氏名・住所又は居所・マイナンバーと、異動がない旨を余白に書くだけで足りるというものです。国税庁の「簡易な扶養控除等申告書に関するFAQ(源泉所得税関係)」(令和6年6月・最終改訂 令和8年8月)が取扱いをまとめています。ただし子がいる世帯は注意が必要です。同FAQは、子の年齢が16歳・19歳・23歳・70歳の節目に達して区分が変わる年は「異動があった」ことになり、簡易な申告書を出せないとしています。年少扶養親族から控除対象扶養親族になる年、特定扶養親族になる年、特定扶養親族でなくなる年が、それぞれこれに当たります。

扶養控除等申告書を出していない場合(乙欄)はどうなりますか。

乙欄の率は動いていません。令和8年分も令和9年分も、月額表の最初の帯の乙欄には「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額の3.063%に相当する金額」と書かれています。3.063%は所得税率3%に102.1%を掛けた率です。乙欄が使われるのは、国税庁「給与所得の源泉徴収税額の求め方」のいう「その他の人に支払う給与等」、つまり給与所得者の扶養控除等申告書を提出していない人に支払う給与等です。2か所から給与をもらっていて、片方に申告書を出していない場合の、その片方がこれに当たります。乙欄で引かれた分は、確定申告または主たる給与の支払者での年末調整を通して精算します。

毎月の天引きは、どうして年税額とぴったり合わないのですか。

月額表が年税額の近似だからです。近似の作り方が年末調整と2か所で違います。1つは基礎控除で、電算機計算の特例の別表第三は月51,667円(年620,004円)としており、合計所得489万円以下の人の104万円ではありません。もう1つは給与所得控除で、別表第一は「その月の社会保険料等控除後の給与等の金額」に率を掛けるため、社会保険料を引く前の給与収入に掛ける年末調整より小さく出ます。たとえば給与収入300万円・社会保険料が収入の15%なら、年末調整の給与所得控除は980,000円ですが、月額表の側は845,004円です。この2つの差に自分の税率を掛けた額が、12月に戻ってくる額のおおよその正体です。

出典

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