住宅ローン・金利

返済比率の目安は25%ではない ― 金利が1%上がると3.6ポイント動く

住宅金融支援機構が、2025年度にフラット35を利用した35,553件の総返済負担率を公表しています。

値
中央値23.3%
平均22.8%
標準偏差7.4%
住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」集計表(全体)第21表「総返済負担率」の「全国」の行。調査の対象は「2025年4月から2026年3月までに機構が買取り又は保険付保の承認を行った案件(借換えに係るものを除く。)のうち35,553件」。

「返済比率は25%以内」という目安をよく見ます。 実績の中央値は23.3%なので、近い数字です。

ところが、同じ表の階級別の件数を数えると、25%以上が42.3%でした。

結論

よく目安として挙げられる水準は、公表されている基準でも、実績の上限でもありません。

公表されている基準のほうは、もっと緩いです。 フラット35の総返済負担率の基準は2段しかなく、年収で分かれています。どちらも、よく挙げられる目安より緩い水準です。

一方で、基準に入る「借入れ」の範囲は、思っているより広いです。 住宅ローンだけではなく、自動車ローン、教育ローン、カードローンのキャッシング、商品の分割払いやリボ払いまで含めると書かれています。収入合算をしていれば、合算者の分も入ります。

そして分母の「年収」は額面です。 手取りではありません。同じ返済額でも、手取りを分母にすれば比率は上がります。

最後に、変動金利では返済比率そのものが金利上昇を感知しません。 5年ルールで返済額が据え置かれているあいだ、返済額を年収で割った数字がまったく動かないからです。動いているのは内訳だけです。 据え置きが終わった後の比率は、いまの金利で組み直して自分で出すしかありません。

つまり返済比率は、1つの数字ではなく3つ出すものです。 基準と比べる額面の比率、家計の実感に近い手取りの比率、そして金利どおりに組み直した比率。3つとも、手元の資料から出せます。

計算の前提

項目条件
実績住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」第21表(全体・全国)
実績の件数35,553件(2025年4月〜2026年3月の承認案件。借換えを除く)
基準【フラット35】ご利用条件の総返済負担率
設例の借入3,500万円・35年(420回)・元利均等
設例の年収500万円/600万円/700万円/800万円(いずれも額面)
設例の金利0.475%/1.375%/2.375%/3.375%
据え置きの設例公開済みの「未払利息とは何か」と共通(2026年10月の返済後に残高32,670,263円・毎月返済額90,469円・残り386回・想定適用金利1.375%)
計算scripts/calc-hensai-hiritsu-meyasu.py
金利0.475%以外は、実績の値ではありません。 1.375%は短期プライムレートの実績が反映された場合の想定値で、2.375%と3.375%は「そこから1%ずつ上がったら」を見るために置いた数字です。見通しではありません。

① 基準は30%と35%の2段だけです

【フラット35】ご利用条件は、総返済負担率の基準をこう定めています。

すべての借入れ※に関して、年収に占める年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が次表の基準を満たす方(収入を合算できる場合があります。)

年収基準
400万円未満30%以下
400万円以上35%以下
【フラット35】ご利用条件の表をそのまま写したもの。

25%という線は、ここには出てきません。 年収400万円以上なら35%までが基準です。

年収600万円なら、年間210万円まで通ります。 毎月17万5千円です。

② 実績の分布 ― 25%以上が42.3%、30%以上が17.7%

第21表は、階級別の件数も出しています。 全国の行を構成比に直します。

総返済負担率件数構成比この階級以上の累積
5.0%未満2650.7%100.0%
5〜10%1,5974.5%99.3%
10〜15%4,09811.5%94.8%
15〜20%6,66218.7%83.2%
20〜25%7,87622.2%64.5%
25〜30%8,74824.6%42.3%
30.0%以上6,30717.7%17.7%
合計35,553100.0%—

いちばん人数が多い階級は25〜30%です。 24.6%がここにいます。

2655%未満1,5975〜104,09810〜156,66215〜207,87620〜258,74825〜306,30730%以上
5%未満5〜1010〜1515〜2020〜2525〜3030%以上
件数2651,5974,0986,6627,8768,7486,307
合計2651,5974,0986,6627,8768,7486,307

いちばん高い棒は25〜30%の階級です。よく言われる「25%以内」の線は左から5本目と6本目の境目にあり、その右側に15,055件(42.3%)がいます。右端の30%以上だけで6,307件(17.7%)です。分布の山は目安の線より右にあります。

2025年度にフラット35を利用した35,553件の総返済負担率の分布。住宅金融支援機構「2025年度 フラット35利用者調査」集計表(全体)第21表「総返済負担率」の全国の行。

20%未満は35.5%で、3分の1ほどです。 100.0%から42.3%を引いた残り、つまり25%未満が57.7%です。

第21表の階級は「5.0%未満/5~10/10~15/15~20/20~25/25~30/30.0%以上」で区切られています。42.3%は25.0%以上の側なので、その裏返しの57.7%は「25%以内」ではなく25%未満です。25.0%ちょうどの人は42.3%のほうに入ります。 この分布はフラット35の利用者のものです。 全期間固定金利を選んだ人の集計なので、民間の変動金利で借りた人は入っていません。調査の概要は、対象を「機構が買取り又は保険付保の承認を行った案件(借換えに係るものを除く。)」としています。さらに、①の基準と②の実績は同じ物差しではありません。 調査の「総返済負担率」の分子は住宅取得(と土地取得)のための借入金の返済額だけで、自動車ローンやカードローンは入りません。③で原文を並べます。

③ 「すべての借入れ」に何が入るか

基準を自分で確かめるとき、ここを落とすと数字が低く出ます。 ご利用条件の注は、対象をこう書いています。

※【フラット35】のほか、【フラット35】以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシング、商品の分割払いやリボ払いによる購入を含みます。)などをいいます(収入合算者の分を含みます。)。また、賃貸予定または賃貸中の住宅に係る借入金を含みます(当該借入金が賃貸用のアパート向けのローン(ローンの対象が1棟の共同住宅または寄宿舎)である場合は、借入金には含めません。)。

分割払いとリボ払いまで入ります。 家電やスマートフォンの分割払いも、年間の返済額として積み上がります。

収入合算をしている場合は、合算者の借入れも足します。 夫婦で合算しているなら、2人分の自動車ローンや奨学金の返済が同じ分数に入ってきます。

★審査の基準と、②の実績の分布は、同じ「総返済負担率」という名前でも範囲が違います。 利用者調査の「1か月当たり予定返済額」の定義は「住宅を建設し、又は購入するための借入金に対する年間返済額(住宅金融支援機構、民間金融機関等の借入先を問わずすべての返済額)の1/12 の額」で、「土地購入のため過去又は現在に借入を行っている者の場合は、その借入金に対する返済額を含む」とされています。括弧の「借入先を問わずすべての返済額」は、住宅取得のための借入金についての話です。 自動車ローン・教育ローン・カードローン・分割払いやリボ払いは、この定義には入りません。つまり②の中央値23.3%は、審査で見る総返済負担率より低く出ます。 自分の数字を基準と比べるときは、①の範囲で足してください。

④ 金利が1%上がると、返済比率は3.6ポイント動きます

借入3,500万円・35年・元利均等で、金利別の毎月返済額と返済比率を出します。

金利毎月返済額年収500万円年収600万円年収700万円年収800万円
0.475%90,469円21.7%18.1%15.5%13.6%
1.375%105,034円25.2%21.0%18.0%15.8%
2.375%122,791円29.5%24.6%21.0%18.4%
3.375%142,128円34.1%28.4%24.4%21.3%

年収600万円の列を見ます。 1.375%から2.375%へ1%上がると、21.0%から24.6%へ3.6ポイント上がります。さらに1%で28.4%、つまり3.9ポイントです。

年収800万円なら、同じ1%で15.8%から18.4%へ2.7ポイントです。 動きが小さいのは、分母が大きいからです。

ポイント差は、丸める前の返済額から計算しています。 表の返済比率は小数第1位に丸めた表示値なので、表の数字を引き算すると0.1ポイントずれることがあります(28.4−24.6=3.8、18.4−15.8=2.6)。判定に使うのは丸める前の値です。

つまり金利の感度は「借入額 ÷ 年収」で決まります。 年収に対する借入額が大きい人のほうが、同じ金利上昇で比率が大きく動きます。

0.475%から1.375%への上昇(+0.9%)では、年収600万円で+2.9ポイント(毎月返済額は90,469円から105,034円へ+14,565円)でした。1%あたりに直すと約3.2ポイントです。上がるほど1%あたりの影響が大きくなるのは、元利均等返済の返済額が金利に対して直線では増えないためです。

⑤ 同じ基準で借りられる額は、金利1%で約680万〜840万円減ります

基準の側から見ると、金利上昇の影響はもっと大きく出ます。 総返済負担率35%に収まる借入額を、35年で計算します。

年収0.475%1.375%2.375%3.375%
500万円5,642万円4,860万円4,157万円3,591万円
600万円6,770万円5,831万円4,988万円4,309万円
700万円7,899万円6,803万円5,820万円5,028万円
800万円9,027万円7,775万円6,651万円5,746万円

年収600万円の行で、減り方を見ます。

金利借入可能額前の行からの差
0.475%67,702,958円—
1.375%58,314,223円−939万円
2.375%49,881,633円−843万円
3.375%43,094,853円−679万円

1%きざみで見ると、約680万円から約840万円減ります。 返済比率が3.6ポイント動くという話と、同じことを逆から見た数字です。

上の表のいちばん上の差だけは、1%の幅ではありません。 0.475%から1.375%は**+0.9%** なので、939万円は0.9%あたりの数字です。同じ0.475%からちょうど1%上げて1.475% にすると借入可能額は5,738万円で、差は1,032万円になります。つまり金利が低いところから1%上がるほうが、減る額は大きいです。 1%あたりの幅を「約940万円」と見ておくと、低金利からの上昇を小さく見積もります。 これは基準の上限いっぱいまで借りる場合の計算です。 借りるべき額ではありません。年収400万円未満は基準が30%以下なので、同じ年収でも上限はさらに下がります。

⑥ 変動金利では、返済比率は金利上昇を感知しません

ここが、返済比率という指標のいちばん注意すべき性質です。

5年ルールの適用を受けていると、金利が上がっても返済額は次の見直しまで変わりません。 三菱UFJ銀行は「返済額は5年ごとに見直しします。金利が変更になっても、次回の見直しまで返済額は変わりません(元金と利息の内訳は変わります)」としています。

返済額が変わらないので、返済額を年収で割った比率も動きません。

公開済みの設例で確かめます。 2024年1月に3,500万円・35年・当初0.475%で借り、2026年10月の返済後に残高32,670,263円・毎月返済額90,469円・残り386回、適用金利は1.375%(想定)という状態です。

年収据え置かれた返済額で計算いまの金利で組み直して計算差
500万円21.7%25.1%+3.4ポイント
600万円18.1%21.0%+2.9ポイント
700万円15.5%18.0%+2.5ポイント
800万円13.6%15.7%+2.1ポイント

左の列は、金利が0.475%から1.375%に上がっても1円も動いていません。 返済額90,469円が据え置かれているからです。

右の列は、残り386回を1.375%で組み直した毎月返済額104,778円で計算したものです。 差の14,309円が、据え置かれている分です。

返済比率を見て「まだ余裕がある」と判断するとき、左の列を見ていることになります。 据え置きが終われば右の列に近づきます。

その「終わる時期」も、同じページに書かれています。

10月1日を1回経過する毎に1年経過したものとみなします。 返済額は、5回目の10月1日を基準とした利率で見直し、その翌年1月以降最初の返済分から変更します。

借入日からの満5年ではありません。 10月1日を通過した回数で数えるので、設例(2024年1月借入)では2024年・2025年・2026年・2027年・2028年と通過して2028年10月1日が5回目にあたり、右の列の返済額になるのは2029年1月以降の最初の返済分からです。

据え置きが終わるときに返済額がどこまで上がるかは、125%ルールの上限にも左右されます。内訳の入れ替わりと据え置きの正体は「住宅ローンの5年ルール」、繰り上げ返済でこの不足を埋める話は「期間短縮型と返済額軽減型」で扱っています。

⑦ 基準は額面の年収。手取りで見ると数ポイント上がります

ご利用条件の注意事項は、年収の定義をこう書いています。

1.年収は、原則として、申込年の前年の収入を証する公的証明書に記載する次の金額となります。

(1)給与収入のみの方は給与収入金額

(2)(1)以外の方は、所得金額(事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得および給与所得の所得金額の合計額)

給与収入金額です。 源泉徴収票の支払金額にあたる額で、税金と社会保険料を引く前の数字です。

年収600万円・借入3,500万円・金利1.375%の場合で、分母を変えてみます。

分母返済比率
額面の年収600万円21.0%
手取りが年収の80%だとすると26.3%
手取りが年収の78%だとすると26.9%
手取りが年収の75%だとすると28.0%

手取りの割合そのものは、年収・家族構成・自治体で変わるので一律には出せません。 ここで置いた80%・78%・75%は、幅を見るための仮の数字です。

確実に言えるのは、額面で計算した比率より数ポイント高く出ることです。 基準の35%と比べるときは額面で、家計が回るかを考えるときは手取りで、という使い分けになります。

あなたの数字で確かめる手順

出すのは3つの比率です。

① 年間の返済額を、すべての借入れについて合計する。

住宅ローン、ほかの住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローンのキャッシング、商品の分割払いとリボ払い。収入合算をしているなら合算者の分も足します。賃貸予定・賃貸中の住宅の借入金も入ります。

② 額面の年収で割る(基準と比べる比率)。

返済比率(額面)= 年間の返済額合計 ÷ 額面の年収 × 100

フラット35の基準は年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下です。実績の中央値は23.3%、25%以上が42.3%、30%以上が17.7%でした。

③ 手取りで割る(家計の比率)。

返済比率(手取り)= 年間の返済額合計 ÷ 手取り年収 × 100

手取りは給与明細か源泉徴収票から出します。②との差が、税金と社会保険料の分です。

④ 変動金利なら、いまの金利で組み直して割る(据え置きを外した比率)。

組み直した毎月返済額 = 残高 × i × (1+i)^n ÷ ((1+i)^n − 1)
   i = いまの適用金利 ÷ 12
   n = 残り回数

この返済額で②③を出し直します。 設例では年収600万円で18.1%から21.0%になりました。据え置きが終わればこちらに近づきます。

⑤ 金利が1%上がった場合も同じ式で出す。

①から⑤まで並べると、基準との距離と、金利上昇への感度が同時に見えます。 設例では、年収600万円・借入3,500万円で金利1%あたり3.6ポイントでした。

繰り上げ返済で残高を減らした場合の影響は繰り上げ返済シミュレーターで出せます。利息の削減と住宅ローン控除の減少を同時に計算します。

まとめ

  • 「返済比率25%以内」は、公表されている基準ではない。 フラット35の総返済負担率の基準は年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下の2段だけ
  • 実績の中央値は23.3%(2025年度・35,553件)。平均22.8%、標準偏差7.4%
  • 階級別では25%以上が42.3%、30%以上が17.7%、20%未満が35.5%。 いちばん人数が多い階級は25〜30%で24.6%。分布の山は「25%以内」の線より右にある
  • 基準の「すべての借入れ」には、自動車ローン・教育ローン・カードローンのキャッシング・商品の分割払いやリボ払いまで入る。 収入合算者の分、賃貸予定・賃貸中の住宅に係る借入金も入る
  • 分母の年収は額面(給与収入のみなら給与収入金額)。年収600万円・借入3,500万円・金利1.375%なら額面で21.0%、手取りが年収の75%なら28.0%
  • 金利が1%上がると返済比率は約3.6ポイント上がる(借入3,500万円・35年・年収600万円。1.375%で21.0%→2.375%で24.6%)。感度は「借入額 ÷ 年収」で決まり、年収800万円なら2.7ポイント
  • 同じ基準35%で借りられる額は、1%きざみで約680万円から約840万円減る。 年収600万円・35年で0.475%の6,770万円から3.375%の4,309万円まで。低い金利から上がるほうが減り方は大きく、0.475%からちょうど1%(→1.475%)なら約1,032万円減る(表の939万円は+0.9%ぶんの数字)
  • ★変動金利では、返済比率は金利上昇を感知しない。 5年ルールで返済額が据え置かれているため。設例では適用金利が1.375%になっても年収600万円で18.1%のままで、残り386回を1.375%で組み直すと21.0%(+2.9ポイント)
  • この分布はフラット35(全期間固定)の利用者のもの。 変動金利で借りた人は入っていない
  • ★基準の総返済負担率と、実績の分布の総返済負担率は範囲が違う。 実績(利用者調査)の分子は「住宅を建設し、又は購入するための借入金」と土地取得の借入金の返済額だけで、自動車ローン・カードローン・分割払いは入らない。実績の中央値23.3%は、審査で見る数字より低く出る

よくある質問

住宅ローンの返済比率は、何%までに収めるべきですか。

公的な基準としては、フラット35の総返済負担率が年収400万円未満で30%以下、年収400万円以上で35%以下です。住宅金融支援機構の【フラット35】ご利用条件に、この2段の表が載っています。よく言われる「25%以内」という目安は、この公表されている基準より厳しい数字です。実績を見ると、2025年度にフラット35を利用した35,553件の総返済負担率は中央値が23.3%、平均が22.8%、標準偏差が7.4%でした。階級別に見ると25%以上が42.3%、30%以上が17.7%で、「25%以内」を守っている人は過半数には届きません。つまり25%は基準でも実績の中心でもなく、目安として紹介されている数字です。本記事は何%に収めるべきかを決めませんが、基準と実績の両方を並べると、自分がどのあたりにいるかは分かります。

総返済負担率は、住宅ローンの返済額だけで計算するのですか。

違います。住宅ローン以外の借入れも入ります。【フラット35】ご利用条件は、総返済負担率の対象を「【フラット35】のほか、【フラット35】以外の住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードによるキャッシング、商品の分割払いやリボ払いによる購入を含みます。)などをいいます(収入合算者の分を含みます。)」としています。さらに「賃貸予定または賃貸中の住宅に係る借入金を含みます」とされています。つまりクレジットカードの分割払いやリボ払いも、年間の返済額として積み上がります。収入合算をしている場合は合算者の分も入るので、2人分の借入れを足して計算します。自分で返済比率を出すときは、住宅ローンだけを見ていると実際より低い数字が出ます。

「年収」は手取りですか、額面ですか。

額面です。【フラット35】ご利用条件の注意事項は「年収は、原則として、申込年の前年の収入を証する公的証明書に記載する次の金額となります」としたうえで、「給与収入のみの方は給与収入金額」「(1)以外の方は、所得金額(事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得および給与所得の所得金額の合計額)」と定めています。源泉徴収票の支払金額にあたる金額なので、税金と社会保険料を引く前の数字です。したがって同じ返済額でも、手取りを分母にすると比率は上がります。年収600万円で借入3,500万円・35年・金利1.375%の場合、額面ベースでは21.0%ですが、手取りが年収の80%なら26.3%、75%なら28.0%になります。手取りの割合は年収や家族構成、自治体によって変わるので一律には出せませんが、額面の比率より数ポイント高く出ることは確実です。

金利が1%上がると、返済比率はどのくらい動きますか。

借入額と年収で変わりますが、借入3,500万円・35年・年収600万円という条件では約3.6ポイントです。毎月返済額は金利1.375%で105,034円、2.375%で122,791円になり、差が17,757円です。これを年収600万円で割ると、返済比率は21.0%から24.6%へ3.6ポイント上がります。さらに3.375%まで上がると142,128円で28.4%になり、1.375%の時点から7.4ポイント上がります。借入額が同じでも年収が高いほどポイントの動きは小さくなり、年収800万円なら1.375%の15.8%から2.375%で18.4%へ2.7ポイントです(ポイント差は丸める前の返済額から計算しています)。要するに金利の感度は「借入額 ÷ 年収」で決まります。年収に対する借入額が大きい人のほうが、同じ金利上昇で返済比率が大きく動きます。

金利が上がると、借りられる額はどのくらい減りますか。

総返済負担率35%の基準に収まる借入額を35年で計算すると、年収600万円の場合、金利0.475%で6,770万円、1.375%で5,831万円、2.375%で4,988万円、3.375%で4,309万円になります。0.475%から1.375%への上昇で939万円、そこから2.375%へで843万円、さらに3.375%へで679万円減ります。ただし最初の939万円は+0.9%ぶんなので、1%きざみで比べられるのは843万円と679万円の2つで、約680万円から約840万円という幅になります。0.475%からちょうど1%上げて1.475%にすると5,738万円で、差は1,032万円です。低い金利から上がるほうが減る額は大きくなります。年収500万円なら0.475%の5,642万円から3.375%の3,591万円へ、年収800万円なら9,027万円から5,746万円へと下がります。これは基準の上限いっぱいまで借りる場合の計算であって、借りるべき額ではありません。金利が上がった局面では、同じ年収でも買える価格帯が変わるということです。

変動金利です。金利が上がったら返済比率も上がりますか。

5年ルールの適用を受けている間は、上がりません。返済額が次の見直しまで変わらないので、返済額を年収で割った比率も動かないからです。これは返済比率という指標の性質で、金利上昇を感知しません。感知しているのは返済額の内訳で、利息が増えて元金に充てられる金額が減っています。公開済みの設例(借入3,500万円・2024年1月・当初0.475%、2026年10月の返済後に残高32,670,263円・毎月返済額90,469円)で確かめると、適用金利が1.375%になっても返済比率は年収600万円で18.1%のままです。ところが残り386回を1.375%で組み直すと毎月返済額は104,778円になり、返済比率は21.0%、差は2.9ポイントです。つまり据え置きが終わればこの分だけ上がります。見かけの返済比率と、金利どおりに計算した返済比率の2つを出しておくのが安全です。

返済比率が基準を下回っていれば、返済は安全ということですか。

基準は貸し出せるかどうかの線で、家計が回るかどうかの線ではありません。フラット35の基準は年収400万円以上で35%以下なので、年収600万円なら年間210万円、毎月17万5千円まで通ります。これは額面の年収に対する割合で、税金・社会保険料・管理費・修繕積立金・固定資産税・教育費は考慮されていません。実績の分布でも30%以上が17.7%あり、基準を満たして借りた人が相当数います。一方で比率が低ければ安全というわけでもなく、変動金利なら上の質問のとおり据え置きの分が隠れています。自分で見るなら、額面の比率と手取りの比率、そして金利どおりに組み直した比率の3つを並べてください。3つとも出せる数字です。

この調査の数字は、どの範囲の人のものですか。

フラット35の利用者です。住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」の調査の概要は、対象を「2025年4月から2026年3月までに機構が買取り又は保険付保の承認を行った案件(借換えに係るものを除く。)のうち35,553件について集計したもの」としています。全期間固定金利の商品を選んだ人の集計なので、変動金利を選んだ人は入っていません。また総返済負担率の定義は「各利用者の総返済負担率(1か月当たり予定返済額を世帯の月収で除した数値)の総和をサンプル数で除したもの」で、世帯の月収は世帯年収の12分の1です。1か月当たり予定返済額の定義は「住宅を建設し、又は購入するための借入金に対する年間返済額(住宅金融支援機構、民間金融機関等の借入先を問わずすべての返済額)の1/12 の額」で、土地購入のための過去または現在の借入れに対する返済額も含まれます。ここで「借入先を問わずすべての返済額」と言っているのは、住宅取得のための借入金についてです。 審査基準の総返済負担率が対象にする自動車ローン・教育ローン・カードローン・分割払いやリボ払いは、この調査の数字には入っていません。したがって調査の中央値23.3%は、審査で見る総返済負担率より低く出ます。民間の変動金利を含めた全体の分布ではないことと合わせて、2点に注意してください。

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